医療ガバナンス学会 (2013年11月6日 06:00)
この原稿は朝日新聞の医療サイト「アピタル」より転載です。
http://apital.asahi.com/article/fukushima/index.html
南相馬市立総合病院
非常勤内科医 坪倉 正治
2013年11月6日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
彼らは、今後世界のどこかで起きるかもしれない放射能汚染、事故などにどのように立ち向かうべきか情報を集めていました。それこそ911がありましたが、 ニューヨーク(など)に核攻撃や核テロがもしあった場合、何をしなければならないか?そのために何の準備が必要なのかを具体的に考えているようでした。本 当は考えたくは無いが、起こる可能性がある未来に対して、備えようとする気持ちが強いように思いました。
事故初期にどの情報が最も必要なのか、避難を行うべきなのか、どのような物資の供給が最も大切なのか、人員配置は?急性期および慢性期の被曝を減らすには どうすればよいのか? 非常に合理的、冷たい言い方をすれば、どのようにすれば犠牲者が一番少なくて済むのかという質問を矢継ぎ早に受けました。
驚いたと同時に、なるほどとも思ったのですが、慢性期の被曝をどのように低くするかという話にはあまり興味を持たず、主に最初1~2カ月の急性期の対応をどうするかに焦点を絞っておられました。
何か言える立場には全くないし、よくは分からん、というのが正直なところなのですが、思うところを伝えしました。
現状の福島県内の被曝が低く抑えられている訳、事故直後の被曝が(あったとすれば)大部分を占めていること、避難をすることのメリット・デメリットなど、 今まで行ってきた活動に沿って伝えしました。きっと他からも色々な情報を集めて、彼らなりのプランを立てるのだろうと思います。
「原子力を最終的にどうするのか?」ばかりを議論したり、「誰かが悪い」としたりするだけではなく、安全保障の点や、これまでに起こったことを丁寧にまとめて、今後どうすべきか、何に備えるべきかみんなで考えていくことの重要性を感じました。もう少し前へということです。
現状までの検証を徹底的に行う必要があるのだと思います。
とはいえ、私自身ができることなど限られています。
現在必要な医療にできるだけ手伝いをすると同時に、今まで起こったことをできるだけ何でも記録する重要性を感じました。もはや、現地的には後から何を言っ ても結果論以外の何物でもないですし、今が大変で以前のことをわざわざ蒸し返して、記述するメリットがどこにあるのか微妙だとも思います。それでも、自分 のできる範囲で少しずつお手伝いできればと改めて感じたインタビューでした。
写真: 先日、福島県内の厚生病院の技師さん達と放射線の勉強会を行いました。松川浦の晴風荘です。震災で大きな打撃を受けましたが、今では元気に営業を再開しています。ご飯も美味しいし、温泉もオススメです。
↓
http://apital.asahi.com/article/fukushima/2013110500005.html