医療ガバナンス学会 (2012年2月21日 06:00)
1) 肥満
ソーダの糖が肥満の原因であることはご存知と思います。驚くことは、ダイエットソーダも肥満の原因ということです。
テキサスの研究者たちは、6814人の成人をダイエットソーダを飲んだグループと飲まなかったグループを7年間追跡し、毎日ダイエットソーダを飲んだグループの36%にメタボリック症候群の合併のリスクがあること、67%に2型糖尿病のリスクがあることを報告しました。
でも、どうしてダイエットソーダが肥満や糖尿病の原因なのでしょうか。糖分ゼロのはずなのに、という疑問を感じます。この問題に関しては、次回のテーマにしたいと思います。
2)老化と骨密度の低下
高リン酸を含んだ食事が、老化の促進や骨折の原因といわれています。
コーラには、リン酸が100ml中17mg含まれていて、カルシウムは少量しか含まれていません。食品のカルシウムとリン酸のバランスは大切です。なぜな ら高リン酸が腸管におけるカルシウムの吸収を減らし、骨からカルシウムを流出させ、骨密度の低下、骨折の原因になることが考えられています。さらに、私た ちの研究所では、マウスのモデルを使って、高リン酸を含んだ食事が老化を促進することを発見しました。貧富の差が激しいアメリカ社会において、ファースト フードやソーダを主食とする貧しいひとたちのリン酸値が高いことが報告されています。
今まで、カルシウムと比較し、リン酸の体に及ぼす影響に関して重要視されていませんでしたが、最近アメリカで注目されてきました。
3) 発がん性
健康に問題を起こしているのは糖だけではないようです。
昨年、コーラなどをキャラメル色にするために使用されている2-methylimidazoleと4-methylimidazoleに発がん性があるこ とを、ワシントンの研究者らは動物の実験で報告しました。この報告に対し、生産者側は、ヒトに対しての影響は何の証拠がないと反論しています。
2-methylimidazoleと4-methylimidazoleは、醤油、ウスターソースなどにも使われています。現在アメリカでは、自然色か ら人工着色料まで、キャラメル色の飲食物に対してすべて同じキャラメル色と記載しています。実際クラス1から4まで段階があるので、今後クラスの記載を求 める声があります。
4) ホルモンに対する作用
健康に問題を起こしているのはソーダだけではありません。
ソーダが入っているアルミニウム缶には、ソーダの中で酸が金属に反応しないようにするため、bisphenol Aと呼ばれる物質が含まれています。この物質は、ホルモンに作用をすることが知られており、不妊およびある種の癌、肥満および糖尿病に関与することが報告 されています。
詳細な検討の結果、bisphenol Aの健康に対する影響はないという報告もありましたが、胎児や乳幼児への影響に関しては、現在検討中です。昨年1月、EUはbisphenol Aを哺乳瓶に使用することを禁止しました。
<管理栄養士の加藤滋子先生のコメント>
日本とアメリカではソーダ類の消費量が違いますし、使われている添加物も同じとは限りませんが、ドキッとさせられる報告です。最近では、健康に気をつけて 糖質オフや、カロリーゼロ飲料を選ぶ方も多いと思いますが、中に含まれる添加物まで減っているわけではないということは気づかないと思います。また、食事 のときにソーダを飲んでいるのなら、無意識でその味に負けないような味付けの濃いものや、菓子パンだけ、というような偏った内容になっていないでしょう か。
日本人はお茶と上手に付き合ってきました。お茶を飲んでほっと一息つくだけではなく、お茶漬けや茶粥にして頂いたり、お菓子にも取り入れていろいろな味を楽しんでいます。そんな余裕も長寿に影響あるのかもしれません。