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Vol.88 医療事故調査制度ガイドライン(私案)

医療ガバナンス学会 (2014年4月7日 06:00)


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―平成26年2月12日付け閣議決定に係る医療法改正案に基づきー

弁護士
井上 清成
2014年4月7日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


〈本ガイドラインの考え方〉
個別患者の症状、医療従事者の知識・技術・経験、医療従事者と管理者の位置関係、病院等の体制などの諸事情によって多種多様であるので、標準化すると現場 との間に齟齬が生じるから、特段の標準化や例示等は必要ない。再発防止、医療安全は、個々の現場の実情に応じて推進することが肝要である。

〈第6条の10第1項〉
「病院、診療所又は助産所(以下この章において「病院等」という。)の管理者は、医療事故(当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は 起因すると疑われる死亡又は死産であって、当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかつたものとして厚生労働省令で定めるものをいう。以下この章において 同じ。)が発生した場合には、厚生労働省令で定めるところにより、遅滞なく、当該医療事故の日時、場所及び状況その他厚生労働省令で定める事項を第6条の 15第1項の医療事故調査・支援センターに報告しなければならない。」
・「医療事故」
当該医療従事者も当該管理者も共に(同一人の場合もあるが)、現実に、死亡又は死産を予期しなかったものに限定する。当該医療従事者又は当該管理者のい ずれかが予期していた死亡は、この意義から外れる。予期したか否かは、通常一般の医師その他の抽象化された基準で捉えるものではなく、あくまでも現場の当 該従事者や管理者の実際の認識(主観)に基づいて判断される。もちろん、予期すべきであったか否か、予期の可能性があったか否かは、この意義とは関わりな い。予期の対象は、あくまでも「死亡又は死産」そのものであり、その原因ではない。医学的に合理的な説明ができるか否かといった要素も関係ない。
予期したものの中にも予期しなかったものの中にも、合併症もあれば、過誤(過失)事例もある。この意義は、合併症や過誤の有無とも関係のないものである。
・「センターに報告」
当該管理者にセンターが医療事故の一般的な意義を教示するという意味での助言はありうるけれども、現実の予期の有無はセンターが一般的な立場から助言しうることではない。当該管理者自らの権限と責任において判断する。

当該管理者や病院等の自律的な運営に任せるべきであり、センターは、事案決定プロセスに対しては不介入の立場をとる。「予期しなかった」か否かについて、たとえ遺族から異議や調査依頼があったとしてもセンターには判断する権限はなく、専ら管理者の判断によって決定される。
・「厚生労働省令で定めるところ」
報告は、当該管理者の権限と責任において行われる。
報告は、当該管理者が直接にセンターに行うのが通常であるが、それと同時に医療事故調査等支援団体に行うことを妨げるものではない。また、報告をすることによって、直接のセンターへの報告に代えることもできる。
当該医療事故の発生日時、発生場所、発生状況(当該事故に係る患者に関する情報、当該事故に係る医療関係者に関する情報)を報告するものとする。ただ し、報告後に直ちに院内調査を開始するものであることに鑑み、事故の概要、発生場面・内容に関する情報、当該事故の内容に関する情報(実施した医療行為の 目的、事故の内容)、発生要因、事故の背景・要因、改善策は報告事項とはしない。
報告の方法は書面または口頭を問わない。報告期限は、医療事故が発生したと当該管理者が判断した時から1週間を目安とする。
遺族からの報告依頼は、当該管理者を拘束するものでは一切なく、せいぜい当該管理者が報告の要否を判断する際の一つの参考とする扱いに留まる。

〈第6条の10第2項〉
「病院等の管理者は、前項の規定による報告をするに当たっては、あらかじめ、医療事故に係る死亡した者の遺族又は医療事故に係る死産した胎児の父母その他 厚生労働省令で定める者(以下この章において単に「遺族」という。)に対し、厚生労働省令で定める事項を説明しなければならない。ただし、遺族がないと き、又は遺族の所在が不明であるときは、この限りでない。」
・「遺族」
死亡した者の法定相続人、死亡した者と生計を同じくしていた者、療養看護に努めた者の全部または一部を遺族とする。ただし、当該病院等から行う遺族への事前説明は、遺族の一部に対して行うことをもって足りる。
・「厚生労働省令で定める事項」
これから院内調査を開始するものであることに鑑み、説明事項は、センターへの報告事項と同一のもので足りる。
同時に、医療事故調査制度の仕組みの概要と今後の手続きの流れの概要だけを一般論として説明する。
当該管理者が解剖を必要と思料する時は、病理解剖の担当機関、場所、遺族が負担すべき費用の額を示して、遺族の全部又は一部の承諾を得るよう努めるものとする。ただし、遺族の一部であっても異議が述べられた時は、病理解剖を実施してはならない。

