医療ガバナンス学会 (2014年5月30日 06:00)
この原稿は朝日新聞の医療サイト「アピタル」より転載です。
http://apital.asahi.com/article/fukushima/index.html
南相馬市立総合病院
非常勤内科医 坪倉 正治
2014年5月30日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
いずれも私立の病院ですので、南相馬市で開始されれば行政として検査を行う最初になるかと思います。多くの方がご存じだと思いますが、今まで福島県内で運 用されていたホールボディーカウンター(WBC)は小児に向けてつくられたものではなく、4歳以下の小児を対象にできないのです。検査主体によって、6歳 以上しか検査を行わない自治体や、4歳以上を検査してきた自治体など、ばらばらでした。
技術的にはその子供の両親を計測すれば、より身体は大きく、放射性物質の排泄速度も遅い大人の計測値から、子供の内部被曝量を推定することができます。と はいえ実際に子供自身を計測して欲しいという要望も強く、運用開始になりました。Fastscanに比べて検出器が2本の倍の4本あり、検査時間も2分か ら4分の倍になり、環境からの放射線の遮蔽もより強力になっています。
ただ、検査をルーチンとして行うだけにならないように注意したいと思っています。検査をするスタッフの向かう方向性が見失われかねないためです。検査結果 はあくまで、何かを押しつけるものではありません。現状を知り、前向きに生活を営むための助けになるようになってほしいのです。
検査は希望者だけです。とはいえ、気になる方はいつでも自由に受けられるように、そして、検査を受けた全員に直ぐに結果を戻して、医者またはスタッフの誰かが話を聞いたり相談に乗ったりできる体制にしたいと思います。
話をするのは1分でもそれより短くても構わないと思います。もちろん需要と供給のバランス、マンパワーの問題もあるだけでなく、検査結果が意思決定の際に 及ぼす影響は大きいのですが、何か結果通知が一枚届いて、ただ「ND(不検出)です」と書いてあって、それで終わり……とはならないように、そして検査の やりっ放しで終わってしまわないようにと思っています。
細かいことですが、お知らせを作ったり、結果の用紙を作ったり、体重計測のこと、子供が怖がらないような環境作りなど、当院の小児科の先生も相談に乗って います。器械自体の納入は7月ごろの予定で、夏休みには稼働が開始できるのではないか、という見通しです。準備が着々と進んでいます。
写真:みんなで集まってフローや問題点の確認をしています
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http://apital.asahi.com/article/fukushima/2014052700013.html