医療ガバナンス学会 (2012年5月17日 06:00)
【参照(図1)】ダウンロードしてください(以下、ファイルは同じです)
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http://expres.umin.jp/mric/mric.maeda.2.ppt
図の内容については前編を参照願いたい。変わらず寒色が平均以下、暖色が平均以上になる。主な結果を以下に示す。
<歴代TOP5>1位 和歌山、 2位 徳島、 3位 高知、 4位 愛媛、 5位 香川
<歴代WORST5>43位 北海道、 44位 富山、 45位 山形、 46位 福島、 47位 新潟
<平成TOP5>1位 和歌山、 2位 愛媛、 3位 沖縄、 4位 高知、 5位 福井
<平成WORST5>43位 新潟、 同率44位 福島、富山、鳥取、宮崎
<直近10年TOP5>1位 徳島、 2位 高知、 3位 沖縄、 4位 愛媛、 5位 和歌山 (直近10年は入賞なし多数によりTOP5のみ記載)
高校野球については西高東低の傾向がよくあてはまることがわかる。これには雪の降る地域では冬にグラウンドで練習ができない、関西は湿度が高く暑いため涼 しい地域には不利であるといったことが言われているが、やはり最も大きな理由は人々の関心の差ではないだろうか。開催場所である甲子園が関西にあることもその一因になっていると考えられる。
続いてサッカーだ。分母は全国高等学校サッカー選手権の入賞回数、分子は高校野球と同じである。図は以下になる。
【参照(図2)】ダウンロードしてください
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主な結果を見てみよう。
<歴代TOP5>1位 山梨、 2位 長崎、 3位 静岡、 4位 広島、 5位 秋田
<歴代入賞なし>山形 ・新潟 ・長野 ・鳥取 ・香川 ・佐賀 ・宮崎 ・沖縄
<平成TOP5>1位 長崎、 2位 鹿児島、 3位 群馬、 4位 滋賀、 5位 富山
<直近10年TOP5>1位 鹿児島、 2位 長崎、 3位 山口、 4位 岩手、 5位 島根 (平成・直近10年は入賞なし多数によりTOP5のみ掲載)
こちらは高校野球と比較して一定の傾向がないことが読み取れる。これにはユースと呼ばれる組織の影響が強いことが考えられる。ユースは私設チームで、J リーグの下部組織も多い。プロ選手を目指す高校生は高校サッカー部ではなくユースに所属するものも多く、ユース自体も全国から優秀な人材を勧誘するため人 材の均質化が図られる。加えて高校の中でも激しい勧誘合戦が繰り広げられており、この結果は県というよりサッカーに熱心な高校がどこにあるかを反映してい ると言ったほうがよいだろう。
続いてラグビーだ。分母は全国高等学校ラグビー選手権の入賞回数、分母は同じである。
【参照(図3)】ダウンロードしてください
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入賞なしの県が多いためそれぞれTOP5のみを示す。
<歴代TOP5>1位 秋田、 2位 京都、 3位 奈良、 4位 岩手、 5位 山梨
<平成TOP5>1位 奈良、 2位 大阪、 3位 京都、 4位 山梨、 5位 佐賀
<直近10年TOP5>1位 京都、 2位 奈良、 3位 大阪、 4位 福岡、 5位 大分
結果は明らかで、近畿・九州地方に入賞校が集中している。秋田・岩手も歴代成績に優れるが、最近では奮っていないようだ。これは選手権の開催地が大阪・花園であることから、高校ラグビーへの興味が西日本で高いことによると考えられる。
以上がスポーツになる。東北地方についてみていくと、高校野球では下位層であり、サッカー・ラグビーでは秋田・岩手が頑張っているが全体としては奮わない。データは震災前のものであるから、震災によって人材が流出した今後10年の成績はさらに低迷する可能性がある。
次は文芸についてだ。芥川賞・直木賞の受賞者数と文化勲章の受章者数について調査を行った。まずは前者についてみていく。
【参照(図4)】ダウンロードしてください
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分子は歴代の芥川賞、直木賞受賞者数の合計。分母は県ごとの総人口を用いた。主な結果は以下の通りだ。
<TOP5>1位 高知、 2位 山梨、 3位 東京、 4位 山形、 5位 長崎
<WORST5>43位 栃木、 44位 群馬、 45位 広島、 46位 徳島、宮崎
<地方別>1位 東京都、 2位 北海道、 3位 東北地方、 4位 四国地方、 5位 九州+沖縄、 6位 近畿地方、 7位 中部地方、 8位 中国地方、 9位 関東地方
東北地方が3位と上位に位置していることがわかる。実際福島県立安積高等学校は芥川賞受賞作家を最も多く輩出した高校として知られており、東北地方は数多くの有名作家を世に送り出しているようだ。
続いて文化勲章について。分子には受賞者数、分母には県ごとの総人口を用いた。
【参照(図5)】ダウンロードしてください
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主な結果は以下のようになる。
<TOP5>1位 京都、 2位 石川、 3位 島根、 4位 東京、 5位 三重
<WORST5>43位 福岡、 44位 千葉、 45位 香川、宮崎、沖縄
<地方別>1位 東京都、 2位 中国地方、 3位 近畿地方、 4位 中部地方、 5位 東北地方、 6位 九州+沖縄、 7位 北海道、 8位 四国地方、 9位 関東地方
文化勲章受章者数については、イメージ通り京都・石川といった県が強い。一方地方でみると東北地方は5位とちょうど真ん中に位置している。
以上がスポーツ・文芸についての結果である。サッカーなど一部の例外を除き西日本に有利な結果が見られたほか、特に東京を除く関東地方は大学受験・スポーツ・文芸ほぼ全ての項目について平均を下回っており、教育過疎の状態にあるといえる。東北地方について見てみると、震災前から文芸分野に関しては優れた部分があるものの、大学受験・スポーツに関しては西日本などと比較して低迷していると言わざるをえない。
現在の復興の状況を見てみよう。各県の予算や実情からは依然として瓦礫の撤去、仮設住宅の設置、道路や施設の修繕といった「復旧」にかかりつけの地域がほとんどであるように思える。確かにハード面の整備は流出した人口に戻ってきてもらうのに必要だが、「戻っても安心」というだけでは不十分ではないか。「東北地方に住みたい」と思わせるように地域のブランド力を高めることが必要であり、そのためには教育の充実化という「復興」の視点が重要であると主張したい。
ここで現在スポーツから被災地の復興を支援する取組を紹介したい。社団法人アスリートソサイエティ理事で、アテネ五輪の競輪銀メダリスト長塚智弘氏が中心になって取り組む「被災地へのアスリート派遣プログラム」だ。これはトップアスリートが実際に被災地に入り継続的に指導を行うといった内容で、これまでに石巻でのバスケット・ラグビー教室、相馬での陸上教室などが行われ、運動能力の自覚的・他覚的改善を認めるといった成果が出ているそうだ。
上記の例のように、震災をきっかけに以前では考えられなかったような絆・繋がりが生まれている。だからこそ今、教育を通した復興をスタートさせるべきではないか。生まれた絆を通して多くの人が、力が東北地方に集めっている。この動きを今だけのもので終わらせず、東北地方に強い伝統を打ち立てることが出来れば、「白河の関」が陸路で破られる日もそう遠くはないはずだ。