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臨時 vol 6 輸血による悲劇を繰り返さないために (2) 「米国血液センター協会からの提言」

医療ガバナンス学会 (2008年1月28日 14:25)


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欧州およびアジアの各国は輸血血液の病原体汚染を食い止め、輸血患者の安全性を保証するために病原体の不活化技術を導入している。それはWHOの勧告にもあるようにウイルスをはじめとする多くの病原体リスクがグローバル化や地球の温暖化により高まっている課題への対応の結果である。現在、欧州、アジアで使用されている病原体不活化技術は著名な化学者であるJohn Hearst教授(Professor Emeritus, Department of Chemistry, Berkeley, University ofCalifornia)の発見、発明によるソラレンを用いた技術Intercept Blood Systemである。  以下は、不活化技術導入が欧州に比べ遅れていた米国からの情報として、今月11日号の米国血液センター協会発信のNewsletterである。米国も輸血血液の病原体リスクへの対応の動きが早まりそうだ。結局、医療先進国では日本だけが今回もまた取り残されることになってしまう。  米国厚生省(Department of Health and Human Services、HHS)の血液製剤の安全性と供給に関する委員会は、厚生大臣に対して緊急に、安全で効果的な血液製剤の病原体を減少させる技術の開発とその実用化を、既にこの技術が開発され実用化されていることを受けて優先して取り組むように提言した。  また委員会は、HHSに対してこのような技術の開発と実用化に障害となっている現状を打破するために、資源を投入するようにと提言している。現状では病原体一つ一つに対する検査は、費用と複雑さの問題から、それ自体がさらに血液製剤の安全性を革新的に高める際の障害になっている。安全性を高めるための更なる投資は、現在の血液製剤供給者にとって魅力的には見えないことが原因となっ ている。  ワシントンで1月9日、10日に開催された会議の参加者は、以下の決議を提言としてまとめる事を承認した。  病原体を減少させる技術の効果と安全性の集積された情報は、この技術を新たに出現してくる可能性のある病原体に対して幅広く対応可能な技術としてこれを導入することに努力すべきである。ここで言う技術とは、世界的に使われている血漿由来製剤の病原体減少システム、或は欧州で使われ始めている血液細胞の病原体減少システムである。  委員会はこの提言を、輸血を受ける患者の既知の感染症の危険性を下げることを目的としている。また委員会は、現在の検査方式では、新たな病原体が確認されるまでに病原体の感染が広がってしまう危険性も指摘している。  病原体の減少技術は高コストになる可能性があるが、しかし現在実施されている運用を止めることにより相殺されると委員会は考えている。例えばガンマー線照射、白血球除去、細菌検査、或はマラリアなどの危険性地域への旅行のため献血を一定期間禁止する措置などである。委員会はさらに病原体減少技術は検査結果の偽陽性による献血血液の減少、或は検査していない病原体のある地域への旅行による献血の出来ない期間を無くすことにより献血血液を増加させる効果があると指摘している。    輸血後肝炎の問題を抱える日本において、有効な病原体不活化技術の導入に向けた安全性の議論を深め、早期に国家レベルで検討していく必要がある。

 

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