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臨時 vol 167 「薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて(第一次提言)に関して」

医療ガバナンス学会 (2009年7月20日 06:07)


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~適応外使用で命をつないでいる患者がいる現実~
卵巣がん体験者の会スマイリー 片木美穂

 卵管がんや腹膜がんは、病理学的に進行卵巣漿液性腺がんに類似していること
から、しばしば上皮性卵巣がんと同一の範疇として取り扱われます。化学療法の
奏功性は卵巣漿液性腺がんと同等であるといわれています。
 治療の原則は、腫瘍減量手術と化学療法による集学的治療です。初回化学療法
のレジメンは卵巣がんの標準治療に準じてタキサン製剤とプラチナ製剤の併用療
法が選択されます。再発再燃時の治療も化学療法を選択する場合は卵巣がんに準
じた選択が行われます。
 しかし、例えばタキソールの添付文書を見ると効能効果の欄には「卵巣癌、非
小細胞肺癌、乳癌、胃癌、子宮体癌」と記載されており、卵管がんや腹膜がんに
関してはいわゆる適応外使用されているのが現状です。併用するカルボプラチン
などの効能効果も同様です。
 去る4月30日、薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり
方検討委員会が発表した「薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて
(第一次提言)」を読みました。
 その中には、適応外使用により薬害被害が拡大するというリスクを想定して、
適応外使用に関しては倫理審査委員会等を有する医療機関に限定する旨が盛り込
まれています。
 その一方で、適応外使用が行われないために「臨床上の必要性があり、安全性
と有効性に関する一定のエビデンスが備わっている場合には、速やかに保険診療
上認められるシステムを整備するとともに、適切な承認手続きのもとで承認を得
られるように体制を整備すべき」ということも記されています。
 しかし、これまでの「ドラッグ・ラグ」の歴史からみても体制の整備実現は極
めて難しいことが予想されます。
 2007年4月、がん対策基本法が施行され、がん医療の均てん化が求められてお
り、がん診療連携拠点病院なども整備されてきていますが、まだまだ一般への認
知度は低く拠点病院などが存在することを知らない患者も少なくありません。倫
理委員会を有する医療機関といったものになるとさらに患者にとっては把握しづ
らく、混乱が起きることが予想されます。
 また、安全性と有効性が認められる薬剤を早期承認するといっても、がん領域
では、効能効果の追加はなかなか進んでいません。一部の薬剤では特許切れもお
きており効能効果の追加に関しては深刻な薬剤もあります。
 また、社会保険診療報酬支払基金が2007年9月に47の薬剤を保険償還しました
が、その後、学会や患者会などから薬剤の追加の要望が上がっているにもかかわ
らず、保険償還される薬剤の追加は行われていません。
 そのような日本の現状での、この提言は、適用外使用される治療によりいのち
を繋いでいる患者にとっては、「適応外使用禁止」といわれているのも同然です。
 この提言を読んで背筋が凍る思いをした、がんに携わる医療者や患者は少なく
ないと思います。
 卵管がんや腹膜がんは再発することも少なくありませんが、化学療法の奏功率
も高く治療により命をつなぐことも可能です。
 しかし、もととなる治療の対象である卵巣がんは、欧米などでプラチナ製剤に
耐性ができた卵巣がん治療に使用されているジェムザールやトポテカンがまだ適
応外であるという状況です。
 私たちはなんでもかんでも薬を認めろというつもりはありません。でも安全性
・有用性が認められ必要である抗がん剤で治療を受けたいと願って昨年末に署名
を呼びかけたところ、2か月で15万4552筆集まり、今年1月に厚生労働省に提出し
ています。
 薬害被害を出さないことも大切ですし、私たちのような治療薬を心から待ち望
んでいる患者を増やさないことも大切です。
 今回の提言ではドラッグ・ラグの被害者がいるという視点はなく、私たち薬が
無い被害者がいること、卵管がんや腹膜がんのようにごく少数であることなど様
々な背景から適応外使用によりいのちをつないでいる患者がいることを知っても
らいたいと願っています。
 先日、テレビで、廃案見込みとなった肝炎対策法案の患者団体や薬害肝炎被害
者が、「いのちが置き去りにされた」と訴えられていましたが、私たちもあたり
まえの薬が届かないことで「いのちが置き去りにされた」被害者です。
 肺がんに治療準じている胸腺がんを患った故・山本孝史参議院議員は著書のタ
イトルを”救える「いのち」のために”とされていました。まさしく「いのち」
のために、適応外使用に関してはその言葉尻だけを捉えるのではなく、ドラッグ
・ラグに苦しんでいる患者がたくさんいることを知った上で適応外使用に関して
は議論されるべきだと思います。
 参考:NCCNガイドライン、婦人科がん標準化学療法の実際、卵巣がん治療ガイ
ドライン2007年版

 

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