医療ガバナンス学会 (2009年3月14日 14:18)
●医学的準則
「開腹前、あるいは開腹後一見して、
きたものについては、胎盤を剥離せずに子宮を摘出する。
は、出血していても胎盤剥離を完了させ、
作を行い、それでも止血できないときに子宮を摘出する。」
この準則により、
た。この判決は、医療現場の実情を重視した点で画期的だが、
ているわけではない。
私自身、穿通胎盤患者の子宮を摘除したことがある。
に示された準則とは異なる行動をとった。
われた。胎児を出し、胎盤を摘除した。
きく開いた。子宮に限定した問題ではなかったので、
ないまま、ガーゼを詰め込んで止血した。
たが、やはり、そのまま創を閉じた。
私は学会で山梨県内にいなかった。山梨に戻った後、
査で、膀胱後壁が大きく欠損しており、
から膀胱に尿を運ぶ管の膀胱への出口)
三度目の手術を私が執刀した。手術前に文献を調べ、
国のマイナーな雑誌に似た症例の報告があったが、
右尿管を剥離切断。尿管口を含めて膀胱壁を正常部分で切離し、
子宮に膀胱の一部をつけて摘除した。
縫合閉鎖した。萎縮膀胱になることが危惧されたが、
明らかな穿通胎盤だったにも関わらず、最初の2回の手術では、
なかった。この対応は結果からみれば適切だった。
医療と司法では考え方が異なる。
未来に向かって変化しつづける。
依存している。仮説的であり、暫定的である。
な知見が加わり、進歩がある。医療現場では、
い。難しい症例は常に新しい。
持っている方法を、想像力で結びつけることが優先される。
考え方の違いをどう理解するか。
●機能分化の時代
社会は、
族や農民などの階級に、あるいは、
層分化の時代を経て、機能分化の時代に入った。世界は、司法、
済、学術、
ている。
個々の社会システムは独自の領域を持ち、
医療は、統計学と英語を基本言語として、
新している。司法は、医療を扱う場合にも、
司法の言語におきなおし、司法の論理で医療の問題を扱う。
経済における金銭、学問における業績、
それぞれのシステムの作動の中で決められていく。
ニクラス・ルーマンは社会システムを大きく二つに分類した。
(法、政治、メディアなど)は物事がうまく運ばないとき、
範や制裁を振りかざして相手を変えようとする。
学、テクノロジー、医療、運輸など)
て知識・技術を進歩させる。
時代とともに、
なってきた。規範的予期は、認知的予期を理解しないまま、
を欠く規範によって、社会の営みを阻害する。
例えば、07年6月施行された新建築基準法は、
に、厳格な規則の体系で現場をしばった。建設が激減し、
07年度の日本のGDPを0.3%から1%近く低下させた。
の害が大きかったのではないか。
世界の医療機器マーケットが拡大している中で、
いる。日本では、
開発に対する厚労省の立場を、ある課長補佐が「私どもは、
審査をするところでして産業振興・
した。医療機器を開発させないと言っているように聞こえる。
機構の調査で、企業の医療機器開発への参入意欲が低いこと、
「行政の許可承認を事業の阻害要因と強く感じている」
る。
●近代憲法
日本国憲法を含む近代憲法は、ロック、ルソー、
基盤にある。同時に、アメリカ独立戦争やフランス革命など、
な状況に対応するための方法を、
リカ独立の指導者には、
はずである。近代憲法は、現代の高度な医療、科学、
治権を行使するための立法、行政、司法を規定するが、
述はない。患者を治すのは医療独自の領域であり、
のは、医療システムの外縁である。国家を、
位規範からなる法秩序そのものだとするケルゼンの認識は、
会システムを包括しうる規範の大体系であるがごとき誤解を、
ちに与える。彼らは安易に、無理な規範で実情をしばる。
に対するチェックが不足している。
憲法の歴史に根ざす限界が日本で顕在化している。