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臨時 vol 328 「中医協から日医が外れた」

医療ガバナンス学会 (2009年11月7日 13:14)


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医療制度研究会・済生会宇都宮病院
中澤 堅次


中医協に長年委員を送っていた日医推薦の枠が取り払われた。メディアなどで
歓迎の論評を目にするが、医療者として複雑な感慨を持つ。民主党政府の方針は、
簡単に言えば病院に点数配分を上げて、診療所の配分を少なくする方針とも受け
取れる。民主党は医療全体にはまだ余裕があると考えているのかもしれない。

日医の今までの方針は、自らの団体の利益のために、政権与党を応援するとい
う考えで、自民党の大敗で団体の大儀を失った。執行部をすげ替えて民主党支持
に変われば良いと言うほど大儀は甘くない。日医は利益団体という大儀を見直す
良い機会であると考えるべきである。

日医が代表権を失い、大学や病院経営者の代表だけの意見を参考に医療政策が
決まってゆくことにも問題がある。政府という上からの目線で医療団体を見ると、
利害が相反する病院と診療所に分断されて見えるが、病者に医療を提供するとい
う本来の考え方に立つと、医療は病院だけがやっているわけではないことが分る。
インフルエンザの対応にはマンパワーが必要だが、大学だけでできるほど病気と
の闘いは甘くない。分断されているとはいえ、片方をつぶすことは機能の一つを
失うことであり、医療者がダメージを受けると同時に病者にもダメージが及ぶこ
とになる。

病院の疲弊は十分原因が検証されたわけではないが、少なくとも医師会の略奪
により生じたものではない。自民党政権下で展開された低医療費政策が病院の部
分を抑制して展開したからで、本質は医療費削減政策の結果というべきである。
医療費が低いことで起きた問題であれば、医療費を上げなければならないがその
財源はない。片方を削って得た財源でもう一方の資金を賄う手法は、上から見れ
ば帳尻が合ったとしても、医療を受ける側から見れば新たな機能不全がおきるリ
スクを考えなければならない。異なったグループ間で均等化を図っただけでは問
題は解決しないということである。

問題は高齢者の医療に必要な財源をどのように調達するかに集約される。消費
税しかないと私も思うが、いずれにしても国民が負担する以外に選択肢は無い。
自分達の利益を守ることが医師団の大儀である限り、その費用を負担する国民の
理解は得られない。生活保護者に必要の無い手術を行うなど、医の倫理に反して
まで自分の利益を追求する行為が実際にあったのであれば、自ら真相を明らかに
せずに看過するような医師会では、国民が医療費の負担をする社会では生き残れ
ない。人的な余裕はないが医師団も自らを律する仕組みが無ければ同じ運命をた
どる。

中医協の出来事は日医から見れば面子をつぶされたことになるが、それは今後
存在し得ない旧式の大儀を見直す良いチャンスだと思う。大儀は何か、病を得た
国民と、負担する立場にある国民に応えるために、病者の立場に立って無理なく
無駄なく、医療を提供することが、医の大儀ではないか。高齢や出生に伴う人生
の危機を、国民全体の悲しみと考え、国民全てがその悲しみを分かち合う北欧の
ような国家になったとき、自分達の利益だけを価値観とし、病者を食い物にする
ような医師は生きられない。新しい変化に遅れないように、なによりもまず医師
自身が、そして医師団が変ることが必要なのだという結論になる。

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