医療ガバナンス学会 (2016年1月14日 06:00)
そして、デイサービス開所してまもなく、40代の脳梗塞後のリハビリをされている方と出会いました。この方の「もっとリハビリを続けたい」という思いをどうにかかなえてあげたい。という思いで脳梗塞リハビリセンターの設立に向けた準備を開始しました。
脳血管疾患の病院での治療やリハビリを終えた方の退院後のリハビリ環境は主として介護保険を利用した環境があります。前出の方も、この制度を使っての利用でした。しかし、週の回数が限られており、お金を出してでもリハビリ回数を増やすということができにくい環境にあった方でした。このような方でも通える場所をということで、昨年9月に脳梗塞リハビリセンターを設立しました。
設立から1年3ヶ月が過ぎましたが、これまでに当リハビリセンターにお越しいただいた方は660人を超えます。
開設後、東京・神奈川・千葉の施設近隣のみならず北は北海道から南は福岡まで全国から通っていただいており、また最近はドイツや中国といった海外からもお越しいただいております。
年代は70代未満の方が約75%を占めており、働き盛りの年代の方を中心に社会復帰や機能回復を切に願う方々が多く通っていただいていて、最近は、医師やそのご家族の方々からもご予約をいただき、少しずつではございますが新しい選択肢の一つとして認知されつつあると感じています。
まだまだ例数は少ないですが、少しずつ、卒業される方も出てきました。
まずは2年前に脳梗塞を発症した50代男性の利用者の方です。この方は、右半身麻痺や口のしびれが残り、担当の医師からは「もしかしたらこのまま車椅子から立てないかもしれない」と言われていましたが、「なんとか社会復帰したい」思いで、脳梗塞リハビリセンターに通われることになりました。リハビリにより、キーボードが打てるまでに回復され、現在では職場復帰をなさり、脳梗塞リハビリセンターも卒業されました。終了時に、脳梗塞リハビリセンターの存在を知って、希望の光が見えました。という言葉を頂いたときには「脳梗塞リハビリセンターを作って良かった。」と職員一同で喜びました。
30代で発症されたBさんは、6年前に脳出血を発症。左手が麻痺。装具・杖に頼らず歩きたいとの想いで脳梗塞リハビリセンターを見つけ、通われてきました。週1回のペースで通われ、懸命なリハビリを経て社会復帰をすることができました。
現在は自分の足で歩き、運転して色々なところへ出かけることや趣味のゲームをできるようにテープで手を支える工夫をするなど、前向きに生活を楽しむことができているとおっしゃって下さっています。リハビリセンターの利用については、身体の状況について説明を求めれば応えてくれるマンツーマンリハビリが自分には合っていました。先生から聞いたことを自分で意識しながら身体の部位をゆっくり動かすトレーニングも寝る前に毎日続けていますと卒業された今の様子を教えて下さいました。
昨年、脳梗塞を発症し右下肢が麻痺となった70代の女性の方は、病院では一生車椅子だと言われ、暗い表情でリハビリセンターに来られました。
リハビリ難民と化していくら頼み込んでもどこもダメでした。歩くことを諦めていましたが、脳梗塞リハビリセンターを娘が見つけてくれ希望を持ち、集中的に近隣ホテルに泊まり込みで脳梗塞リハビリセンターに通うことを決意しました。
毎日のリハビリを経て、杖すらも使わず一人でトイレに行くことができるまで改善し、今まで家族に声をかけなくても一人でできるようになったことは本当に嬉しかったですと笑顔で話されていました。
この3人の方の他にも、現在通われている方は、「自分の足で歩きたい」「パソコンを打てるようになりたい」「麻痺になった右手で寿司を握れるようになりたい」「営業職なのでちゃんと言葉が喋れるようになりたい」「娘にお弁当を作ってあげたい」「理容師をしておりもう一度ハサミを持ちたい」「自分で料理を作りたい」といった目標や夢をもって脳梗塞リハビリセンターへ通っておられます。
そして「自分の目標や症状に応じたリハビリ環境が整っていない」「介護保険施設ではグループリハビリで個別機能訓練が少ないため維持はできても効果が期待できない」といった声にも対応できる、そして、「リハビリを続けたい」という思いを支える選択肢の一つとして浮かび上がる脳梗塞リハビリセンターになるよう、新たな選択肢の一つとして位置付けていただけるような施設を目指していきたいと考えております。
脳梗塞リハビリセンターHP
http://noureha.com/