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Vol.282 現場からの医療改革推進協議会第九回シンポジウム 抄録から(8-2)

医療ガバナンス学会 (2014年12月8日 15:00)


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(参加申込宛先:http://medg.jp/mt/?p=2885 )

2014年12月8日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

2014年12月14日(日曜日)

【Session 08】11:15-12:15
教育と東北復興

●自転車を通して子ども達とのふれあい
新田祐大

私は、ロンドン五輪の経験を元に、競輪選手の傍ら、自転車競技で次のリオ五輪、2020年に東京を舞台に開催される東京五輪でのメダル獲得を目指しながら、母校である会津若松第二中学校、白河高等学校始め、福島、埼玉県内の幼稚園や学校などにお邪魔し、子ども達にスポーツや自転車の魅力を伝えています。
私が子ども達とふれあう中で一つ、大きなテーマとしていることがあります。それは、参加してくれた子ども達に『夢』を持ってもらうことです。
私がかつて長野五輪で金メダルを手にされたスピードスケートの清水宏保氏に心動かされ、自分の道を決めたように、スポーツには人に与える様々な効力があり、訪れた施設の子ども達には、自分の体験談やスポーツ理論によって、大小問わず夢を持ってもらい、将来のきっかけ作りになれたらと考えております。
講演を通して、子ども達から学ぶ事や驚く事もあります。
福島県いわき市内のときわ塾の子ども達や、かなや幼稚園の園児に向けて、スポーツ教室や講演を行った際のことです。
此方の子ども達は先生方の方針で、東京大学始めその道の“プロ”から本物を学ぶことが出来る素晴らしい環境にあります。
私も、その道のプロに教わることで正しい知識を持つことはもちろんですが、それだけではなく、印象に強く残る時間にもなり、志の高い夢を抱くことに繋がることになると考えております。
その中で、オリンピアンの一人として、また日常生活で多くの方が乗る自転車のプロフェッショナルとして、座学と体を動かしながら、スポーツの楽しさや厳しさを伝えましたが、子ども達からは、『私もオリンピック選手になりたい!』という生の声を聞くことができ、幼い頃から恵まれた環境にいることで、子ども達の目が養われていて、吸収したことを自らの言葉ですぐさまアウトプット出来る、この発信力に大変驚かされました。
いつの日か、震災の苦労を乗り越えて地元福島からオリンピアンが誕生してくれることも大変嬉しい限りですが、それだけではなく、子供の体力低下対策や子育て支援の一環として、オリンピアンでありプロの競技者である私は、自らのパフォーマンスでスポーツが生み出す元気や勇気、感動を与えると同時に、お会いする機会がある際には普及や啓発を図り、今後もスポーツを通して日本を元気にしていきたいと考えております。
●被災地福島県いわき市の病院が運営する学童『ときわ塾』
瀬谷知之

ときわ塾は、2013年7月下旬に開校した。主旨は「(Ⅰ)当法人に勤務している職員が、子育ての心配をせず、正職員として安心して働ける環境をつくる。(Ⅱ)被災地いわきの子どもたちに、充実した教育環境をつくり、家族が安心して生活できるような魅力ある街づくりに貢献する。」の2つである。
東日本大震災以降福島県の人口は減り、それに伴う医師、看護師不足は、当法人も例外ではなかった。そのような中、職員が子どもの小学校入学と同時に、今まで通り正職員として働き続けることが難しくなる、いわゆる「小1の壁」を改善するためにも院内学童を立ち上げることとなった。幸いにも当法人が教育施設を運営していたことと、私が以前教育に携わっていたこともあって、たくさんの方の協力を得て開塾することができた。場所は病院内の空きスペース(元面会室等)を使い、塾職員3名、子ども19名でのスタートだった。
夏休みということで、預かり時間は7:00~18:00、対象は小学1年生から6年生、そして20日間の日程をどのように充実したものにするか、当初は大いに悩んだ。 しかし、そのような悩みはすぐに解消された。震災直後から福島の復興のためにご尽力いただいている東京大学医科学研究所の上昌広先生などのご協力で、学生の方々がお手伝いしてくれることになったからである。
また、日本ビーチテニス協会長山田眞幹様、ロンドンオリンピック日本代表競輪新田祐大選手がスポーツの指導をしてくださるなど、院内学童が優れた教育の場に変化していった。
放射能に対する不安や仮設校舎での学校生活など、様々な場面で活動を制限されている子どもたちにとっては、貴重な経験ばかりで忘れられない夏休みとなった。職員からも好評を得、引き続き平日も実施することになった。現在も不安を抱えながら生活している子どもたちが、地元いわきに誇りを持ち、そして未来を担っていく「人財」となるよう、日々試行錯誤している。

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