医療ガバナンス学会 (2009年10月5日 06:10)
この度の総選挙では、私ども民主党を勝利させてくださり、ありがとうござい
ました。ご期待に応えられるよう気を引き締めて参ります。
今回は少し趣向を変えて経済の話をしたいと思います。通商白書によれば、アジ
ア諸国の中間所得層は08年には90年の約6倍の8億8千万人まで増えています。
その人たちに価値あるものを提供し対価をいただくのでなければ、日本の成長は
あり得ません。
日本が世界トップレベルの水準にある高付加価値分野の代表格が環境と医療です。
製造業は工場の海外移転などもあって必ずしも雇用につながりませんが、医療は
間違いなく雇用を創出します。そして外貨の潤いは、医療水準向上の果実となっ
て地域にも還元されます。
この観点に立つと、過去20年ほどの医師養成数抑制が、いかに大失政だったか改
めて分かります。せっかく外からの需要を呼び込める分野だったのに、現状では
国内の需要さえ満たせていません。
短期的には人材の育成を急いで、崩壊しかけの体制を建て直し、中期的にはアジ
ア全体の需要に答えるだけの質量と研究開発力を養うことが肝要です。
既に萌芽は見られます。東京大学医科学研究所の中村祐輔教授が開発したがんの
ペプチドワクチンは、強い副作用なしに高い延命効果があると確かめられてきま
した。成果を真っ先に日本人が享受でき、しかも今後、世界中の人に喜んでお金
を払ってもらえるようになると思われます。
もう一つ、千葉県鴨川市にある亀田総合病院が8月に国内の病院として初めて国
際的な機能評価認証(格付け)に挑戦しました。同病院は房総半島の南端に位置
し、とても交通の便が悪いのに日本中から患者が訪れることで知られています。
今後は同じ県の成田空港を利用して、アジアなどの患者たちがどんどん訪れるよ
うになることでしょう。
このような世界の一員として貢献する動きを、今までの厚生行政は規制するだけ
でしたが、今後は国と現場とがコラボレートしながら推進・普及していくことも
大切だろうと思います。