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Vol.154 内部被曝通信 福島・浜通りから~ 「ファントム」でより正確な計測へ

医療ガバナンス学会 (2014年7月11日 06:00)


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この原稿は朝日新聞の医療サイト「アピタル」より転載です。

http://apital.asahi.com/article/fukushima/index.html

南相馬市立総合病院
非常勤内科医 坪倉 正治

2014年7月11日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


小児用ホールボディーカウンター(通称:Babyscan)の取り付けが進んでいます。もともと、南相馬市立総合病院のホールボディーカウンター室は、介護浴室だった場所です。床の補強工事を行い、その上に遮蔽(しゃへい)板を重ね、検知器とパソコン部分を取り付けて、さらにその周りに、山中先生のデザインくださった外側部分が設置されます。

その上で、機器自体がしっかりとした計測値を出せるかどうかのチェックを行っています。チェックには「ファントム」と呼ばれる放射性物質を搭載した、人間の形を模したものが使われています。

ファントムにはいくつかの種類がありますが、今回はブロックファントムと呼ばれる、ブロックを組み合わせるタイプが使用されました。

http://apital.asahi.com/article/fukushima/2014070700012.html

写真の右上にあるように、小さなブロックを「レゴ」のように組み合わせながら作成していきます。この写真では胴体部分を作成していることになります。留め金の場所を合わせながら、金づちでたたいて組み立てて行きます。年齢によって身体の大きさが異なるため、左上に少し写っている設計図に基づいて、今回は2歳児と6歳児を模して組み立てました。

その中に放射性物質を搭載させます。鉛筆のような形をしているこのそれぞれの棒の中に定量されたセシウムが入っており、これをブロックの中に開いている小さい穴の中に何本も差し込んでいきます。

これで、2歳児を模したブロックファントムが完成です。持ち運びには少し重く、左側が足、右側が頭部です。6歳児や大人を模したものはもっと大きくなります。

黄色い突起がいくつか見えると思いますが、これが先ほどの鉛筆型の放射性物質を差し込んでいる部分です。飛び出さないようにテープで留めてあります。

そして、ホールボディーカウンターの中に入れ、実際に値がしっかり計測されるかどうか確認していきます。それに加えて、市立病院のスタッフのお子さんに協力いただき放射性カリウムの安定性を含めてチェックしながら稼働に向けて準備しています。早野先生も駆けつけてデータのチェックをしてくださいました。

すでに多くの内部被曝検査と食品検査が行われており、今さら1億円近いお金をかけてすることではないというご意見や、なぜもっと早くできなかったのか、もっと細かく継続的に行うべきだという声もいただいています。データ上も、そしてそれを超えた部分でもこんな機械が一切必要なくなるような、そして住民からも必要とされないような状況になってほしいと思っています。

ただ、検査の予約は南相馬市だけで既に1000人を超えました。やはり、個人個人を診てもらえるという力は我々医療者や放射線防護の関係者が思うよりも大きいのでしょう。一時のはやりのような状況になるかもしれません。まだ本格的な稼働までには時間がありますが、検査を希望される方にはできるだけ十分な説明や相談ができるようにと思っています。
坪倉正治の「内部被曝通信 福島・浜通りから」のバックナンバーがそろっています。

http://apital.asahi.com/article/fukushima/index.html

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