〈第6条の11第1項〉
「病院等の管理者は、医療事故が発生した場合には、厚生労働省令で定めるところにより、速やかにその原因を明らかにするために必要な調査(以下この章において「医療事故調査」という。)を行わなければならない。」
・「医療事故調査」
院内事故調査委員会を設置して院内調査をするか否かは、当該病院等の組織構成によって様々である。本法にいう院内調査をするか否かは、当該管理者自らで 決することであるが、院内調査のやり方として院内事故調査委員会を用いるか否かは一律ではなく、当該病院等の自主的な組織構成のあり方によって決めればよ い。なお、厚労省・センター・支援団体は、当該病院等の自主的・自律的な院内規則の制定に干渉してはならない。
当該管理者自身が院内調査もしくは院内事故調査委員会に参加するか否かは、病院等によって一律ではなく、当該病院等の自主的な組織構成のあり方によって 決まるので、参加してもしなくてもよい。ただし、当該医療従事者については、法的な利害関係を有する人権問題でもあるので、黙秘権を告知した上でのあらか じめの意見陳述・事情聴取や委員就任も含め、必ず適切な手続の下で、何らかの形では参加する。
・「厚生労働省令で定めるところ」
臨床経過については、客観的に事実を記載する。
院内調査においては関係者のヒアリングが必須である(逆に、センターや支援団体は、関係者にヒアリングをしない)。ヒアリングを行う担当者、ヒアリング された関係者の供述等の資料は、医療安全活動資料として、病院等の外部に開示・漏出しないよう秘密保護措置を講じ、病院等で非開示規則を制定して保護する ことが望ましい。なお、厚労省・センター・支援団体は、当該病院等の自主的・自律的な院内規則の制定に干渉してはならない。
診療録については、誤記・脱漏がないかどうかを病院等でチェックし、誤記・脱漏があった場合は、訂正・補正等の追加記載をし、記載した担当者、日付けを必ず記入する。
医療安全の推進、可及的な再発の防止を目指すための調査であることに留意し、なぜ予期しなかったのかに重点を置いて調査を実施する。決して過誤の有無に着眼した調査であってはならない。
解剖やAiについては、当該病院等で行う体制を整えるか、または、地域ごとに連携できる体制を整える。
院内調査の終了は6ヶ月を標準期間とし、これを目安とする。ただし、病理解剖を実施した場合には、解剖結果報告書の入手に要した期間は、標準期間に算入しない。
院内調査を中心となって行っている者は、当該管理者に必要に応じて調査の進捗管理報告を行うものとする。
標準期間内に調査が終了しない可能性が生じた場合、解剖結果報告書作成に多くの時間を要している場合には、当該管理者は、既に報告をしたセンターもしくは支援団体、及び遺族に対して、調査終了が遅延する旨を報告するよう努めるものとする。
院内調査は中立的に行うべきものではない。院内調査は「予期しなかった死亡又は死産」に対して、再発防止・医療安全の推進を目的として予期を高め制御可 能性を高めるために行われるものであるから、現場の実態に即して密着して行うものである。科学性、公平性は確保しつつも、現場から離れた立場で中立的に行 うものではない。
当該病院等が自主的自律的に当該病院等のレベルに相応しい調査を行う場合には、当該管理者が外部支援を不要と判断した時は、外部支援を要しない。

〈第6条の11第2項〉
「病院等の管理者は、医学医術に関する学術団体その他の厚生労働大臣が定める団体(法人でない団体にあっては、代表者又は管理人の定めのあるものに限る。 次項及び第6条の22において「医療事故調査等支援団体」という。)に対し、医療事故調査を行うために必要な支援を求めるものとする。」
・「必要な支援」
できる限り当該病院等のスタッフのみで調査を完結できるよう努める。第三者の専門家に丸ごと依頼するようなことはしてはならない。

〈第6条の11第3項〉
「医療事故調査等支援団体は、前項の規定により支援を求められたときは、医療事故調査に必要な支援を行うものとする。」
・「必要な支援」
医療の専門家には、当該専門領域の専門家、当該病院等と共通の現場に通じた専門家など各種があるので、専門家の支援を求める際には、当該事案における必要性に即した専門家を求めなければならない。
医療以外の専門家としては、必要と思料する時には、安全工学の専門家の派遣を重視する。ただし、過誤や過失と関わるものではないし、院内調査内容そのものは直接に遺族に表示するものでもないので、法律家は一切不要である。

