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Vol.407 東北弁ラジオ体操プロジェクト「おらほのラジオ体操」-その起案から考察まで-

医療ガバナンス学会 (2012年2月19日 06:00)


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「おらほのラジオ体操」起案者・プロジェクトリーダー
マッキャンヘルスケアワールドワイドジャパン
西根 英一
2012年2月19日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


●復興シンボルとして広がる「おらほのラジオ体操」
「おらほのラジオ体操」はラジオ体操第一の音源に、東北弁の号令をのせたものです。被災者と支援者が復興への思いを共有するシンボルとして、「おらほ」 (私たち)と命名されました。そして、「おらほのラジオ体操」は、復興に備える健やかなカラダとココロとコミュニティをつくる、その準備体操として広く認 知されていくことを願いました。
「おらほのラジオ体操」プロジェクトは、ヘルスコミュニケーションを本業とするマッキャンヘルスケアワールドワイドジャパンが被災地の石巻日日新聞、ラジ オ石巻ほか複数の企業・団体とともに取り組むCSR(Corporate Social Responsibility)活動としてスタートしました。ラジオ体操が戦後の高度経済成長期の日本人の健康を支えたがごとく、震災後のヘルスプロモー ションの一手法として波及していくことを期待しました。
しかし、当初のCSRの枠を越え、この活動はソーシャルコミュニケーションの中で変革しつづけ、拡散していきます。

●「おらほのラジオ体操」は、CSRからCSV(Creating Shared Value)* へ
YouTube映像( http://www.youtube.com/watch?v=GEI5LxkPi-4 )を配信すると間もなくして、「おもしろい」「たのしい」、これらエンターテイメント性を評価する言葉が、ソーシャルメディアの中に踊り始めました。つい には、マスコミ(特にテレビ局。NHK、日テレ、TBS、フジテレビなど)がその映像をエンターテイメント映像として紹介します。「被災者の笑顔がいい」 「被災地から元気をもらった」。被災者はお国言葉の号令から「笑顔」を引き出し、支援者はその「笑顔」からエネルギーを引き出すというように、支援される 立場と支援する立場、異なる立場の人間がともに新しい価値を創発する、そのコミュニケーションのプラットホーム(基盤)へと変革していきます。
いま、この基盤の上に、「おらほのラジオ体操」に新しい3つの役割が託されています。1) 震災という悲惨な出来事を風化させないこと、2) 温かいこころを通わせつづけること、3) 笑顔で元気に復興すること。
「おらほのラジオ体操」のもつ新しい価値とは、ヘルスプロモーションという本来的な価値とは別の、支援者と被災者の間に創発した「いいもの」(笑顔)の共有でした。
*中山健夫, 「CSV(Creating Shared Value)と被災者支援」, EBH推進協議会, 2012年1月27日

●「おらほのラジオ体操」から学んだこと
思うに、ヘルスプロモーション全般に言えることとして、私を含むヘルスケアビジネスの開発者、ないしヘルスコミュニケーションの専門家・研究者はとかく、 本来的な価値にのみ加担し、それを最大級の「正しいもの」として受信者に伝えることに専念し、受信者によって「いいもの」として再生される副次的産物(二 次効用)についてはさほど意識を注がないことに問題があるように感じました。ヘルスコミュニケーションの中にいかにCSVを仕込むかが、ヘルスプロモー ションの成功の鍵を握っているように思います。

●参考:「おらほのラジオ体操」について
《おもな記事》
ウォール・ストリート・ジャーナル(2011年9月29日)、NHK総合テレビ(10月16日)、共同通信(10月19日配信)、Yahoo! Topics (10月19日)、日本テレビ「ZIP!」(11月11日)、TBS 「はなまるマーケット」(11月14日)、宮城テレビ「OH! バンデス」(11月21日)、フジテレビ「とくダネ!」(12月8日)他多数
ウォール・ストリート・ジャーナル紙では “We hope that through radio calisthenics we can increase solidarity and provide an impetus for rebuilding communities.”(地域住民の連帯感を高め、コミュニティづくりのきっかけとなる)と紹介され、「おらほ」は海外でコミュニティ再生の 「Oraho」と認知されています。米国、台湾、オランダ、タイ、カナダ、クロアチア、ベルギーなどにも広がり、クロアチアでは日本大使館が後援して、お らほのラジオ体操+ランニングイベントの「ザグレブOraho+Run311」が企画されています。
《おもな採用》
・石巻市役所で市職員の昼休みの体操として採用。他、推定1,200箇所の全国各地の役所、企業・団体、自治体活動で実施。
・「スーパーママチャリグランプリ2012 富士スピードウェイ」(2012年1月8日開催。3万人参加のスポーツイベント)公式準備体操曲
・「Oraho+Run311 東北大震災・祈りと支援のグローバル・ラン」公式準備体操曲
(2012年3月11日。今年は日曜日。日本全国で、世界各国で、「おらほのラジオ体操」をしてから、思い思いにランニングしましょう。時間も場所も走る距離も自由。世界中走れるところならいつでもどこでも参加可能のチャリティイベント。※準備中)
《概要》
○企画:株式会社マッキャンヘルスケアワールドワイドジャパン ○協力:全国ラジオ体操連盟、株式会社石巻日日新聞社、ラジオ石巻、エフエム仙台、コバル トーレ女川、本間秋彦氏(号令発声)、谷川正明氏(方言指導) ○許諾:かんぽ生命(伴奏曲使用許諾)、NHK(事業承諾)、幅しげみ先生(楽曲提供許 諾)

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