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Vol.200 常磐病院 救急センター奮闘記【オープンから3か月、DMAT1】隊員になりました】

医療ガバナンス学会 (2015年10月8日 06:00)


公益財団法人ときわ会常磐病院
看護部中央外来 柴田幸子

2015年10月8日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


5月11日、当院救急センターは専従救急医1名、看護師1名で運用開始しました。腎泌尿器科メインの病院が2次救急体制を構築するという大目標に向かって、半歩、いえ4分の1歩ずつ千里の道に向かって歩みを進めています。

【始まりは大掃除】
我が救急センターは5月10日までは、様々な部署を巡って活躍してきたであろう、点滴スタンドや不揃いの椅子などの物品たちが静かにたたずんでいる場所でした。誰がどのように管理しているのかもわかりません。そこで、まずはどのような物品がどれだけあり、管理部署はどこかを知り、清掃や整理整頓しながら環境整備を行うことから始めました。チリや埃を相手に「ギャー」と叫んだり、ベッドマットレスを天日干しにしている間に、物品たちに愛着が湧き、「これからよろしく」と撫でたくなるような気持ちになりました。さらに、「この木台はE先生特注の処置台」などのエピソードを知り、心強い相棒を得た気持ちで5月11日を迎えることができました。

【救急センターの相棒は地域連携課】
5月11日以降、救急センターは平日の日中のみ稼働しています。その他の時間帯は、5月10日までと同様、当院の医師が交代で救急を担当しています。現在のところ、救急車受入れ率は上昇傾向にありますが(昨年7月41.8%→本年7月48.7%)、課題は患者に入院加療が必要と判断した後の対応です。
腎泌尿器科がメインの当院では、内科や外科の外来及び入院診療も行っていますが、限りあるマンパワーと医療資源で診療を行っており、すべての患者さんの入院を受け入れるのは難しい状況です。そこで、救急センターの相棒、地域連携課(以下、連携課とします)の力を借ります。連携課のSさんは地元出身で、いわき市内の医療機関各々の強みや、「○○病院の先生は兄弟でお医者さん。○○科はお兄さんがやっている」という地元の方ならではの情報をお持ちです。「Sさん、○○科がある病院を探して」の一言で、患者さんの入院先を確保してくれます。私たち医療者は、Sさんをはじめとするコメディカルの皆さんのお陰で医療行為に専念できています。

【救急、災害医療成功のカギは、communication】
このように救急センターは、病院内外の様々な職種の方々と協同することにより運用できています。このたび、協同に必要なcommunicationの重要性を実感する機会がありました。
常磐病院を含むときわ会グループは、東日本大震災の際に、全国の皆様からご支援いただき、584名の透析患者さん及び、75名のスタッフの避難を行うことができました2)。そこで、当院も災害医療を担える医療機関をめざして、8月8、9日、福島県DMAT隊員養成研修(以下、DMAT研修とします)を受講しました。受講者5名のうち、筆者以外は救急医療については、ほぼ初心者です。そこで、私たち受講者はDMAT研修前に、救急救命士をはじめとする消防署員の方から外傷患者の病院前救護を学ぶ、JPTEC3)コースを受講しました。

JPTECコースでは「防ぎ得た外傷死3」」の撲滅を目標に様々な共通言語を使用します。例えば、「ロード&ゴー」とは、重症外傷が予測される傷病者の、生命維持に関係のない部位の観察や処置は、現場では極力省略して搬送時間を短縮し、詳細な観察は救急車内収容後に行う、という概念です3)。医療者が「ロード&ゴー」の概念を知っていれば、患者の病態や緊急性、救急隊員がどのような判断や処置を行ってきたのかということを予測できます。一刻を争うような救急医療の現場においては、共通言語を使用することによって、患者さんが得る利益は少なくないのです。
迎えたDMAT研修では研修のポイントとして、「仲良くなること」が強調されていました。しかし私は、いまひとつ重要性を理解できないまま、研修最終日の列車事故現場を想定した訓練を迎えました。

事故現場で傷病者は緊急度・重症度別に現場救護所へ収容されます。各救護所のリーダーは、医療機関での治療が必要な傷病者を選別し、医療機関までの搬送に耐えられる治療を行うために、情報(C:Communication)とヒト、モノの管理を行います。しかし、受講者は目の前の傷病者の対応に集中してしまい、リーダーに情報が集約されないうちに傷病者の搬送が始まっていたり、重症者と軽症者が同じ救護所にいるという混乱した状況に陥りました。座学で「災害医療のボトルネックはC:communication」と学んだ通り、ボトルネックに陥ったのです。JPTECコースで身につけた共通言語も、communicationによって活用されなければ患者さんの利益にはなりえません。災害現場では、自分の隊の隊員以外は初対面であることが大半です。しかし、医療者の役割を発揮するためには、初対面のメンバーと短時間で信頼関係を構築できるcommunication能力も重要な能力の一つであることを実感しました。
災害、救急医療共に最も重要なことはcommunicationです。今後もcommunicationを基に、知識、技術を身に着けながら2次救急体制構築に向けて、千里の道を4分の1歩ずつ、歩みを進めていきます。

1)DMATとは DMAT事務局ホームページ http://www.dmat.jp/DMAT.html
2)新村浩明 Vol.501 東日本大震災1年 透析患者移送その後の記録 2012.

http://medg.jp/mt/?p=1702

3) JPTECとは 一般社団法人JPTECTM協議会ホームページ

http://www.jptec.jp/aboutus.html

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