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Vol.004 「木村壮介氏は辞任せよ」~医療事故調査・支援センター・木村壮介先生へ医療現場から辞任のお願い~

医療ガバナンス学会 (2017年1月6日 06:00)


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現場の医療を守る会代表世話人
坂根Mクリニック 坂根みち子

2017年1月6日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

日本医療安全調査機構常任理事・医療事故調査・支援センター木村壮介先生へ。
先だって私が書いた文章、Vol.230 医療事故調査制度混乱の原因は日医とセンターにあり– これでは管理者が混乱する –MRIC (2016年10月21日) は先生の目に留まりましたでしょうか? もしまだでしたら、是非一度お目通し下さい。
医療事故調査制度は始まって1年、先生は医療事故調査・支援センター(以下センター)の幹部として、事ある毎にメディアに登場し、本制度による医療事故の報告が少ないと、医療機関が本来報告すべき事故を報告していないかのように受け取れるような発言を続け、今後、報告判断の標準化を宣言されておられますが(1)、それは法律の趣旨を逸脱していないでしょうか。
センターは民間団体であり、報告件数によって、その活動が評価され予算が決まります。そのセンターに、報告の判断基準を決めさせる事は、小野薬品に、今年のオプジーボの薬価はこうだから、適応症は自由に添付書類に書いてね、というようなものです。これを利益相反と言わずして何を言うのでしょうか?
生まれてたった1年のこの制度は、現在、重大な局面を迎えているといっていいでしょう。

医療事故調査制度は、今年の6月の制度の見直しで、医療事故調査制度の支援団体を束ねる協議会を設置する事になりました。各都道府県で一つずつ、地方の支援団体連絡協議会を束ねるのは実質各地の医師会が担っています。中央で束ねるのが中央協議会で、全国的に組織された支援団体およびセンターが参画する事になっています。センターは支援団体ではありませんが連携が必要なために、法的には支援団体の協議会を作る事を定めた「省令」より下位にある「通知」で、参画する事が決められたのです。ですから協議会の発起人会やワーキンググループにもセンターの代表は当初「オブザーバー」として参加していました。これに異議を唱えられたのが木村先生です。正規のメンバーとして中央協議会に入れるように途中から強引に横やりを入れられましたね(2)。
何故ここまで強引なことをされるのでしょうか。
日本医師会とセンターは、これまで何度も、今後医療事故に該当するのかの判断や院内調査の方法の標準化を進める、と発言しています。
地方の支援団体の協議会が医師会に、中央の支援団体協議会がセンターにコントロールされるようになれば、今後医療事故調査の報告の判断や院内調査の方法は、先生の思惑通りに標準化され、この法律の一番大切な部分「管理者の主体的な判断や各医療機関の実情に合わせた医療安全の推進」が大きく阻害されます。法律に疎く、上意下達が好きな医療機関の管理者は、いとも簡単にセンターにミスリードされ、黙って従うスキームが出来上がってしまいます。

先生の最近のお考えはm3で特集が組まれましたので再度確認させて頂きました(3-1,2,3)。今回のインタビューでも、とにかくまず報告、そして中立性、公正性、透明性、専門性を担保せよ、紛争訴訟例でも調査を進めよ、とおっしゃっています。
紛争化したときは「医療安全の確保という制度の目的」から外れるから、調査は停止するようにという全国医学部長病院長会議の申し入れ(4)にもいっさい耳を貸そうとされません。中立性、公正性、透明性は、大野病院事件やかつての東京女子医大事件を挙げるまでもなく、医療機関内の管理者と現場の医療者の間の公正性や透明性こそ大事で、そこがないがしろにされたために現場の医療者が詰め腹を切らされてきたわけですが、先生の視点は、医療機関と外部との中立性、公正性、透明性という視点になっています。言うまでもありませんが、WHOが認める医療安全のための報告制度の一丁目一番地は、報告者の秘匿性と非懲罰性で、先生のおっしゃる透明性とはまるで逆なのです。
また、今回の制度は、医療安全に特化して作られたものですから、世間の視点や遺族の納得は本制度とは無関係です。患者の想いを汲むためのシステムは、この制度の他に既にあります。
メディアや患者代表の方々は、ここだけ切り取って、この制度が患者のために機能していないと言って非難をなさらないようお願い申し上げます。この制度は、今の患者のためにはならないかもしれませんが、未来の患者のための医療安全の制度なのです。

