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Vol.255 現場からの医療改革推進協議会第十一回シンポジウム 抄録から(6)

医療ガバナンス学会 (2016年11月21日 15:00)


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(参加申込宛先: genbasympo2016@gmail.com)

2016年11月21日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

2016年11月27日
【Session 06】医療改革の今  11:10~12:10

●参加者限定で「政府ご用達印」の椅子取りゲームをしていても、明るい未来は来ない気がする
小野俊介

「日本の国際競争力」だの「日本の研究開発力」だのという言葉に出てくるニッポンは、人が足りない。ニッポンの人口は米国の1/3のはずなのに、医薬品領域のニッポンの専門家の数は米国の1/1000くらいし
かいない気がする(注)。
政府の審議会、学会のシンポジウム、メディアに登場する専門家はいつも同じ顔ぶれ(含む同門)(注)。
椅子取りゲームで確保した椅子は決して手放さないのは競争社会の常だが、加えて、ゲームに参加して椅子を奪ってやろうという替わりの参加者がいないこともこの国の特徴である。
(注) これは個人の感想です。感じ方には個人差があります。
公的な研究開発予算の食いぶち・椅子をめぐる状況を考えると分かりやすい。新しい司令塔や研究費配分制度をつくってみたところで、そこに登場するプレイヤー((a) 企画・立案する人、(b) 応募する人、(c)評価・審査する人)全体の顔ぶれはまったく変わらない。 (b) から (a) に多少の研究者が移っても、所詮は生態系内部のローテーション人事異動である。
ニッポン人の「政府ご用達印(じるし)」好きは相変わらずである。つい最近の業界紙に「ベンチャー振興へ初の基本指針 厚労省に司令塔、国主導支援促す」の記事が。
私はずっと、ベンチャーって、お上の規制やビジネス慣習の隙間をうまく抜け駆けして、『あいつらだけうまいことやりやがって。締め上げてやる!』とお上を激怒させる類の人たちだろうと勝手に思っていたのだが、どうもニッポンのベンチャーは「当局様、どうぞ我々に司令してください」という壇蜜的Mっ気たっぷりの方々らしい。ちょっとびっくり。
同じ顔ぶれの人たちが、着ている服を少しだけ替えて「政府ご用達印」-研究費、ポスト、優遇措置の対象など-の椅子取りゲームを延々と繰り広げているだけでは、楽しいことは起きないだろうと思う。たとえばゲーム参加資格を世界中の人に広げる程度の度量がないと「改革バカ」にすらなれないかも。世界中の研究者からの公募を受け付け、評価・審査を米国NIHに丸ごと外注するとか。バカげている?私には今我々がやっていることと同程度のバカらしさに見える。
あなたと私がもっと簡単に起こせる変化もある。
それはお仕着せの「政府ご用達印」の椅子取りゲームへの参加をやめて、愛着のある自作のゲームを提案し、ワクワクしながらそれに自ら参加すること。目の前に広がるブルーオーシャン。いかがでしょうか。
●人生百歳時代の設計図
黒岩祐治

先ごろ、「百歳時代~ “未病” のすすめ」(IDP出版)という本を上梓した。
現在は全国で百歳以上は6万人を超えたが、2050年には約70万人となり、142人に1人が百歳以上という時代がやってくる。
そんな圧倒的な超高齢社会で、多くの高齢者が病気だったり介護が必要な状況だったりでは、社会が立ち行かなくなるのは明らかだ。だからこそ、未病を生活の現場から改善していくことにより、病気にならなくすることを今から最重点課題にすべきである。
白(健康)か赤(病気)かという「白赤モデル」ではなく、白から赤は連続的に変化するという「グラデーションモデル」、すなわち「未病コンセプト」でとらえることが大事である。ビッグデータの解析が可能となったことで、未病レベルの見える化ができるようになった。
これまでの「白赤モデル」は病気になったら、ドクターに頼ればいいという依存型であったが、「グラデーションモデル」では、自らが主体となることが求められる。医療の在り方そのものの価値観の転換にもつながるだろう。
未病改善のためには「食」「運動」「社会参加」が重要なカギを握る。特に社会参加に注目したい。高齢者が籠りがちになるとフレイル(筋力・心身の活力低下)が進み、未病状態が悪化し、要介護状態になっていくことが多い。それを防ぐには、籠らないこと、つまり社会参加していることが大事である。
今は60歳定年の企業が多いが、定年退職後、一気に社会と分断されてしまう会社員は少なくない。百歳の人生ならそれから40年もあるのに、老後という構えだけで、生きていくのは難しい。ならば、百歳人生を想定した上で、自らのライフプランを考えておくことが大事になるだろうし、それに対応した社会に変えていかなければならない。「人生百歳時代の設計図」を社会全体で考えていくことが必要である。医療改革を医療の現場だけから考える時代は終わりを遂げつつあるのではないだろうか。
●時間はかかるが! 海外支援の継続性
宮澤保夫

