医療ガバナンス学会 (2014年3月7日 06:00)
この原稿は朝日新聞の医療サイト「アピタル」より転載です。
http://apital.asahi.com/article/fukushima/index.html
南相馬市立総合病院
非常勤内科医 坪倉 正治
2014年3月7日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
2013年4月~9月に受診された9,200人(高校生および成人5,810人、小中学生3,390人)の結果です。2013年5月から7月に行われた学校検診でのホールボディカウンター(WBC)検査結果も含んでいます。
結果の概要ですが、大きく状況は変わってはいません。今回の測定で放射性セシウムが検出された方の割合は、成人および高校生で1.9% (平成24年10月1日~平成25年3月31日の期間は5.2%) 、20Bq/kg以上を検出した方は、2名でした。一方、小児では、3,390名中1人で7.2Bq/kgが観測されましたが、残りの方は、検出限界以下 でした。小児で放射性セシウムが検出された1名は、現在、他地域に在住中の方ですが再検査時には、検出限界以下でした。
図は、セシウムを検出する方の割合ですが、時期を追うごとにさらに検出率が下がってきています。
図: http://apital.asahi.com/article/fukushima/2014030300006.html
もちろん、毎回同じ方が検査にいらっしゃっているわけでは無いですし、特に気をつけている方ばかり受診されている可能性もあるので、一概には言えません が、時間を追うごとにセシウムを検出する率はさらに下がってきています。日常生活の中において、セシウムの取り込みは十分に低いレベルを維持できているこ とを意味しています。
検出する、しないに注目して話をしていますが、WBCで検出するレベルは、セシウム137で250Bq/body以上程度、それは年間1mSvの被曝に到 達する数万Bqより二桁ぐらい低いこと、もともと体内に存在する放射性カリウムは50〜55Bq/kgぐらいあり、それと比べても全く低いことを付け加え ておきます。
そして、南相馬市の結果では数千から万に1人ぐらいで、比較的高めの値を検出する人がいることも変わりません。今回の結果には含まれていませんが、 2013年10月以降に、20000Bq/bodyを越える方がいらっしゃいました。それでも年間1mSvの被曝に届くかどうかぐらいであり、そのような 値の方々で希望される方に採血しても心電図をとっても、何か放射線障害だと思われるような結果が出ていたことはありません。もうだいたい現状の被曝量は見 えてきてはいるとは思いますが、定期的に検査をしたりできる状況は維持されるべきだと思っています。
すでに3年近くの時間が経過し、事故初期にしたかもしれない内部被曝分は体外に排出され、現状の検査結果はほぼ現在の食生活をしていく上での体内のセシウム量に近いと思います。
慣れなどの不安要素も無いとは言いませんが、今後食生活や検査体制などが大きく変わらなければ、この結果程度の被曝量に抑え続けることができるのだろうと思います。