医療ガバナンス学会 (2014年8月11日 06:00)
この原稿は朝日新聞の医療サイト「アピタル」より転載です。
http://apital.asahi.com/article/fukushima/index.html
南相馬市立総合病院
非常勤内科医 坪倉 正治
2014年8月11日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
多くの子どもは、そばにいる親の顔を見ながら笑顔でいるか、ゲームやテレビに夢中です。しかしながらレントゲンや採血検査などと同様に、嫌がったり、泣いたりしてしまう子ももちろんいます。ベテランの看護師さんがうまくなだめながら検査をしていますが、何人かは(お母さんはどうしてもやってほしいとおっしゃるものの)検査を断念しました。今までの学校検診や、大人の検査で慣れているスタッフたちなのですが、彼らも終わる頃にはぐったりしています。その後で、曜日ごとに担当の各医師が外来で説明をしています。
今まで70-80人ぐらいが検査にいらっしゃいました。カルテを見返すと、そのうちの半分くらいの方が「特に心配はしていないが、通知も来たことだし念のために検査を」と考えていました。内部被曝について、特に質問や困っていることはないけれども確認はしておきたい、結果を見て特にそれ以上何も相談することはない、という感じでした。ご両親も検査を受けたことがある方が多いです。
その一方、これまでよく聞かれたのが、水についてでしょうか。
水道水は大丈夫なのか?飲ませるのは何となく心配、ミネラルウオーターを常に買っているが家計を圧迫して困っている、プールに入れたくない、プールに入るために同意書をとられて何となく信用できない……などの相談がありました。
水の問題については、
http://apital.asahi.com/article/fukushima/2013061700009.html
を参考にしていただきたいと思います。
ひらた中央病院で外来ではこのようなことは聞かれませんし、きっとこれらは南相馬市などで特有の話であり、他の地域も事情はそれぞれ違うのだと思います。実際、その地域やコミュニティー特有のうわさ話のようなものや不安なことはよくあります。行政区単位ごとに異なるので、それぞれの地元の方々同士の情報交換に役立つようにお伝えする必要があります。もしかしたら別の行政区の方からは全く聞かれないかもしれません。他は食品や家庭菜園の野菜についてなどが多いです。質問を受ける内容は、ここ2年ぐらいで大きく変化したという印象はありません。
もともと持っている病気のこととこれからの日常生活について聞かれることもままあり、そういう点では医師が説明する強みでしょうか。これまでに小さい子どもを対象として行った尿の検査や、他の場所や方法でのWBC検査などと比較して聞かれることもあり、一足飛びにではなく淡々とやって行きたいと思います。
http://apital.asahi.com/article/fukushima/2014080400007.html
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