先生は、2014年に脊髄造影検査で研修医がウログラフィン誤投与し、78歳の女性が亡くなった事件が起きた国立国際医療研究センターで事件の直前まで院長をされていましたね。
国立国際医療研究センターでは、事故発生時、世界の医療安全の考え方と逆行して警察に通報し、個人が特定され、研修医はメディアと世間のバッシングに曝され、裁判で遺族の強い処罰感情と対峙することになりました。最終的に研修医は禁錮1年執行猶予3年が確定し、2016年秋、刑事処分に連動して行政処分が行われ、医師免許3カ月停止となりました。
ウログラフィンの誤投与は、最終行為者として研修医が罪に問われる事が多く、過去に何度も同様の事故を繰り返しており(5)、その対策が全くとられていなかったのは、明らかに病院に問題がありました。にもかかわらず、国立国際医療研究センターは研修医に責任を取らせ、病院幹部の責任は追及されませんでした。明らかなモラルハザードです。
だんまりを決め込む先生に対し、私は2015年8月に以下のように辞任を要求する文章を発表しました。
(一部抜粋)
木村壮介氏は、この事件が起きる直前まで国立国際医療研究センター病院の院長を務めており、現在日本医療安全調査機構の中央事務局長である。つまり、上記の体制の不備について最も責任があったと思われる人物であるが、この件に関しては、何ら責任を取ることもせず、だんまりを決め込んでいる。あまつさえ現在10月から施行される医療事故調査制度の幹部になると言う話しである。木村氏は本事件の責任を取って、医療安全に関わるすべての役職を辞退すべきである。Vol.155 だんまりを決め込む人たち –ウログラフィン誤投与事件の責任の所在-MRIC(2015年8月8日)

個人を処罰した病院に対して、現場の医療者からは先生を非難する声がたくさん上がりました(6)(7)(8)が全く報道されませんでしたし、先生は予定通りセンターの幹部として権力を思うままに行使し始めました。何かの悪い冗談のようです。
先生のなされている事は、医療安全につながらないどころか、ただでさえ疲弊した医療現場に追い討ちをかけるものです。
水増しした報告予想で、来年度9.8億円もの予算をお取りになったのでしたら、もう十分でしょう。医療現場は人も物もお金も足りず、上から矢のように降ってくる無駄な書類作りも加わり過重労働で喘いでいます。一番大切な、患者・家族とゆっくり向き合う時間さえ満足に確保できません。
今からでも遅くはありません。医療安全を推進するためにまず「隗より始めよ」。ウログラフィン誤投与事件の責任をお取りになって、すべての役職から身を引いて下さい。

参考
(1)医療事故 届け出促進へ 関係機関が統一基準 制度低迷打開  http://mainichi.jp/articles/20161012/ddm/001/040/209000c
(2)小田原良治 医療事故調の現場の混乱はセンターが原因ではないのか
日本医療法人協会ニュース(H 28年12月1日)
(3-1)「報告対象と思われる事故は報告、調査」という文化醸成を – 木村壯介・日本医療安全調査機構常務理事に聞くhttps://www.m3.com/news/iryoishin/476922
(3-2)再発防止策は年明け、年報は3月頃 – 木村壯介・日本医療安全調査機構常務理事に聞くhttps://www.m3.com/news/iryoishin/476930
(3-3)紛争・訴訟事例でも“センター調査”実施 – 木村壯介・日本医療安全調査機構常務理事に聞く

https://www.m3.com/news/iryoishin/476931

(4)「裁判になれば、事故調制度は停止を」全国医学部長病院長会議が申し入れhttps://www.m3.com/news/iryoishin/462895
(5)“医師有罪”でも続く、造影剤の誤投与事故 医療の質・安全学会、大磯浜松医大教授 https://www.m3.com/news/iryoishin/377342
(6)山本 佳奈【現役医師が考える】薬品誤投与で患者死亡
なぜ研修医だけが責任を取らねばならなかったのか

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44875

(7)佐藤一樹Vol.202 国立国際医療研究センター病院は特定機能病院を返上し院長・名誉院長は辞任せよMRIC (2015年10月13日)
(8)満岡渉Vol.267 ついに始まった医療事故調査制度~自分の身は自分で守ろう~MRIC(2015年12月25日)
(9) Vol.140 「医療従事者を守ろう」−ウログラフィン誤投与事件の責任は病院にあり− MRIC(2015年7月17日)

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