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Vol.059 いわきで得た『学びの環境』

医療ガバナンス学会 (2017年3月17日 06:00)


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ときわ会常磐病院
宮本悠香

2017年3月17日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

私は今年の1月に、透析認定看護師を目指し、徳島市からいわき市に引っ越してきました。徳島では大学病院の外科内科混合病棟に所属し、透析看護の業務も兼任してきました。大学病院で4年が経つ頃から、透析看護を深く学びたいと考えるようになりました。どうしたらいいわからず、気が付くと、日々の仕事に対するモチベーションを保つことだけに必死なっていました。
そんな時に、高校時代からの恩師、黒田麻衣子先生に再会する機会がありました。先生は大学進学など、人生の選択を迫られたときに、いつも親身になって話を聞いてくれた、ある意味、家族より近い存在。藁にもすがる思いで、今後の進路を相談したところ、常磐病院への転職を勧めてくださりました。

常磐病院は人工透析療法および、泌尿器疾患を中心とした治療がおこなわれており、透析病床数は約150床もあります。職員に対しても、一人ひとりに合ったワークライフバランスを実践できるよう、復職支援やキャリアアップを図れるようなプログラムが整えられています。オリエンテーションの為お伺いした際には、管理職である看護師長さんから「一緒に未来を考えて頑張りましょう。」と温かいお言葉をかけていただきました。今まで看護部の方々とお会いする機会が少なかった私にとって、新鮮かつ光栄な機会であり、自分のキャリアアップの為にも「ここで働きたい」と思ったことを鮮明に覚えています。そして、二月より働かせて頂くこととなりました。

退職時、職場の人達からは、「なぜ遠い所で、ましてや震災があった場所で、透析を学ぶ必要がある?」と何度も聞かれました。四国で育ち、大学時代を沖縄で過ごした私が、福島県で「生活できるとは思えない」とも言われました。けれども私は、将来を見据えた勉強がしたいと思い、いわき行きを決めました。震災を経験したからこそ得た「学び」を活かし、全人的医療を目指す関係者の熱意に心打たれ、常磐病院に就職しました。この選択をした私にとって、福島の寒い気候や度々起こる地震が、生活を送る上での障害となることはありませんでした。

常磐病院で働き始めると、まず提供される医療の質の高さに驚きました。超純水を用い、最新の透析機器やIHDFなどの療法により、個別性が高く、効率よい透析が実施されていました。これに加え、患者さんが病院へ通い続けられるよう、筋力保持を目的とした透析リハビリも独自に開発、実施されていました。このようなハイレベルな透析が提供できるようになるまでには、関係者の並々ならぬ努力があったことでしょう。
先輩方からは「これから、新しく取りたい資格がある。」と、向上心溢れる発言が毎日のように聞かれています。また、患者さんからも、「ここじゃなきゃ透析をしたくない。」という発言が多く聞かれます。その理由の一つが、「震災時にもよくしてくれたから。」とおっしゃっていました。事実、2011年の東日本大震災発生直後から、常磐病院では給水車を手配し、維持透析を実施していました。地震発生5日目には転院調整を終え、6日目に看護師同行のもと東京・千葉・新潟へ患者さんをバスで搬送したといいます。
不眠不休の中で、患者さんを一番に考えた医療を提供されていた関係者の皆様に、大変感銘を受けました。同時に、今後常磐病院の一員として働けることを幸せに思います。私もよりよい医療の提供を目指し、地域の方々に貢献できるよう、透析看護に従事していきたいと考えています。

最後になりましたが、私をこのような素晴らしい学びの場に導いてくださった、黒田先生はじめ関係者の皆様、本当にありがとうございました。そして、常磐病院の皆様、いわきの皆様、今後とも宜しくお願い致します。

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