医療ガバナンス学会 (2012年5月2日 06:00)
今回の内容はロハスメディカル3月20日号に掲載されています
医療現場危機打開・再建国会議員連盟幹事長
民主党政策調査会副会長 鈴木寛
2012年5月2日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
注目は、基本方針である「病院勤務医など負担の大きな医療従事者の負担軽減」をいかに達成するかです。これについては例えば、一病院で2つの診療科を同時 受診する患者さんに2科目も再診料を請求できるようにしたり、夜間・休日の電話対応の充実をねらって評価体系を整備するなどし、医療従事者の働きを適切に 評価する一方で軽症患者さんの時間外受診の減少を促す方策が示されました。
改定率は診療報酬全体0.004%増。手術料などの「本体」項目は、計5500億円の増額となります。前回(平成22年度)改定での5700億円増とあわ せると、1.1兆円のプラス改定です。そのうち今回は4700億円が医科に充てられ(前回とあわせて9500臆円)、勤務医の負担軽減策に1200億円が 割り当てられる計画です。
限られた医療資源をどう分配していくか。医療崩壊を食い止めるための施策と予算の確保は、まさに政権交代による方針転換の成果と言えます。今回の改訂では 再診料のベースアップをめぐって意見の対立もありました。しかし、現在そして未来の患者の立場から、まずは命に直結する医療に従事する人々と、そのための 医療体制や病診連携ネットワークの強化等を正当に評価し、重点的に守っていこうという精神は貫かれました。
社会保障政策は、その政党の価値判断体系によって、「所得再分配の観点を優先」「政府の干渉は最小限に」等、優先順位が明確に分かれます。我々は「国民の健康維持が最重要」という信念を持ち、全国民がそれぞれにとって最善の医療を受けられる体制づくりを目指しています。
根底にあるのは、アジア初のノーベル経済学賞受賞者アマルティア・セン氏が提唱した「潜在能力アプローチ」。個人が福祉を達成するための手段・自由をいく ら持っているか(=潜在能力)、その獲得が大切だという考え方です。仮に所得が多くても医療や福祉制度が不十分なら、病気・障害により潜在能力は大きく損 なわれます。経済最優先あるいは功利主義ではなく、国民の皆様の”潜在能力を高める”政策を追求してまいります。