〈第6条の11第4項〉
「病院等の管理者は、医療事故調査を終了したときは、厚生労働省令で定めるところにより、遅滞なく、その結果を第6条の15第1項の医療事故調査・支援センターに報告しなければならない。」
・「報告」
病院等の管理者は、院内調査が終了したときは、院内調査結果報告書またはその他の院内調査結果報告(以下、合わせて「院内調査結果報告等」という。)に 基づき、センターに対して、診療経過の客観的な事実の結果、診療行為の医学的評価の結果を、口頭または書面にて報告する。再発防止策(改善策)は報告する を要しない。
調査結果報告書を作成する場合はそこには、診療経過の客観的な事実の結果、及び、診療行為の医学的評価の結果のみを記載する。
調査結果報告書の様式は、院内事故調査委員会の委員長による作成名義とし、当該病院等の医療安全管理委員会の委員長を名宛人とし、調査結果のうち診療経 過と医学的評価の結果のみを記載したものとし、部数を1部作成して、医療安全管理委員会委員長に交付し、当該医療安全管理委員会委員長はこれを検証の上、 当該病院等の管理者に交付する。
ただし、診療ガイドラインとの対比における医学的評価や再発防止策であるならば、それは不要である。なお、当該病院等の実情にそぐわない医学的評価や再発防止策は、当該病院等や医療従事者に対する名誉毀損や業務妨害の結果を招く恐れもあるので、細心の注意を要する。

調査結果報告書には、当該医療従事者及び患者は匿名化し、調査結果のみ記載することとして、その議論の経過や結果に至る理由は記載せず、再発防止策(改 善策)も記載しない。当該病院等は、遺族とセンター以外には、裁判所・検察庁・警察署・行政機関その他一切の公的機関、その他のいかなる者に対しても、調 査結果報告書を開示できないものとする。なお、それ以外の資料はもちろん、調査結果報告書も、民事訴訟・行政事件訴訟・刑事訴訟・行政処分の証拠とするこ とができないし、これを公表することもできない。これらの秘匿性については、各病院等が院内規則で定めを設けて、院内掲示することが望ましい。

調査結果報告書には再発防止策(改善策)を記載しない。ただし、院内事故調査委員会委員長は、調査結果報告書とは別に、当該病院等の医療安全管理委員会委員長及び管理者に対してのみ、再発防止策(改善策)の提言を伝えることができる。

院内事故調査委員会委員長は、調査結果報告の概要が整った時点で、当該医療従事者に対し、事前に告知してその確認を求め、当該病院等の医療従事者から意見を聴取し、これを調査結果報告書の記載に反映させなければならない。なお、センターへの事前確認は不要である。

〈第6条の11第5項〉
「病院等の管理者は、前項の規定による報告をするに当たっては、あらかじめ、遺族に対し、厚生労働省令で定める事項を説明しなければならない。ただし、遺族がないとき、又は遺族の所在が不明であるときは、この限りでない。」
・「説明」
当該病院等の管理者は、院内調査結果報告等に基づき、遺族の一部に対して、診療経過の客観的な事実の結果、診療行為の医学的評価の結果を説明する。再発防止策(改善策)は説明することを要しない。
当該病院等の管理者は、諸事情に鑑みて適切と考える方法で、口頭または書面にて説明する。
口頭にて説明の場合は、口頭で説明した内容をカルテに記載し、遺族の一部の申請があればそのカルテを開示する。
書面にて説明の場合は、その書面は、院内調査結果報告書自体であるか、院内調査結果報告等の趣旨を踏まえて病院等の管理者が新たに作成した見解書であるか、を問わない。

〈第6条の16〉
「医療事故調査・支援センターは、次に掲げる業務を行うものとする。」
〈第6条の16第1号〉
「第6条の11第4項の規定による報告により収集した情報の整理及び分析を行うこと。」
・「整理」
情報の整理に関し、院内調査結果の報告については、形式的整理と報告文言の検証に留め、当該病院等の実情に応じた自主性・自律性を尊重する。
当該病院等の自主性・自律性を尊重することを主旨とし、調査内容の介入にわたる相談・確認は控えねばならない。
・「分析」
類似事例を集積し、共通点・類似点を見い出し、傾向性と優先度を計る。
集積されていて優先度の高いものにつき再発防止策を提案し、当該病院等その他の医療機関に提案する。ただし、当該病院等の実情にそぐわない再発防止策の提案は、当該病院等や医療従事者に対する名誉毀損や業務妨害の結果を招く恐れもあるので、細心の注意を要する。

