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臨時 vol 117 【医療再生に向けた緊急提言】 ~医療システムの一体的な制度改革を!

医療ガバナンス学会 (2008年8月30日 11:59)


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構想日本
加藤秀樹療安全室副室長 江原一雅
 私たちは、多くの医療現場の皆さんと熱のこもった議論を重ねながら、医師不足の現状を分析し*1、また、その背後にある制度的な問題の洗い出しを行ってきました*2。
 政府は今年6月、80年代からつづく医学部定員削減政策を撤回し、定員の増員を決定しましたが、具体的な医師不足対策の議論は緒についたばかりです。構想日本では、来月中旬、1.医師配分、2.報酬点数、3.医療情報の三つの観点から、医療再生に向けた具体的な政策提言を公表する予定であり、今週その概要をプレスリリースしました。
 皆さん、ご意見、ご感想をお聞かせ下さい。(加藤秀樹)
*1 http://www.kosonippon.org/mail/bk080411.php
 http://www.kosonippon.org/project/detail.php?m_category_cd=26&m_project_cd=575
 http://db.kosonippon.org/question/data.php?id=35#cts
*2 http://www.kosonippon.org/temp/080606iryo_pressrelease.pdf
【医療再生に向けた緊急提言】
       ~医療システムの一体的な制度改革を!~
http://www.kosonippon.org/temp/080827iryo_teigen.pdf
 政府は今年6月、深刻な医師不足に対して、医学部定員の増員を決定し、また来年度予算の増額も明言しました。現在、厚生労働大臣の私的諮問機関(「安心と希望の医療確保ビジョン」具体化に関する検討会)において医療再生に向けての審議がつづけられており、その政策メニューの概要も公表されました。
 しかし、本質的な医療再生のためには、個々の政策の実現だけでなく、それらの背後にある医療システムの一体的な制度改革が不可欠です。構想日本では、(1)医師配分、(2)報酬点数、(3)医療情報の3つのシステムについて、概要以下のような改革プランを提言します(改革プランの具体的内容は9月中旬に公開予定)。
       ○構想日本医療プロジェクト・チームからの緊急提言○
1 医師配分システムの見直し
  <政府主導の医師配分システム⇒第三者機関を通じた医師配分システム
 現場から乖離した政府主導の医師研修・派遣制度*1を改め、専門家から成る第三者機関を通じた全国規模の医師研修・配分およびその成果検証システムを構築することにより、医療の質向上と、地域や診療科ごとの担当人口および担当面積当たりの医師(指導医・専門医・家庭医等)、研修医各ポストの全国的な適正配置を促進する。
2 報酬点数システムの見直し
 <全国一律、一物一価の報酬点数システム⇒現場の業務に即した報酬点数 システム>
 1958年からつづく中央統制の報酬点数システム*2を改め、地域や医療機関によって異なる業務内容に即した報酬点数システムを構築することにより、労働対価の保証と多様な雇用形態(交替勤務制や短時間労働、病院内開業など)の実現を促進 する。
3 医療情報システムの見直し
 <中央管理・統制型の情報システム⇒患者や医療者のアクセスしやすい情 報システム>
 政府 が集計、管理し、公開の進まない医療情報システムを改め、個人情報を匿名化した上での情報公開を進める。また、地域および医療機関内の情報共有を制度化する。これらによって、患者や医療者にもアクセスしやすい双方向の情報システムを構築する。
*1 「新医師臨床研修制度」(2004年4月発足)および「緊急臨時的医師派遣システム」
  (2007年7月発足)
*2 「健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法」(1958年厚生省告示)
 構想日本は、医療崩壊を食い止め、国民に安心な生活を取り戻すため、主に以下のメンバーの方々と共同で政策提言します。(五十音順)
網塚貴介(青森県立中央病院・新生児集中治療管理部・部長) 有賀徹(昭和大学・救急医学・教授)海野信也(北里大学・産科婦人科・教授)太田寛(日赤医療センター・産科)加治一毅(医師・弁護士・加治法律事務所)加部一彦(愛育病院新生児科・部長)上昌広(東京大学・医科学研究所・探索医療ヒューマンネットワークシステム・特任准教授)神津仁(神津内科クリニック・院長)嘉山孝正(山形大学・医学部長)神田橋宏治(東京日立病院・内科)久保千春(九州大学病院・病院長)熊坂義裕(宮古市長・医師)河野 博充(帝京大学医学部附属・溝口病院薬剤部長)小林一彦(JR東京総合病院・血液内科医長) 鈴木真(亀田総合病院・産婦人科・部長)木田博隆(三重大学・公衆衛生学・助教)木戸道子(日赤医療センター・女性診療科・副部長)小松秀樹(虎ノ門病院・泌尿器科・部長)杉浦正俊(杏林大学・小児科・准教授・新生児医療連絡会事務局長)土屋了介(国立がんセンター中央病院・院長)戸堂耕造(阪南市立病院歯科口腔外科)中村利仁(北海道大学・医療システム学・助教)西田幸二(東北大学眼科教授)野村麻実(国立病院機構名古屋医療センター・産婦人科) 樋口紘(岩手県立病院・名誉院長) 堀江重郎(帝京大学泌尿器科・教授)堀見洋継(東京大学・医療政策人材養成講座・特任研究員) 本田宏(済生会栗橋病院・副院長)満岡渉(満岡内科・循環器科・院長・諫早医師会理事)森臨太郎(大阪府立母子保健総合医療センター・企画調査室・室長) 松原要一(鶴岡市立荘内病院・院長)武藤徹一郎(癌研有明病院名誉院長・メディカルディレクター )森田茂穂(帝京大学・麻酔科・教授)山口拓洋(東京大学・臨床試験データ管理学・特任准教授)山田芳嗣(東京大学麻酔科教授)和田豊郁(久留米大学病院情報部・准教授)渡辺賢治(慶応大学・漢方医学センター・准教授)
★お問い合せ:構想日本 西田/田口  TEL:03-5275-5607
               E-mail:info@kosonippon.org
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