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Vol.508 内部被曝通信 福島・浜通りから~すべての家庭菜園がダメだとはいわないが

医療ガバナンス学会 (2012年6月3日 06:00)


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この原稿は朝日新聞の医療サイト「アピタル」より転載です。
www.asahi.com/apital/

南相馬市立総合病院
非常勤内科医  坪倉 正治
2012年6月3日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


南相馬市立総合病院で行われている内部被ばく検査の結果解説の続きです。前回は、南相馬市のホームページ(  http://www.city.minamisoma.lg.jp/shinsai2/kensa/hibakukenshinkeka2.jsp ) の図3にて、徐々にセシウムが検出される人の割合が減ってきていることをお伝えしました。

ただ、この結果は同一の方々を検査した結果ではありません。9月に検査した人と、今年3月に検査した人は異なります。より高線量地域の方々から検査を開始しているので、検出率が下がっているのはその影響もあります。

そこで、セシウムが減少傾向にあるかをより明確にするため、同一の方々での検査結果が図4~5になります。大人子供併せて181名の方々の結果が公表されています。2名を除きほとんどの方で減少傾向でした。セシウムは尿や便を通して徐々に排泄されています。

では、この値の下がらなかった2名の方のみが問題かというと、そういうわけではありません。セシウムは大まかには生物学的半減期に示される速度で減少します。半減期は成人で3~4カ月、6歳で1カ月、1歳で10日程度です。
これらの図に示されている再検査は、初回から約3~4カ月後に行われているので、成人であれば初回から半分程度に減少していることが予想されるはずです。

しかしながら、半分にならない方がいます。これらのグラフを見ていただいてわかるように、値が下がっている人の中でも、下がりが良い人(グラフの傾きが急な人)と悪い人(グラフの傾きが緩やかな人)がいます。

生物学的半減期の速度で減少していないということは、いくらかのペースで食品、水、空気などから慢性的に摂取してしまっているということです。

今後、慢性的にセシウムの摂取を続けた場合、体内量は毎日の摂取量にあわせて、平衡状態に達します。摂取してしまう量と、排泄される量が同じとなるような値で、一定になってしまうということです。もちろん器械自身の測定誤差もあります。同じ人を同じように計測しても、値が2~3割程度ぶれることはよくあり ますが、それを差し引いて、再検査を行った方の1割弱で値の下がりが悪いような印象です。今後このような方々に適切に介入して行く必要があります。

では、このような値の下がりが悪い方々が、慢性的にどれくらいのセシウムを摂取してしまっているかを試算しているのが、添付の図(下記サイトよりご参照く ださい)です。ホームページで公表された図4-1に慢性的な摂取があった場合の予想線を加えています。早野先生に作成いただきました。

下がりの悪い方で1日あたり数Bq程度、最大でも1日10Bq程度の摂取なのではないかと考えています。コープ福島で公表された陰膳検査の結果(  http://www.fukushima.coop/kagezen_news/kagezen/index.html )では、100家庭中90家庭 で1Bq/kg以下、最大でセシウム137で6.7Bq/kgだったそうなので、大きくは矛盾しないように思っています。

南相馬市立総合病院で下がりが悪い方のほとんどは、家庭菜園で採れた食べ物を摂取していますか?という質問に「はい」とお答えの方ばかりです。もちろん作る食べ物の種類によりますし、家庭菜園のすべてが良くないというつもりは毛頭ありません。しかしながら、セシウムの摂取リスクの高い行為であることは確かだと思っています。

このような事例を紹介しましたが、残りの9割の方で生物学的半減期に予想されるような速度で減少しており、慢性的な摂取はかなり少ないだろうことも付け加えておきます。

コープ福島で公表された陰膳検査の結果にもあるように、食事でのセシウム含有量が1Bq/kg以下で、日常生活での慢性的なセシウムの摂取がかなりコントロールできている方が大多数を占めていることが推定されます。

*文中のグラフはこちらのサイトよりご覧ください。
↓↓

https://aspara.asahi.com/blog/hamadori/entry/d48mWRA9oU

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