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臨時 vol 372 「第34回社会保障審議会医療保険部会に出席して」

医療ガバナンス学会 (2009年11月29日 06:00)


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社会保障審議会医療保険部会臨時委員
諌早医師会長 高原 晶

2009年11月29日 MRIC by 医療ガバナンス学会 http://medg.jp

去る11月16日午後4時から全国都市会館(東京都千代田区平河町2-4-2)で開催さ
れた上記部会に初めて出席した。委員は糠谷真平部会長(独立行政法人国民生活センタ
ー顧問)をはじめ別表のように21名であるが、出席者は代理を含めて16名、新委員は
私を含めて3名であった。
部会に先立ち厚労省にて午後2時30分から約1時間にわたり、佐藤敏信医療課長と
城克文医療費適正化対策推進課長(全国健康保険協会管理室長併任)からこれまでの審
議内容について説明を受けた。その資料によれば「医療保険部会とは医療保険制度体系
に関する改革について議論するため、社会保障審議会の下に設置されている専門の部
会」との事であり、平成15年7月に第1回が開催されている。(内容は別表参照)さら
に中医協改革に伴い平成18年度診療報酬改定から「社会保障審議会医療保険部会およ
び医療部会において診療報酬改定の基本方針を策定し、これを元に中医協で具体的な診
療報酬点数の設定等にかかる審議を行う」となっている。前回は衆院選直前の8月27
日に開催されている。なお平成22年度診療報酬改定に向けた検討は前々回の7月15日
に始めて行われている。平成21年度の保険医療部会の開催はこの2回だけであった。
しかし、佐藤医療課長と城室長からすでにこの2回で審議会の意見はほぼまとまってい
るとの説明を受け、「先生は遅れてきた委員」との両課長・室長の認識を披露された。
部会の始まる前からやる気をそがれた。
さて部会の会場には、糟谷部会長を始め16人の委員と足立政務官、唐澤厚労省大臣
官房審議官(日医会長とは別人)さらに吉田学保険課長、神田総務課長、事前に説明を
行って頂いた佐藤医療課長、城室長など15名のいわゆる役付の厚労省のかたが説明の
ために出席。その他の事務方を含め約100人ほどの方が膨張されていた。その内容はす
でに厚労省から立派な文書となって発表されている。

