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Vol.380 挑戦し続ける人たち~ボストンからインタビュー報告 第2回 

医療ガバナンス学会 (2012年1月25日 06:00)


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ハーバード大学リサーチフェロー
大西 睦子
2012年1月25日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


みなさん、バングラデシュ人民共和国をご存じですか。インドの東側にある、イスラム教徒の多い国です。公用語はベンガル語で গণপ্রজাতন্ত্রী বাংলাদেশ が正式名称です。人口密度が高く、貧困、衛 生状態の悪さ、教育レベルの低さなど、様々な深刻な社会問題をかかえています。ところでバングラデシュと日本は、いくつかの共通点があります。バングラデ シュの国旗はご存じですか?日本の日の丸にとても似ています。違いは、日の丸が少し中心からずれていて、周りは美しい緑色です。彼らの主食は、日本と同 様、お米です。また、自然災害が多く、特に洪水による農業や経済の影響が問題となっています。

今回は、バングラデシュ出身で、日本で9年間研究生活を経験され、現在ハーバード大学の教授であるモハメドSラッザク氏に、今の地位に至るまでの貴重なお 話をお聞きいたしました。とても前向きで明るいラザック教授ですが、インタビューをしているうちに、教授の人生に対する情熱の高さに驚きました。そんな ラッザク教授との対談を是非ご覧ください。

1.あなたのこと、自己紹介してください。
私はバングラデシュで生まれ、4人の兄弟と1人の妹と、友達のように共に成長しました。私の父親はトップの政府幹部でした。そのおかげで、私は学校で教師 から特別な待遇を受けることができました。私は社会科学修士の道に進みたかったのですが、父親が医学部に入ることを強制しました。私たちの国では、父親の 権力がとても強いのです。
私は、医学部での長時間本を読む勉強が好きではありませんでした。私は大学卒業後、研修医のトレーニングを終了し、すぐに世界を探索するために国を去るこ とを決めました。運のいいことに、私は日本の文部省奨学生として選ばれ、長崎大学にて博士研究を行うことができました。さらに幸運なことは、長崎大学の博 士号コースでは、本を読むことより、多くの研究ができたことです。長崎大学では、病理学教室に入り、特に腎臓病理の研究をしました。この研究が、今の私の 研究テーマとなりました。長崎大学の恩師とは、今でも頻繁に交流しています。

2.あなたにキャリアにとって重要な業績を教えてください。長期および短期の目標は何でしょうか。
私は世界を探索し、様々な人々や文化と出会うために、20代半ばに母国を去りました。私の旅が、日本から出発できたことはとても嬉しいことです。私の過去 25年間の世界の旅における最も大きな業績は、誠実な人間関係が、いかなる成功の核心であるという認識したことです。私の認識が、人々の健康維持のための 研究に役立つことを望んでいます。私の研究室では、最近、高リン酸が健康を害することを発見しました。リン酸は、炭酸飲料、ファーストフードに多く含まれ ています。ですから、そういった飲食物を避け、健康を維持しましょう。

3.あなたは、どうやって自分を動機づけますか? また、他の人たちを動機づけますか?
生物医学研究は、私にとって単に仕事というだけでなく趣味でもあります。したがって、私の仕事に対する動機は、私の趣味に対する自発的な愛情から起こりま す。予想できない、考えもできなかった研究結果は、私の探索心をより高めます。私たちの研究結果によって、人々の健康が改善する可能性は、私の最大の喜 び、興奮であり、モチベーションの維持や情熱を与えます。しかし、同僚たちの動機づけは容易ではありません。私たちハーバードの研究室には、世界中から留 学生がやってきます。彼らの能力、目的や背景は様々です。私のひとつのアプローチは、彼らの長所をみつけ、彼らができる範囲で励まし、前向きな環境を整え るように努力します。

4.あなたのこれまでに直面していた中で最も難しい状況は何ですか。
臨床医になるか、研究者になるか、どちらの道を進むか選択したときです。私は大学卒業後腎臓内科医として、臨床研修を始めました。慢性腎不全の透析患者さ んの治療に携わり、医療に貢献したいと思いました。しかし彼らの合併症に苦しむ状況を目の前にし、根本的な治療ができない現況に失望を感じました。しか し、臨床は今の患者さんの診断治療ため、臨床研究は明日の患者さんの還元のためと自覚したとき、私は、よりよい明日のために今日を犠牲にして、研究の道に 進むことを決意しました。

5.あなたの長所は何ですか。
私の強さは、自分の限界を知っていることです。人生はたくさんのことをするには短すぎます。なので、私は自分の限界を改善するより、自分の長所を伸ばすことに努めます。

6.あなたの短所、教えてください。
私の周囲のひとに対する謙虚さと敬意は、しばしば私の弱さととらえられます。現在の「World of Show Business」は、一般的に謙虚でいることは難しいです。私は、最近の流行に自分自身を順応させることが、とても難しく感じます。

7.あなたの日本のイメージを教えてください。 日本の人々にメッセージがあれば教えてください。
私の日本に対する一番の印象は、人々から受けます。日本人は、礼儀正しく、思いやりがあります。私の日本のみなさんへのメッセージは、謙遜、誠実、勤勉さ が核であるあなたたちの社会構造を、他の国に対応するために変えないで下さい。災害にあった方に伝えたいことは、あなたの無力感を絶望感に考えないで下さ い。

8.ハーバードのシステムに関して、他の施設と比べて、何がユニークな特徴と思いますか?
私は、10年間以上ハーバード大学にいます。以前、私が働いていた長崎大学とハーバードを比較すると、全く違うシステムと思います。私のハーバードのシス テムに対する印象は、世界中から最高の頭脳と精神をもった人材のリクルートをすることです。さらに重要なことは、現在の才能から将来のリーダーをみつける ことです。オバマ大統領のように。

ラッザク教授ありがとうございました。インタビューを通して、教授の深い人間性を感じました。教授の次の旅はどこなのでしょうか。また、旅の続きを伺いたいと思います。

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