〈第6条の16第2号〉
「第6条の11第4項の規定による報告をした病院等の管理者に対し、前号の情報の整理及び分析の結果の報告を行うこと」
・「結果の報告」
診療ガイドラインとの対比における医学的評価や再発防止策の報告であるならば、それは不要である。なお、当該病院等の実情にそぐわない医学的評価や再発防止策は、当該病院等や医療従事者に対する名誉毀損や業務妨害の結果を招く恐れもあるので、細心の注意を要する。
再発防止や医療安全の推進が目的であるので、当該病院等その他の医療機関に還元すべきであるが、特に再発防止策は遺族には還元してはならない。

〈第6条の16第3号〉
「次条第1項の調査を行うとともに、その結果を同項の管理者及び遺族に報告すること」
〈第6条の17第1項〉
「医療事故調査・支援センターは、医療事故が発生した病院等の管理者又は遺族から、当該医療事故について調査の依頼があつたときは、必要な調査を行うことができる。」

・「調査の依頼」
調査の依頼は、病院等の管理者が「予期しなかった死亡又は死産」と判断した場合に限定される。

ただし、院内調査を実施している最中で、標準期間内の場合もしくは標準期間を経過するも正当理由がある場合には、遺族も医療機関もセンター調査を依頼することができない。本制度はセンター調査中心ではなく、当該病院等の自主性・自律性に基づく院内調査を中心とする。
また、院内調査が終了した後といえども、遺族が「当該病院等を信用できない」こととか「院内調査の結果に納得がいかない」ことを理由とする場合には、そ もそもセンター調査を依頼することができない。遺族と当該病院等が対立的になっている状況の下でセンター調査が行われると、センターが双方当事者に対して 事実上の裁定を下す結果になってしまうからである。センター調査は法的に院内調査に優越するものではない建前であるにもかかわらず、実際上、優越するかの ような状態を出現させてしまい不当である。

なお、第三者の意見を聞きたいというケースがありうるのは、遺族や当該病院等だけでなく、当該医療従事者の場合もある。そこで、遺族も当該医療従事者もすべて当該病院等を通じてのみ調査の依頼ができるとする運用にすべきである。調査依頼の費用も当該病院等に一元化する。

注意することは、調査依頼に係るものとはいえども、裁判で係争中の事案およびセンターに対する求めにおいて遺族の一部又は全部が病院等もしくは医療従事 者に対し損害賠償を請求する事案は取り扱わない。また、遺族の一部又は全部、病院等、医療従事者のいずれかが、司法の場に解決をゆだねた場合は、その段階 でセンターは調査を中止する。

センター調査の依頼は、遺族の全部または当該医療従事者もしくは当該病院等の申出に基づき当該病院等から一元化して行う。期限は、院内調査結果の遺族の 一部への説明があってから1ヶ月以内、または、センターの調査結果報告書が当該病院等の管理者もしくは当該医療従事者に交付されてから2週間以内とする。

・「必要な調査」
センター調査は、院内調査が適切な手続きで行われたか否かを検証することに重点をおいて行うものであり、問題がある時には原則として院内調査の補充また はやり直しを当該病院等自身で行うべきとの結論を出す。したがって、センター自ら新たな調査を一から行うのは、院内調査結果に重大で明らかな誤りがあっ て、かつ、当該病院等自身ではやり直しが著しく困難であるという特段の事情が存在する場合に限られる。

〈第6条の17第2項〉
「医療事故調査・支援センターは、前項の調査について必要があると認めるときは、同項の管理者に対し、文書若しくは口頭による説明を求め、又は資料の提出その他必要な協力を求めることができる」
・「資料の提出」
関係者のヒアリング情報や院内での議論経過その他の医療安全活動資料は、当該病院等からセンターへ提供しない。

〈第6条の17第3項〉
「第1項の管理者は、医療事故調査・支援センターから前項の規定による求めがあったときは、これを拒んではならない」
・「これを拒んではならない」
院内調査実施中で標準期間内または標準期間を経過するも正当理由がある場合は、センターからの調査協力の求めに対して、病院等の管理者はこれを拒むことができるし、そもそもセンターは調査協力を求めることができない。
院内調査終了後においては、センターは当該病院等の院内調査の医学的評価の結果を検証し、院内調査の補正ややり直しの結論を出すことができる。ただし、 センターが自ら医学的再評価の結論を出すことができるのは、院内調査の医学的評価の結果に重大で明らかな誤りがあって、かつ、当該病院等自身ではやり直し が著しく困難であるという特段の事情が存在する場合に限られる。センターは、当該病院等の管理者に対し、関係者のヒアリング情報を除いて、必要かつ合理的 な範囲の追加情報提供の依頼をすることができる。

