臨時 vol 62 「さっそく舛添大臣のもとへ行きましょう!」
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仙谷議員の力強いお言葉、CML特定疾患指定への期待
血液疾患患者の会フェニックスクラブ・事務局
野村英昭
去る3月11日、がん治療の前進をめざす民主党議員懇談会(会長:仙谷由人議員、事務局長:古川元久議員)の主催する「慢性骨髄性白血病(CML)に関する勉強会」を傍聴してきました。私たちCML患者のおかれている状況と厚生労働省に対する当面の願いは、同日配信していただいた【臨時 vol.47「安心して生き続けたい!」CMLに特定疾患指定を】(http://mric.tanaka.md/2009/03/11/_vol_47_cml.html#more)でもお伝えしましたとおり、以下の1点につきます。「グリベックやインターフェロンで治療している慢性骨髄性白血病(CML)を、『高額長期疾病(特定疾病)にかかる高額療養費の支給の特例』の対象としてください」今回の勉強会は、これについて一定の収穫があったと実感できるものでした。当日の議題「慢性骨髄性白血病の特例疾患認定について」の中で交わされた議論について、以下、ご報告させていただきます。【 理解の進んでいない「骨髄移植との関係」 】今回の勉強会でまず認識させられたのは、国会議員の方々にも、CML治療の進歩についての理解がまだまだ進んでいない現実でした。たしかに骨髄移植は血液疾患の治療としては、大変有効な治療法には違いありません。しかしCMLについては、もう数年前からグリベックによる治療が第一選択として定着しています。このことは、会場におられた医師の先生方が、議員の方々に対し非常に適切に説明してくださいました。【 議員の方々との共通認識の形成 】特に、グリベックについては、医師の先生方から次のようなご説明がありました。●今までの治療(インターフェロンや骨髄移植)に較べ、治療効果が高い(86%vs 36%)。●同じく、副作用が格段に少ない。結果としてQOLの向上。●ただし事実上、一生、服用する必要がある。●つまり、最低でも月額50,000円程度の出費が延々続く。これでまず、議員の方々の理解が一気に深まりました。また、費用の問題については、厚労省職員(課長)からもその場で説明がありました。最初に、現在の制度でも高額療養費の多数該当の適用を受け、通常、毎月44,400円の負担となることが確認されました。のみならず「高額長期疾病」に指定されている3疾病(人工透析の腎不全、血友病、HIV)について、その人数と負担額についての説明もあり、これに対し医師の方々からさらに、●人工透析の25万人・1兆円超の国家負担からすれば、全国でおそらく8000人程度のグリベック常用の患者に対する数億円の負担は、無理な額ではない。●実際、韓国では無料化されている。など、心強い意見をいただきました。もちろん厚労省側は「国民の負担への納得」「同様の要望が出されている他の疾病とのかねあい」「保険財政」等を引き合いに出し、慎重なスタンスをくずすことはありませんでしたが、こうしたやり取りを通じ、「いまやグリベック等による治療が主流となっている慢性骨髄性白血病(CLM)は、『高額長期疾病』の一つに指定されるだけの要件を備えている」という共通認識を議員の方々との間に得られたことが、最初のステップとなりました。【 患者の心の声を、じかに、一人ひとりへ 】患者側からは、目の前の議員の方々に、日々の窮状について具体的な例を交えつつ訴えかけました。いずみの会会長の田村氏からCML患者会員らの現状報告がなされ、また、私どもからも「相手への負担を考えると結婚に踏み切れない」「年金生活となった後が不安」といった、経済負担が長期にわたるからこそ生じる独特の精神的負担や不安をお伝えしました。さらに全国骨髄バンク推進連絡協議会会長の大谷貴子氏からは、会場にいらしていた2名のCML患者が紹介されました。それぞれ、2人そして4人の子を抱えるお母さんたちでした。「子どもが今は小中学生でさほどお金がかからないからやってこられたけれども、今後、高校・大学への進学を、私の治療費を理由にあきらめさせたくない。薬を休むか真剣に悩んでいる」「私の薬代のせいで、これまでも子どもたちに我慢ばかりさせてきてしまった。本当に申し訳ない」。――傍聴席から見ていても、議員の方々一人ひとりの心に、彼女たちの声が確かに届いたように感じました。【 仙谷議員「さっそく舛添大臣のところへ」 】今回の勉強会では終始、主催する懇談会会長である仙谷議員のリードが冴え渡っていました。仙谷議員は議論の途中途中で、「CMLを高額長期疾病の一つに指定することで、国は新たにどれだけの額を負担することになるのか」「他に要望が出されている疾病についても指定していくと、総額どれくらいの費用が見込まれるのか」といった鋭い質問を厚労省側に投げかけました。しかし、それらについて厚労省では資料を準備しておらず、回答は保留となっています。また、厚労省側が「高額医療費の多数該当をもって対応している」という姿勢を崩さないことに対し、「そもそも”多数”という言葉自体、おかしいのではないか。通常のがん治療であれば確かに1~数年といった短期集中型が想定され、“多数”という概念に当てはまる。しかし、CMLの場合は一生継続を強いられ、すなわち”常時”であって、その扱いは別途検討されてしかるべきである」という指摘をされました。私どももこの”多数”という言葉には以前から違和感を感じていましたので、まさに痒いところに手が届いたような感覚でした。そして何より大きかったのは、私が傍聴席から「高額長期疾病の特例については法律を変えなければいけない問題ではなく、厚生労働大臣の指定があればよいこと。ぜひ議員の皆様からも働きかけていただきたい」とお願いしたことに対し、仙谷議員が「さっそく舛添大臣のところへ行きましょう」という旨、ご発言くださったことです。そして実際、近日中にアクションを起こしてくださるという話も伝え聞いています。議員のみなさんによって、舛添大臣のところにこの要望・情報が直接届けられることを大いに期待しています。白血病はある日突然、普通の生活を送っている普通の人に襲い掛かり、何ということもない日常を奪い去ろうとします。私たちの願いは、できるだけ長く、安心して、普通の生活を送りたいということ、ただそれだけです。今後私たちにどんな行動ができるか相談中ですが、皆様、引き続きご理解ご協力のほど、何卒宜しくお願い申し上げます。※MRIC編集部より事後報告3月11日の勉強会を経て、19日、仙谷議員が舛添大臣と面会しました。大臣からは、「関係者全体のコンセンサスを作ることが難しいが、何かできるか、至急検討課題とする」旨のコメントがありました。大臣の意向を形にするためには、世論の盛り上がりが一番の推進力となりそうです。