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Vol.514 内部被曝通信 福島・浜通りから~スーパーで買って水道を使えば「問題なし」

医療ガバナンス学会 (2012年6月9日 06:00)


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この原稿は朝日新聞の医療サイト「アピタル」より転載です。
www.asahi.com/apital/

南相馬市立総合病院
非常勤内科医  坪倉 正治
2012年6月9日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


前々回と前回で、南相馬市から公表された内部被曝の検査結果について説明しました。

セシウムが検出される人の割合が徐々に減ってきているのですが、生物学的半減期の速度でセシウムが減少していない方が一部にいらっしゃいます。その方たちは、いくらかのペースで食品、水、空気などから慢性的に摂取してしまっているであろうことを紹介しました。

ほとんどの方が、生物学的半減期の速度で低下しているのに対して、慢性的に1日あたり10Bq程度を摂取されている方が一部にいると考えています(より高い人も一部いると思います)。

南相馬市立総合病院の検査結果からは、そのほとんどが汚染食品(家庭菜園を含む)の摂取によると考えています。そうすると、次の問題が生じます。どのようにすればそのリスクをさらに軽減できるのか?(10Bqとっている原因はどの食べ物なのか?)ということです。

南相馬市立総合病院では、ホールボディーカウンター時にアンケートをとっています。米、肉、魚、野菜(果物)、きのこ、牛乳、それぞれに対して、
1) スーパーで購入し、産地を選んでいる。
2) スーパーで購入するが、産地は選ばない。
3) 家庭または地元で作ったものを食べている。

を選択してもらっています(この産地という言葉には説明書きは入れていません)。また、飲料水に何を使っているか、市の水道なのかミネラルウオーターなのか、井戸水か簡易水道なのかも答えていただいています。

ある程度予想された結果ではありますが、肉、魚、きのこ、牛乳に関して、3)と答えた方は全体の1%未満でした。それに対して、米で3)と答えた方は全体の約25%、野菜においては約10%でした。

米で3) と答えた方が多いのは、古米を使用されている方も含むからです。また、どの食物も1) と答えた方は2) と答えた方の2~3倍でした。

完全な解析は完了していませんが、今のところ1) と答える方と2) と答える方で内部被曝の値が異なるという結果は導かれていません。同様にミネラルウオーターと市の水道を用いる方の間で差も出ていません。

もちろん、差が明らかになるほど時間が経過していないという批判はあり得るのですが、少なくとも今現在、スーパーで購入し、市の水道を使用している普通のご家庭でセシウム量が増え、値が下がらなくなっているという状況ではありません。

米や野菜、果物で3) と答える方は相対的に高リスクになります。私の経験上、継続的に摂取し、原因となっている食べ物は様々でした。干し柿のこともありました。リンゴのことも ありました。お米と思われることもありました。ざっくりとは、米、野菜、果物が原因となっているケースが多く、肉や魚が原因と考えられるケースは、ほぼな い印象です。

食品の基準値は100Bq/kgへ下げられましたが、残念ながらこの案は、何をどのぐらい食べるのかという情報が欠落していました。主食は毎日食べます。好物は頻繁に食べます。嫌いなものはあまり食べません。

私はリンゴが好きです。でも、2週間に1回食べるかわかりません。お米は間違いなく毎日食べています。キウイも好きですが、1回に食べる量(重さ)はリン ゴまでいきません。もう少し食べ物によって基準値に傾斜をかけていたら、よりリスクは低減できる方向に行く(行った)はずなのにと思っています。

実際の問診でも、主食を食べる頻度がどれくらいか、好物が何かは必ず聞くようにしています。お母さん方にも、プラスアルファで、食べ物に気をつけるとしたら、主食、子供の好物(特に果物と野菜)、値の今まで高かったものの3つにはより気を配るよう話しています。

写真は、ウクライナでの食品検査、市場に併設されています。

今日はこの辺で。

*文中の写真はこちらのサイトよりご覧ください。
↓↓

https://aspara.asahi.com/blog/hamadori/entry/6DDzHhQwqv

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