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MRIC vol 9 すずかん通信「新型インフルエンザ 今できる対策がもっとあるはずです」

医療ガバナンス学会 (2008年5月10日 13:07)


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                      鈴木寛(通称すずかん)



新型インフルエンザの脅威が高まりつつあります。高病原性鳥インフルエンザH5N1による人への感染症が数多く報告されているのです。人から人へ効率よく感染するように変異を生じれば、ほとんどの人が免疫を持たないため、世界的大流行(パンデミック)となってしまいます。有名なスペイン風邪では、国内でも35万人を越える死亡者数を数えたとされています。
日本での対策の現状は、中核対策機関の研究員数がアメリカの10分の1以下、抗ウイルス薬(効果は不明のようですが)の備蓄率も決して高くありません。スイスや他の先進諸国の対策とは、かなり開きがあるようです。
たとえば、鳥型のH5N1から作り、予防効果が期待できるかもしれないプレパンデミックワクチン。スイスでは全国民への事前接種が予定されています。一方、日本政府の備蓄はようやく2種類1千万人分。接種時期も、新型インフルエンザの発生を確認した後です。
平成19年度の補正予算では備蓄費用として40億円が計上されましたが、道路に年間6兆円つぎ込むことを考えれば、たとえ400億円でも多すぎることはないでしょう。接種対象者をどこまで拡大できるか、それによる増加分の予算をどう捻出するか、検討を急がねばなりません。
「スイスのように新型インフルエンザの発生を待たず、十分なインフォームドコンセントの上で希望者に漸次、有料でも接種を開始すべきでは」との提案も受けました。そもそも現在ワクチンは、製造開始までに半年以上必要で、接種後に効果が現れるまで1カ月かかるそうです。
私はこの提案の是非を評価するだけの専門知識を持ち合わせていませんが、いま大切なことは、日本と諸外国のこうした対応の違いについても情報を共有し、議論を深めることです。
新型インフルエンザによる死亡者数は国内だけで数十万人とも推測されており、医療面だけでなく、その社会的影響ははかりしれません。とるべき対策を把握しながら、予算確保が難しいという理由だけで議論しないのは問題です。情報をきちんと公開して、判断を国民に求めるのが政治や行政の役割です。
この記事はロハス・メディカル5月号に掲載されています。
著者紹介
鈴木寛(通称すずかん)
現場からの医療改革推進協議会事務総長、
中央大学公共政策研究科客員教授、参議院議員
1964年生まれ。慶應義塾大学SFC環境情報学部助教授などを経て、現職。
教育や医療など社会サービスに関する公共政策の構築がライフワーク。

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