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Vol.267 内部被曝通信 福島・浜通りから ~小学生への放射線の授業

医療ガバナンス学会 (2014年11月24日 06:00)


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この原稿は朝日新聞の医療サイト「アピタル」より転載です。

http://apital.asahi.com/article/fukushima/2014111000010.html

南相馬市立総合病院
非常勤内科医 坪倉 正治
2014年11月24日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


馬市の桜ヶ丘小学校で、3年生を対象に放射線の授業をしてきました。桜ヶ丘小学校は放射線教育の実践協力校であり、毎年、放射線教育に多くの時間を割いて、良い形を模索しています。

生徒たちはこれまで、「放射線ってなあに?」という題材で、除染情報プラザの方の協力の下、放射線の軌跡を可視化する「きり箱実験」や、放射線の基礎知識に関する紙芝居の授業を受けてきました。授業は全部で4時間あり、今回が最終回でした。今年も授業参観のような形で多くの先生が見学にいらっしゃり、授業後に検討会を行いました。

学校の先生とは何度も、授業で何をどう伝えるかについてやりとりしました。例えば、放射線と放射性物質(放射能)について。「食品が汚染されて放射線が含まれていることがある」というと、表現としては正しくありません。含まれているのは放射性物質で、そこから発せられる放射線をはかっています。そのあたりを細かく伝えることも出来ますが、45分しか時間はありませんし、混乱させてしまいます。

食品には、天然のカリウム40などの放射性物質が含まれているが、セシウムはほとんど含まれていない。これも、食品に放射線があるの?天然の放射線は大丈夫なの? といったテーマの中で混乱を招きがちです。小学生にとっては、カリウムというのも初めて聞くカタカナことばでしょう。
露地物のキノコや山菜などは汚染されていることがたまにあります。でも、キノコに焦点があいすぎると、「キノコは危険」みたいな話だけになってしまいそうです。

正確を期そうとすると、どうしても、物理や化学といった理科の授業になりがちです。しかしながら、最終的に求めているのは、子どもたちがしっかりと生活を送れるようにすること。その意味では生活とか家庭科とか、総合学習のような領域でもあります。興味を維持するため、小道具なども用意されます。先生方も真剣で、夜遅くまで何度も話し合いをされていました。

最終的には、放射線と放射性物質についてはあまり細かく説明せず、「食べ物によっては、時々放射線がたくさん出ることがある」→「ちゃんと検査をすれば見つけることが出来る。」→「その検査を生産者やJAなど地元の方々がしっかりやってくれている。」といった流れを担任の菊池祥子先生と掛け合いのような形でお話しました。

言葉の定義にはあまりとらわれすぎず、食品の検査は続ける必要があること、しかしながらキノコや山菜みたいな言葉に引っ張られすぎないようにすること、そして最終的には地元の子供たちの健康を守るために、一生懸命検査したり、それを伝えたりする地元の方がたくさんいらっしゃること。そして、地元に対する愛情、愛着や、ここで暮らしを営んでいく自信につながるように、という目的で、学校の先生は授業を組み立てていらっしゃいました。ベストではないでしょうし、きっとまだまだ試行錯誤がなされるのでしょうけれど、こんな地道な取り組みを続けておられます。
坪倉正治の「内部被曝通信 福島・浜通りから」のバックナンバーがそろっています。

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