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Vol.207 助けられる心臓 使われないAED

医療ガバナンス学会 (2014年9月16日 06:00)


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慶應大学医学部4年
石橋由基

2014年9月16日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


自分はAEDの普及活動をしています。
1年前、このプロジェクトが始まった東京瀧本ゼミ(http://bit.ly/1iZ66gG)に関わっていた中で、当時唯一の医学生だった自分は友人にある提案を受けます。「AEDは使用された場合生存率を4倍以上に上げる。なのに、心停止の目撃者中の4%しかAEDが使われていない。自分はこの為の活動を始めたい。でも、それには医学の知識が必要だ。医学生は君しかいない。ぜひ君に協力して欲しい。」

2011年9月、さいたま市の小学校で6年生の桐田明日香さんが駅伝の課外練習中に倒れ、死亡するという事故がありました。 検証の結果、明日香さんが倒れた直後に「けいれん」や死戦期呼吸と呼ばれる「ゆっくりとあえぐような呼吸」があったために、教師らは心臓が止まっているとは思わずに、校内にあったAEDを使わなかったことがわかりました。
(http://www.nhk.or.jp/seikatsu-blog/400/133742.html)
明日香さんの死はさいたま市の教育委員会を動かしました。さいたま市では事故対応マニュアル「ASUKAモデル」が作られ、平成26年からは全小学校にAEDを含む心肺蘇生の授業が導入されました。

自分は、医学を学びながらも、このように病院の外で人が亡くなっている事を知りませんでした。病院の中だけで医学・医療を考えていた事を恥ずかしくも思いました。
今私たちのプロジェクトでは、さいたま市と同じように、小学校に心肺蘇生講習の導入を進めています。現在、墨田区とご相談して、この秋よりまずは希望校で実施する予定になっています。
代表が退いた為、自分が中心となって、AEDを広める活動を続けています。

今回はこのような問題を発信する場を頂きました。
以下は私たちが取り組んでいる問題についてです。

心臓突然死で亡くなっている人数は、年間約7万人です。これは一日当たり200人弱の人が亡くなっている事になります。心臓突然死とは、「急性の症状が発症した後、1時間以内に突然意識喪失を来たす心臓に起因する内因死」で、予測ができません。なので、発生してからどう対応するか、が重要になります。

その上で、人の命を救う可能性があるのがAEDです。
AEDは正常に拍動できなくなった心停止状態の心臓に対して、電気ショック(除細動と言います)を与えます。
なぜ、市民によるAEDの使用が重要かと言うと、心停止状態では、除細動(AEDによる電気ショック)をするタイミングが1分遅くなる毎に生存率が10%下がっていきます。とにかく早い除細動が重要なのです。日本の救急車の平均到着時間は約8分なので、その時点での生存率は20%です。つまり、救急車が到着するのを待つのではなく、その場にいる人がAEDを使えれば、生存確率はぐっと上がるのです。3分以内に除細動を行えば、生存退院率は70%以上にも及びます。
逆に病院での処置では、心臓突然死はまず助かりません。日本に病院に搬送されるのは自治体にもよりますがおよそ30分かかってしまいます。その頃には生存率は大きく下がってしまっています。

(AHA 心臓蘇生救急心血管治療のための国際ガイドライン 2,000より瀧本ゼミが作成)

実際に、AEDの使用により、使われなかった人と比べて、なんと生存退院率は4倍以上にもなります。(出典:総務省消防庁 平成25年度 救助救急の概要 救急編)
この器機は医療界の要請もあり、2004年から一般市民への導入が始まり、今日7月1日が丁度導入10周年になります。今では日本全国30万台以上が配備され、緊急時はいつでも使えるようになっています。
また、日本不整脈学会も先述の明日香さんの事故を受け、AEDで命を救う為の市民の方への提言を行い、AEDを積極的に使う事を推奨しています。

http://jhrs.or.jp/pub201209_01.html

しかし、ここで残念なお知らせがあります。
AEDは日本ではほとんどと言っていい程、一般市民によっては、使われていません。日本で2012年に心停止時点を目撃された総数(23,797件)のうち3.7%(881件)しか市民が使用した例はありません。目撃されているのに、ほとんどの人がAEDによる処置が行われていないのです。AEDが使われない場合、生存率は10%ほどになってしまいます。つまり、表題にもある通り、現状では病院外で心停止になるとほとんど助かりません。運良く3.7%に入らない限りは。貴方の家族や友人、貴方自身も病院外で心停止になったら、ほとんど助からないと言って良いでしょう。

日本全体で見ても、(AEDが適応ではなかった人も含むので、簡単に断言する事はできませんが)先ほどの生存率から比例的に数字を出せば、AEDは更に「年間数千人」を助けるポテンシャルを持っていると言えます。AEDが使えなかった事例として、最近ではこのような事件も起こっています。夜間にAEDが使えるようになっていれば助けられたかも知れない、そう考えると痛ましいです。

夜間休日いつでもAEDを NHKニュース

http://www9.nhk.or.jp/nw9/marugoto/2014/07/0728.html

AEDに関して、学生がリサーチを行うだけでも多くの問題が出てきます。様々な所へインタビューや交渉にも行きましたが、中々行政が動けない現状もあるようです。私たちだけでは、動きの広まりには限界があります。なので、皆さんにも協力頂けると嬉しく思います。まずはこの事実を広めて貰う、この記事をシェアするだけでも、人の命を救う事に繋がります。

より多くの人にAEDのことを知って貰い、より多くの命を救うことに繋げる為に、この問題について、今後も継続的に発信していきます。
どうか今後とも宜しくお願いいたします。

慶應大学医学部4年 石橋由基
経歴 2011年 東海高校卒業 2011年 慶應義塾大学入学 現在 慶應義塾大学医学部4年
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http://think-tank-tsemi-aed.blog.jp/

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