医療ガバナンス学会 (2009年11月7日 13:22)
新型インフル診療と並行して行う季節性インフルワクチン接種をほぼ終えた現
在、今後の新型インフルワクチン接種の場所に関して、2つの極めて素朴な提言
を行います。
【学校で打てないものか】
新型インフル感染者が小児に多く、中年以降には少ないことが判明しつつある
現在、小学校での集団接種を検討すべきではないでしょうか。さらに中学校や幼
稚園も含めた学校保健の枠組での接種がどう考えても合理的であると思われます。
また新型インフル既感染者や、みなし既感染者(簡易キット陰性ないし未施行者)
の取扱いについては専門家に早急に意見を求めるべきです。
【保健所で打てないものか】
MRICvol 291において神戸大学の岩田健太郎教授が、またvol 314において
厚生労働省の木村盛世氏がすでに述べられているように、新型インフルワクチン
接種のefficacyについては不明です。しかし公衆衛生の見地から、国を挙げてワ
クチン接種を行うと一旦決定したからには、効率的、戦略的に行うべきです。し
かし肝心のワクチン供給もままならぬ中、開業医において通常診療とインフル診
療に並行してこの作業を行うのは困難かつ非効率的です。トリアージ説明だけで
も結構大変です。この際、一般対象者の接種は一括して地域の保健所で行うべき
ではないでしょうか。かかりつけ医では「優先患者該当」に丸をするだけにすべ
きです。
10mlバイアルはどう見ても集団接種を想定しているとしか思えません。学
校保健には学校医として開業医が出務しますし、保健所にも地域医師会から分担
して応援医師を派遣すれば充分可能だと思います。新型インフル接種には、個別
接種より集団接種で対応した方が、医療現場の混乱を回避でき、副作用のサーベ
イランスの観点からも有益性が高いと思われます。是非、行政には早急な検討、
決断をお願いいたします。