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Vol.559 内部被曝通信 福島・浜通りから~子どもたちの初期被曝の影響はなくなった

医療ガバナンス学会 (2012年7月31日 06:00)


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この原稿は朝日新聞の医療サイト「アピタル」より転載です。
www.asahi.com/apital/

南相馬市立総合病院
非常勤内科医  坪倉 正治
2012年7月31日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


2012年の4月以降、南相馬市立総合病院、ひらた中央病院(福島県平田村)、ときわ会常磐病院(福島県いわき市)、相馬中央病院での検査結果の集計した ところ、12歳以下の小児において、WBCでのセシウム検出率が0.1%以下(だいたい1000人に1人以下)ということがわかりました。

5000人ほどの対象者の中で、セシウムを検出したのが数名という結果でした。今現在、検出した人のスペクトルの見直しや、最終的なまとめの作成中です。近日中に公表される予定です。

この結果は、ある質問に答えるための重要な情報を与えてくれます。

事故後1年以上経過した現在において、ある人からセシウムが検出された場合、それが「事故直後に吸入した放射性物質がまだ体内に残存している結果」なのか、「事故後に慢性的に日常生活で食べたり、吸ったりした結果」のどちらなのか?という質問です。

一般的に薬学の世界では、ある薬物が体内に入った場合、7回半減期が過ぎると体内から全て消滅したと考えます。ご存知のように、セシウムは排泄されます。年齢により排泄速度に差があり、小学校低学年では1カ月ぐらいで半分になるのに対して、大人では4カ月ぐらいです。

ということは、小学生の体内には震災から1年以上経った現在、事故直後の被曝分はほぼ残存していないと考えることが出来ます。

つまり、現在の小学生以下に対する検査は、事故後の日常生活での内部被曝量を示すものと考えることが出来ます。これは、小児の初期の被曝量を実測で評価で きなくなってきていることの裏返しでもあります。大人ではまだ、初期の被曝分が体内に残存している方がいると考えられます。

この前提に立てば、今回の結果は小児における、日常生活上の慢性期の被曝量が極端に抑えられているということを示しています。日常生活上というのは、食事や色々な活動全部含めてということです。

もちろん、器械には検出限界があります。上記4病院は全てキャンベラ社製のFast scanが整備され、検出限界はCs137で250~300Bq/body程度です。

慢性的な摂取をしていると、体内のセシウム量は下がらなくなります(急性期の被曝分があるため、慢性的な摂取で値が徐々に増加して2~3年で定常状態にな るのではなく、より早期に値が定常化すると考えています)。完全にゼロのゼロだということは証明できるものではありませんが、現在福島県内で稼働している 最も高性能な機械の1つで、南相馬市立総合病院だけではなく、他の施設でも、このような結果が得られていることは、非常に心強いことだと思います。

今回の結果は、どこの病院も検査を希望する方が対象になっていますが、当然ながら地区ごとに受診率も人数も違います。ただ、浜通りの北と南、中通りのひらた村周辺の自治体の大枠はカバーしていることになります。

もちろん、今後の食品検査や継続的なWBC検査が重要なことは論をまちません。初期被曝が明確に定量できなくなってきている以上、初期のヨウ素被ばくに対する甲状腺検査が重要なことも変わりありません。

最も正確に慢性的な日常生活上の被曝量を計測するには、以前このブログでも紹介させていただいたように、高齢の大人を計るのが一番です。しかしながら、半減期がゆっくりであるため、その結論が出るのはもう少し先になります。

余談ですが、南相馬市立で小児数名が検出していますが、全員が同じ家族でした。内部被曝は家族で守ることの大切さを改めて感じました。

話がまた飛びますが、南相馬市立総合病院の医師たちと南相馬の「みんなのとなり組」のスタッフで、夏休み中ラジオ体操することになりました。仮設住宅などで運動不足になっている方々のために作ってみた企画です。企画相談中!
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https://aspara.asahi.com/blog/hamadori/entry/38OqhXeNH2

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