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vol 15 すずかん通信「後期高齢者医療制度 実のある議論と政策報道を!

医療ガバナンス学会 (2008年8月8日 12:09)


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 後期高齢者医療制度 実のある議論と政策報道を!
鈴木寛(通称すずかん)


 後半国会の最重要課題である後期高齢者医療制度。この問題に長く取り組んできた私としては、議論の盛り上がりが遅すぎたと言わざるをえません。平成18年、小泉政権の下でこの制度を導入する法律が制定された際は、報道は強行採決のことばかりに集中し、そのため国民の認識も議論も高まりませんでした。我々は当時も、昨年の選挙でも反対し続け、今年2月28日に廃止法案を提出しましたが、与党に3ヶ月間審議拒否されました。私は3月に井の頭公園にて中止撤回を求める集会でも1万2千人を前に訴え、4月前にやめさせようとしましたが、やはり報道はほとんど注目しませんでした。
将来の問題を先んじて警鐘をならすのがメディアの責任だと思いますが、75歳以上の方々の保険料支払いが実際に始まってはじめて、事の重要性に気づいたのです。
5月23日、私も提案者となり、参議院に改めて廃止法案を提出しました。槍玉にあがっている天引きはもちろん問題ですが、所得の少ない75歳以上の方の保険料をどう削減するか、そこを改善しなければ、本質的な解決にはなりません。現在の保険料負担は高齢者:若年者:税金が、1 :4 :5です。私は、この比率を0.5:4:5.5とし、所得割は残し、均等割分を無くすべきだと思っています。
そもそも後期高齢者医療制度は、医療よりも財政負担軽減を優先した小泉内閣が推し進めたもの。改めて、これでいいのか? 国民の皆様に問うべきだと思います。例えば、一般財源化されるガソリン税のうち1リットルあたり10円を医療に回し、タバコ税を1本10円値上げ、酒税も1リットル100円値上げすると、実質5兆円超が捻出でき、現在の医療への税金投入額約9兆円を1・5倍にできます。
後期高齢者制度は廃し、一旦元に戻した後に、本格的に作り直した新制度を導入しなければなりません。私は、年齢、雇用形態、地域などで差別されない制度こそが必要、つまり、年金も医療も一元化の方向が妥当だと思います。
さらに、地域間の収入調整は行いつつも、原則的に保険料体系と診療報酬体系を同じ主体が、現場の声も聞きながら自律的に決めていくようにします。それが納得の制度づくりに資すると考えます。
著者紹介
鈴木寛(通称すずかん)
現場からの医療改革推進協議会事務総長、
中央大学公共政策研究科客員教授、参議院議員
1964年生まれ。慶應義塾大学SFC環境情報学部助教授などを経て、現職。
教育や医療など社会サービスに関する公共政策の構築がライフワーク。

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