医療ガバナンス学会 (2014年9月25日 06:00)
現場の医療を守る会代表世話人
日本医療法人協会 現場からの医療事故調GL検討委員会委員長
つくば市 坂根Mクリニック 坂根みち子
2014年9月25日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
日本医療法人協会の「現場からの医療事故調ガイドライン検討委員会」では、西澤斑の動きに危機感を持ち、西澤斑に先駆けて、現場目線での医療事故調ガイドライン中間報告(通称:医法協GL)を作成し、9月2日に当時の田村憲久厚生労働大臣に面会し、厚労省のガイドラインとして取り入れていただけるよう申し入れをした。大臣には、医法協GLも西澤班と同様に参考にし、良いところは取り入れて行くと言っていただけた。その後、10月には厚労省内に当初予定されていなかったガイドライン検討部会が設けられる事になり、西澤斑は事実上はしごを外された。
なぜこうも迷走するのだろうか。
最大のすれ違い点は、厚労省と、厚労省と結託した団体が軸足を医療現場において考えないからである。現場目線で再発防止策を具体化する意識が希薄なのである。現場の負担を考えず、かかる費用を考えず、広く網をかけ管理しようとする、今ある組織(日本医療安全調査機構、日本医療機能評価機構)を温存する事しか頭にないからである。
いわゆる「モデル事業」での問題点は、現場の負担と費用も多大なものだが、これに輪をかけて問題なのは自分たちのした事業の検証がない事である。現場の医療行為に対して、これは○、これは×と上から目線で評価して、現場へは報告書を渡しておしまい。既にモデル事業の医学的評価そのものが間違っているものも見つかっている。更にそれをもとに現場が再発防止の改善がなされたかの検証もない。こんな事業は現場には要らない。現場の医師達の人権をこれ以上踏みにじれば医療現場は元には戻れない。
西澤斑の会議の経過を見守り、公開質問状を出し、現場目線のガイドライン作りをし、時に厚労省を訪問するというのは、日々の診療がある医師にとってははっきり言って至難の業である。毎度のことながら厚労省の会議に現場感覚が欠如しているのは、すでに第一線から離れている人たちが物事を決めるからであろう。
厚労省は国民のために働くべきであり、医療現場に軸足をおいて現場の声を聞くべきであろう。医療安全推進室長の大坪氏は、元々内科の医師で、通常の医系技官より長く臨床をやってから厚労省に入ったと聞く。それならば、今医療現場で起こっている事にもう少し理解があっても良いのではないだろうか。厚労省も、医療団体の幹部も同じ医師が、立場が違っただけで、現場の足を引っ張るのはもうやめていただきたい。
最後に、現在現場の医療を守る会有志では、医法協GLをさらに良いものにすべく、広く関係者から意見を募り最終案に向けて検討中です。是非皆さんからもご意見を賜りたいと思います。さらに、医法協GL案を厚労省のGLに取り入れて頂くために各地より賛同の意を表していただければ有難いと思っております。(下記、医法協GL中間報告、もしくは現場の医療を守る会HPよりご覧いただけます)
http://www.m3.com/iryoIshin/article/240124/
“事故調”GL、「モデル事業」がベース
http://www.m3.com/iryoIshin/article/240425/
“事故調”、「西澤研究班」に危機感
http://www.m3.com/iryoIshin/article/240961/
法律逸脱の“事故調”ガイドライン、阻止せよ
http://www.m3.com/iryoIshin/article/241466/
「西澤研究班」に疑問、厚労省にも公開質問状
http://www.m3.com/iryoIshin/article/245402/
「坂根班」、“事故調”GLの中間報告公表
http://www.m3.com/iryoIshin/article/244751/?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD140825&dcf_doctor=true&mc.l=58347352
「坂根班」、“事故調”GL案を9月1日公表
https://www.m3.com/iryoIshin/contents/images/2014/140826yhP1.pdf
医法協GL 中間報告
http://insuring-medical-practice.net/
現場の医療を守る会