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Vol.087 被災地支援の屋台骨として -多くの出会いと学び、そして感謝-

医療ガバナンス学会 (2017年4月25日 06:00)


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この原稿はハフィントン・ポスト(3月30日配信)からの転載です。

http://www.huffingtonpost.jp/takeshi-takase/fukushima_6years_b_15672252.html

桐蔭横浜大学法学部 助教
桐蔭横浜大学剣道部 監督
桐蔭学園高校剣道部 コーチ
高瀬武志

2017年4月25日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

東日本大震災から6年の歳月が過ぎた。

震災直後から多くの方々が支援の声をあげ、そして現在に至るまで多くの方々が実際に支援活動を継続しておこなっている。私も微力ながら被災地支援の一環として剣道交流活動を継続させていただいており、一日も早い復興を願っている。

震災直後から現在に至るまで福島県の浜通りや相双地区への多くの復興支援活動を行うにあたって、ある時は宿泊施設として、ある時は作戦会議の場として、ある時は情報交換の場という被災地支援に訪れた人の活動拠点として、まさに言葉通り支援活動の「屋台骨」として支えてくださったのが、宮澤保夫会長率いる星槎グループが管理・運営する合宿所こと「星槎寮」である。

東日本大震災における被災地支援活動を支援してこられた星槎寮が2017年3月をもって閉鎖されるという報せが私の耳にも入った。まさに青天の霹靂であった。本当に残念でならない。星槎寮での支援活動の内情は、上昌広氏の著書『復興は現場から動き出す』に詳しく書き記されている。私も氏の著書を拝読し感銘を受けた一人であり、また氏のご紹介をいただき、星槎寮を拠点とする活動を何度もさせていただいた一人である。

星槎寮の閉鎖にともない、寮を通じての福島県内外の方々との多くの「出会い」と交流会や情報交換会を通じた多くの「学び」について、私なりの体験を交えた思いと感謝を述べさせていただきたいと思う。また、本論を書くにあたり、私のような者が星槎寮について書く資格があるのかと悩んだが、私が被災地支援活動を継続して行っていくうえで、大変お世話になった星槎寮の存在の大きさと有難さ、宮澤会長をはじめとする星槎グループの方々の献身的な取り組みと被災地復興にかける情熱に対し感謝の気持ちを込めて、寮での体験の記憶を後世に残し、今後の被災地支援はもとより、これからの社会をリードする世代の人々にも知ってもらい、役立ててほしいという思いから、恐縮ではあるが筆を執った次第である。

2012年から始めた被災地支援活動であるが、私の場合は剣道交流会を通じて、教育からの復興を目指し、多くの関係者のご協力を得ながら継続させていただいている。過去4回にわたり星槎寮に宿泊させていただき、私の活動を支援していただいた。具体的にどのようなサポートをいただいたかというと、支援活動で訪問させていただいた期間は無料で宿泊させていただき、温かい朝食までご馳走になった。

また、時には寮の一室を被災地で暮らす方々や私のように被災地支援に伺った者との情報交換の場として活用させていただいた。「無料宿泊」や「情報交換の場」といった「支援活動の支援」は私のような若輩者や私が引率した学生たちにとっても非常に有難い「支援」であった。

星槎寮が実施してくださった「無料宿泊」があったからこそ、支援に伺う際には私一人で伺うのではなく、ある時は、同期の仲間と訪問して活動したり、ある時は外国人の協力者も一緒に活動したり、ある時は教え子である学生数名を引率し活動したり、ある時は剣道以外の専門家や被災地支援に理解を持つ人と一緒に訪問し活動することができた。私一人で訪問し活動するよりも遥かに質の高い有意義な活動ができたことは言うまでもないと思う。

また、宿泊する夜は「情報交換の場」として寮内の一室を提供してくださったお蔭で、その日の活動の反省も含めた振り返りはもとより、被災地という現場で生きる多くの方々との交流や情報交換のなかで、多くの気づきや被災地で生活をしないと解らない問題や悩みなどを細かく丁寧に教えていただき、深く学ぶことができた。このような情報交換の場での交流を通じて深い人間関係を構築することができ、その後の支援活動の継続や多様な人々との繋がりが拡大していったと感じている。

さらに、私の場合は自分のみに留まらず、引率した剣道部員である学生たちにも教室で開講される授業や教科書だけでは学びにくい、被災地の「現場」や「現場の空気」を体験し肌で感じ学ぶ機会を得ることができたことは、この星槎寮があったお蔭である。心から感謝したい。

我々(剣道部員である教え子や私自身)にとって、星槎グループの管理・運営する星槎寮という施設(環境)は、無料で宿泊できるという実利以上に多くの学びを得ることができる「場」であった。学ばせていただいたことは数多くあるが、その中でも特に印象強く残っているのが、被災地の復興を想う熱意であり、「求めずして与えよ」という利他の精神であったように思う。

また、宮澤会長をはじめとする星槎グループや現場で大変お世話になった相双特命室の尾崎寮長や星槎寮の関係者の方々からは、ボランティアとは如何なるものかということを教えていただいたように感じている。

寮が閉鎖されることは大変残念ではあるが、震災直後の混乱時から現在までの長期間にわたる支援活動の支援に対し、感謝の気持ちでいっぱいである。私自身、星槎寮での交流と学びは決して忘れない。また、忘れないだけでなく、今後も教え子たちを中心に星槎グループの取り組みや星槎寮での日々を後世に伝えていきたいと強く思う。

最後になりましたが、宮澤会長、尾崎寮長、星槎寮の関係者の方々、星槎グループの方々に伏して感謝申し上げたいと思います。本当に有難うございました。星槎寮で学ばせていただいたことを忘れず、これからも被災地の一日もはやい復興を願い、自分にできることを着実に行っていきたいと思います。

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