2004年導入の医師臨床研修制度の改定に関し、議論が続いています。政府
は研修医の募集定員を病院別・県別に、前年度実績より削減する方針を一旦発表。
しかし各地の病院や医師、医学生、都道府県から反対が相次いでいます。
国立大学医学部長会議が意見書を厚労省に提出したほか、医師のキャリアパス
を考える医学生の会は「教育に力を注ぐ病院も定員削減となり、良い研修機会に
恵まれる研修医が減る。研修の改善努力を怠る病院も放置されてしまう」との声
明を出しました。
確かに研修医の定員は、事情を知る現場や地域の人々が主体的に決めるべきで、
中央の官僚が上から押し付けることには問題があります。
そもそも制度改定の第一の目的は、診療能力の高い医師の育成であるべきです。
それには研修医が多くの同僚や先輩医師に恵まれ、症例を十分経験できることが
大事です。すなわち一定規模の学びのコミュニティが必要となります。そこで、
管理型研修病院は550床以上に限るべきとの声もあります。小規模研修病院は
他の機関と連携するなど、工夫が求められるでしょう。
ちなみに先述の医学部長会議も、「医学部教育の質の維持のため、学生あたり
教職員数を国際水準まで引き上げること」を要望しています。医学部4年学間の
一学生あたり常勤教員数は、米国ハーバード医学校で11・1人、東大医学部は0
・5人です。
同時に、意欲に欠ける研修医を留年させたり、研修内容は専門家相互や住民の
チェックにより、研修の質を保つ仕組みも必要となるでしょう。
もとよりところで、今回研修制度の改定をは医師不足の抜本的解決に結びつけ
られるくものでも、結びつけるべきでもありません。医療崩壊の深刻化は、長年
の無理な医療費抑制の無理が根本にあるから結果に他ならないからですです。
特に、2002年の診療報酬大幅引き下げは最大の原因。各病院が資格を要し
ない病院従事者10万人近くの大規模な削減に追い込まれました。(約10万人近く
マイナス)、その穴埋めを医師や看護師などの専門資格者が穴埋めを担わざるを
えずなくな、時間的・精神的負担が増長、過重状態に。
ったのです。
やはりですから医師不足解決の本筋は、病院の医療収入の確保により、病院に
おける各職種の人員を網羅的に増やすことにつきるといえるでしょう。
著者紹介
鈴木寛(通称すずかん)
現場からの医療改革推進協議会事務総長、
中央大学公共政策研究科客員教授、参議院議員
1964年生まれ。慶應義塾大学SFC環境情報学部助教授などを経て、現職。
教育や医療など社会サービスに関する公共政策の構築がライフワーク。