今回の報告では、支援国の一つであるエリトリア国に対して行っているスポーツを通した若手選手の健康管理と記録向上プログラムの実践の中間報告をします。
それは、ここ数年間における効率的な練習と生活健康管理を学習し、より良い記録を出せるプログラムと環境の提供を実践してきました。
本国ではもちろん、まだ埋もれている若手(17才~19才)選手とコーチを日本で約1ヶ月間、日本陸連の合宿や各方面の方々のご協力をいただき、選手とコーチに経験を積ませ、そしてIAAF公認の記録会に参加させ、リオオリンピック直前の「U-20世界陸上選手権」への参加記録を突破し、U-20本戦においてこれらの選手が素晴らしい成績を上げた結果、エリトリア国から感謝状をいただきました。
私達星槎グループは2020年東京オリンピック・パラリンピックを当面の目的とはしますが、それ以降も支援体制を続けます。日本ではエリトリア国は知られていませんし、国連統計においても最貧国の一つに数えられている(この)国が陸上競技、特に中・長距離において強豪国ケニア、エチオピアに対等に組みする日も近いと思っております。
それには競技環境の改善、コーチの育成、国家的な明確(国家的で明確な)育成プログラムの実践、健康管理等の多くの課題があります。
短期間の学習でもコーチと共に学べば、共感理解が生まれ人格育成、記録向上に必ずつながることが理解できます。ここでは参加した選手たちの平均的な記録の伸びは会場でお見せしたいと考えております。
また、我々の支援は、ただ単にエリート選手を育成することのみを目的としているのではありません。そして東京大会のみを考えているものでもありません。それ以降の継続的な支援が重要であることを基にした、循環型支援の仕組みの第一歩を踏み出したところです。
あくまでもスポーツを通した健康環境改善、教育環境の改善等を実行していくことです。それはこのプログラムによって育った選手が将来指導者として活躍し、次世代の選手の発掘とより科学的な育成をしてもらいたいのです。
それは、各競技の若手選手、指導者たちにスポーツを通じて将来を切り拓こうとする力になり、より夢が具現化するのです。これは努力すれば夢が必ず現実に近づくという大きな希望なのです。
エリトリアは先程も述べましたように世界の最貧国の一つとされていますが、国民は明るく勤勉です。もちろん子ども達のおかれている状況も日本とは全く異なります。彼らは過酷な社会的状況にはありますが、スポーツを通じて将来に向けて努力をすることで、少なくとも希望を持つことができる。そしてそれは生きる上で重要なことです。
一人でも多くの子ども達に勇気や希望がより身近に持てる環境整備の支援をするために、いろいろな国々で活動しています。そして一人でも多くの子ども達が笑顔をもって困難に立ち向かえる支援をし続けます。
また、9月16日にはブータン王国とMOUを締結し、このプログラムを開始いたしましたことをお伝えいたします。

●研究対象者の保護から参画へ
武藤香織

倫理審査委員会は、研究対象者に与えるリスク・負担と利益のバランス、個人情報保護などを研究開始前に審査する重要な役割を担う。日本では、企業や医師が主導する治験や再生医療臨床試験の事前審査は法的規制の対象だが、それら以外では様々な行政指針で対応されてきた。
その結果、日本には倫理審査委員会の司令塔がなく、審査の質もバラバラのまま、委員会の数だけ
が増え、長期化する審査はときに国際的にも問題となってきた。2014年度より、国の主導で介入研究の新規審査実績が年間14件程度以上ある施設を対象にした認定制度が開始されたが、他の研究領域の審査や小中規模施設の委員会は置き去りのままである。そこで、筆者らは、倫理審査委員会に関心をもつ有志が集う場づくりに着手した。それが「研究倫理支援者懇談会」や「研究倫理を語る会」であり、設置主体や規模に拘らず、全国の委員や事務局が集まって審査や教育の困りごとを話し合い、研究対象者保護に関する共通基盤を草の根から確立したいと考えている。
他方、研究対象者の立場では、倫理審査委員会はもちろん、人を対象とした研究自体が縁遠い。また、英米では、臨床研究の実施計画立案段階から患者・市民の意見を取り入れる「患者・市民参画」が進み、現在も試行錯誤が続く。そこで、筆者らは臨床試験・治験に関与した経験をもつ40名の患者の語りのウェブサイト公開に協力した
*。また、筆者らは、過度な期待と誤解が生じやすい再生医療臨床試験において、対象疾患の当事者と開発者の対話の場も仲介してきた。しかし、この程度では物足りない。
現在、約3,000件もの治験が行われ、その背景には多数の患者の協力があるが、治療と勘違いしたり、断れずに参加した患者の声も多く聞く。患者・市民が、人を対象とした研究の意義や課題を理解し、倫理的な議論にも主体的に参加する社会を構想したい。
*「健康と病いの語り」http://www.dipex-j.org/

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