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Vol.275 現場からの医療改革推進協議会第九回シンポジウム 抄録から(4)-2

医療ガバナンス学会 (2014年12月2日 12:00)


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2014年12月2日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

2014年12月13日(土曜日)

【Session 04】14:30-16:00
地域医療II-地方の医療

●浜通りでの放射線検査および教育の現状、今後これらは何を目指すのか。
坪倉正治
筆者は2011年7月より、浜通り中通りのホールボディーカウンター設置機関にて内部被ばく検査に従事してきた。南相馬市立総合病院、相馬中央病院、ひらた中央病院、ときわ会常磐病院では定期的に内部被ばく検診結果が公表され、福島県内での日常生活上の慢性内部被ばくが非常に低いレベルに抑えられ、その状態が維持されていることが分かっている。乳幼児専用ホールボディーカウンター(通称:Babyscan)の検査結果も同様である。
しかしながら、現状の放射線被ばくに対する認識や不安は一様ではない。
放射線に関して、気にしない、日常生活での会話には出さない、寧ろ触れないで欲しい。と感じる住民が増えつつある一方、県産の食品に対する忌避傾向は、特に若い世代に依然として強い。アンケートでは子供を持つ保護者の約7~8割は県産の食品を敢えて選択しない。と答えている。外来での水の安全性に関する質問は多く、地元産の米使用のための説明会や見学会の参加者は少ないにも関わらず、反対は根強い。学校教育の場での妊娠・出産、将来への健康不安は依然として多くの生徒から聞かれる。
災害初期の掛け違いや不信、復興速度の場所による差、生産者vs消費者、賠償金問題、汚染レベル、元々の生活文化的背景の差など、状況を説明しうる理由は多くあるが、現状に対し検査を行う我々はどこを目指し、何を出来うるのであろうか。
放射線教育が、被ばく量の低減のみを目指すのでは無く、子供達の自信の回復や孤立の防止を視野に入れた市民教育の一部であるのと同様、内部被ばく検査を含めた放射線対策は、ただ被ばく量の定量化と低減を目指すものではない。個人の尊厳を維持し、地域の文化や歴史を守ることも重要な目的である。以上を踏まえ、現状の検査結果、不安および問題点、今後の方向性について議論したい。

 

●相馬地方の看護師数不足
森田知宏
私が勤務している相馬地方は福島県浜通りの北部に位置し、南相馬市・相馬市・新地町・飯舘村から成る。この地域は、2011年3月11日の震災、原発事故で大きな被害を受けた。私は、医学部6年への進学直前に東日本大震災を経験し、飯舘村での健康診断、初期内部被曝検査のデータ打ち込みなどのお手伝いをさせて頂いた。その縁もあって今年度から相馬地方へ赴任したが、同様の若手医師は多い。当院にはロンドン帰りの越智小枝先生(膠原病科)がいるし、南相馬市立総合病院では昨年から初期研修が始まり、2年連続で2名の枠が埋まっている。他にも嶋田裕記医師(脳外科)や尾崎章彦医師(一般外科)など、多彩な医師が来ている。
これは数字にも現れている。南相馬市立総合病院の常勤医は、2011年3月時点(震災前)では12名で、震災直後には4名にまで減少した。しかし、2014年7月時点では25名と震災前の倍に増えている。相馬地方全体でも、病院の常勤医は、79名から88名と増加傾向にある。もちろんすべての病院で増えているわけではない。しかし、少なくとも震災・原発事故の影響からはある程度回復できていると言えるだろう。
問題は看護師数である。先に挙げた南相馬市立総合病院では、看護師数(常勤換算)が132名から129名へ減少した。震災後に避難した先から通勤する方も増え、数字以上に戦力ダウンになっていると言う。その結果、230床ある病床のうち150床しか稼動できていない。相馬地方全体では、看護師数は726人から613人へと減少した。その結果、病床数では1498床のうち1074床しか稼動していない。
看護師数が医師のように回復していない原因は以下の2つが考えられる。①他地域から赴任してくる看護師が少ないこと、②看護師養成数が少ないこと、である。全国的に看護師不足の現在、①②は全国に共通する話題である。地域の特性や歴史を踏まえた解決策を考えながら、今後の対策について議論したい。

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