〈第6条の17第4項〉
「医療事故調査・支援センターは、第1項の管理者が第2項の規定による求めを拒んだときは、その旨を公表することができる」
・「公表」
センターが公表できるのは、当該病院等の協力拒否に正当な理由がない場合に限られるし、その程度も何らの合理的な理由もなく悪質な場合に限られる。
センターは、公表するに際しても、医療機関や管理者は原則として非公表とし、医療機関が協力を拒否した範囲の事項についてのみ公表することができる。た だし、当該病院等や管理者に対する名誉毀損や業務妨害の結果を招くおそれが強いので、公表に先立って、センターは必ず弁明の聴取手続を踏むと共に、当該病 院等の弁明の要旨も併せて公表しなければならない。

〈第6条の17第5項〉
「医療事故調査・支援センターは、第1項の調査を終了したときは、その調査の結果を同項の管理者及び遺族に報告しなければならない。」
・「調査を終了」
センター調査の終了は3ヶ月を標準期間とし、これを目安とする。

・「報告」
調査結果報告書には、診療経過の客観的な事実記載の検証結果、及び、診療行為の医学的評価の検証結果のみを記載する。
報告書の様式は、センター(もしくは業務委託先の支援団体)に所属している調査チームの長とメンバー全員の連名による作成名義とし、当該病院等の管理者 及び遺族を名宛人とし、調査結果のうち診療経過と医学的評価を記載したものとし、部数を2部作成して、一括して当該病院等の管理者に交付する。
ただし、診療ガイドラインとの対比における医学的評価や再発防止策であるならば、それは不要である。なお、当該病院等の実情にそぐわない医学的評価や再発防止策は、当該病院等や医療従事者に対する名誉毀損や業務妨害の結果を招く恐れもあるので、細心の注意を要する。

調査結果報告書には、当該医療従事者及び患者は匿名化し、調査結果のみ記載することとして、その議論の経過や結果に至る理由は記載せず、再発防止策(改 善策)も記載しない。センターは、当該病院等及び遺族を除いては、裁判所・検察庁・警察署・行政機関その他一切の公的機関、その他のいかなる者に対して も、調査結果報告書を開示できないものとする。なお、その他の資料はもちろん、調査結果報告書も、民事訴訟・行政事件訴訟・刑事訴訟・行政処分の証拠とす ることができないし、センターは一切これらを公表することもできない。

調査結果報告書には再発防止策(改善策)を記載しない。ただし、センターは、調査結果報告書とは別に、当該病院等の管理者の同意を得た上で、当該病院等の管理者に対してのみ、再発防止策(改善策)の提言を伝えることができる。

センターは、調査結果報告の概要が整った時点で、当該病院等に対し、事前に告知してその確認を求め、当該病院等の管理者から意見を聴取し、これを調査結果報告書の記載に反映させなければならない。

センターは、調査結果報告書2部を当該病院等の管理者に対して交付することだけをもって、当該病院等の管理者と遺族に報告したものとする。当該病院等の 管理者は、遺族に対して調査結果報告書1部を交付し、その内容を説明しつつ報告するものとする。ただし、当該病院等の管理者または当該医療従事者が調査結 果報告書に不備・誤り等があると思料する時は、調査結果報告書を遺族に交付せず、そのままセンターに返戻して調査の補正ややり直しを依頼することができ る。その後も同様とする。

遺族はセンター調査の費用を一切負担しない。センターの定めるところにより、当該病院等が負担するものとする。センターはADRの機能を営んではならない。

〈第6条の16第4号〉
「医療事故調査に従事する者に対し医療事故調査に係る知識及び技能に関する研修を行うこと」
・「研修を行う」
センターは、病院等の任意の申出に基づき、病院等の医療安全に関わる職員などに対して、日本医療機能評価機構がRCA等の手法を研修するのを支援できる体制を整える。
センターは研修業務の一部を支援団体に委託することができる。
センターは適切な研修費用を参加者から徴収し、センターの収入とすることができる。

〈第6条の16第6号〉
「医療事故の再発の防止に関する普及啓発を行うこと。」
・「普及啓発」
再発防止に係る普及啓発のセンター業務は、医療事故情報収集等制度の運用実績を有する日本医療機能評価機構が行う。

〈第6条の22第1項〉
「医療事故調査・支援センターは、調査等業務の一部を医療事故調査等支援団体に委託することができる。」
・「医療事故調査等支援団体に委託」
業務委託は、当該病院等と個々の支援団体との協議に基づき、その協議結果を踏まえて、それぞれの支援団体の特性等に応じた範囲等で行わねばならない。

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