16日の話し合いを含めた部会の意見の骨子と小生の感想
【1】 診療報酬
1)診療報酬配分の見直し:選択と集中という言葉が使われた。主に保険者側の主張「医
療費を上げるということは保険料を上げるということでとても会員の同意を得られな
い」「金がないので診療報酬の配分先を選別する。」藤原日医理事は反論、医療費全体の
かさ上げを主張。「医療費を上げないと医療崩壊する。」どこまで行っても平行線。厚労
省も2論を併記する事でお茶を濁す。被保険者の方々は、医療費にそんなに金をかけた
くないのか?保険者側の意見は雇用されている被保険者の主張より、むしろ企業側・経
営者側の立場で意見を述べているのか?診療報酬配分の見直し程度でこの医療危機は
乗り越えられない。財政のみからのお話である。
2)厳しい保険財政:保険者からの発言のみ。
とにかく財政がきびしいので診療報酬など上げられないとの意見だけ。財政がよかった
時にはどうしていたのか?世の中の景気がよかった期間に私は開業したはずであるが、
この15年間で一度も診療報酬が引き上げられた事はなかった。1)2)を聞いていな
がら思ったのは、なんとも小さな問題を討論しているのかというものであった。本来医
療保険部会で検討すべきは、診療報酬や保険料率の問題ではなく、もっと大きな医療保
険制度全体のはなしであろう。自分を含めて、ちまちまと自分の出身母体の利益を守る
事しか発言されない。他の委員から不興を買うことを臆せずにさらに述べると、前回・
前々回の審議会と全く変わらない意見を延々とお話なる委員が数名おられた。新参者で
も、直前の議事録程度は読んできている。前回の発言を踏まえて次の意見に進まねば時
間の無駄である。今後たった4回の話し合いで診療報酬の基本方針を決めるというのも
無理があると思う。医療保険部会というより中医協準備委員会といったほうがよいのだ
ろう。そもそも基本方針を出すはずの保健医療部会が中医協の開催より遅れているのは
なぜだろう。すでに厚労省としては基本方針を自分たちの作成したものに沿って中医協
に出すつもりであり、特に同じような話をして、結論らしきものを出せそうにないこの
部会は適当に開催すればいいとおもっているのであろうか。この程度の話し合いで日本
の保険制度の仕組みを審議しているかと思うと落胆せざるを得ない。今回は政権交代も
あり、時間的に余裕がないためしょうがないが、せめて今後の会は医療保険全体の見直
しを出来る会にしてほしいと感じた。
3)救急・産科・小児医療(資料では外科も入っていた)いずれも人(医師、看護師)
がいないという点を忘れている。日本の小子化対策の一つであるが。金を出せば人は集
まる可能性があるが、24時間体制の勤務と緊急性さらに医療事故の不安が付きまとう。
先立つ人と金がない。
4)かかりつけ医:都会にはかかりつけ医がいないのだろうと思われる意見が目立つ。
田舎ではかかりつけ医は当たり前である。後期高齢者診療料をとる医療機関が少ない事
が問題になっている。なぜとらないか?開業医から何のメリットもない点数だからであ
る。以前、外来時総合診察料(外総診)という後期高齢者診療料と似たまるめの点数数で
あった。対象は慢性疾患を主病とする患者さんで、1医療機関のみが算定可能であった。
現場は混乱した。主病がなんであるのか?複数の医療機関を受診する患者さんの保険請
求で混乱した。私が狭心症・心筋梗塞で加療していた患者さんが呼吸機能低下を来たし
たため、呼吸器専門医へ紹介したところ、同院が外総診を算定し、当院が算定できなく
なった事もあった。医療機関同士が患者さんの取り合いをしているようで、なんとも具
合が悪かった。同じ事を繰り返したくないとの考えが強く、加算を取っていない医療機
関が多いのであろう。(厚労省に加算を県別で教えてもらう必要あり。都会だけではな
いのか?)このように診療報酬上げたといわれる点数でも現場では取りにくいものがあ
り、多くは絵に描いた餅である。
5)心身の特性を踏まえた医療:医療の透明さという言葉が出てくる。保険制度がわか
りにくいのか?医療報酬の組み立て方が不透明なのか、よくわからない。次回意見を述
べた委員の方に質問してみよう。医師でもわかりにくい診療報酬をわかりやすいものに
して欲しい。
6)チーム医療:医療連携、医療介護連携が非効率との事。これもまた都会の話ではな
いか。田舎では病病連携、病診連携、診診連携、医療と介護の連携がなければ人不足の
中で安心して住民をみていけない。現在長崎県では複数の複数の基幹病院と診療所の間
でITを利用した連携が構築されている。(あじさいネット)。田舎では住宅=診療所の
ところが多く、いつでも連絡可能、逆にいえば逃げ場がない。なお連携の中で意外と病
院同士や病診連携の中で看(護師)・看(護師)連携がうまくいかないことがあるとの
意見を当事者から聞いた事がある。
7)後発品の使用促進:大病院にこそ勧める。零細の院内処方医院では昔から後発品を
使用している。先発品を選ぶ患者さんもいる。本人次第ではないか。といえるのも近年、
やっと院外処方をなったからであり、院内処方では同じ薬効の先発品と後発品をともに
そろえる事は経済的に出来なかった。未承認薬あるいはドラッグラグやワクチンラグの
話はでなかった。
8)歯科医療:歯科診療報酬の低さの問題、8020運動の成果ありとの報告。在宅歯科
診療の促進。諫早市では連携はまずまず。歯科医師会と医師会の関係も良好。今後さら
に協力体制をとる予定。
9)その他の診療報酬:それぞれの立場でそれぞれの主張。再診料の事が出ている。「同
一にせよ。」高めに同一であればよいが…。
10)診療報酬と補助金:診療報酬上げではなくて補助金や一般財源でもカバーする?
【2】診療報酬以外
がん治療費の自己負担軽減を希望。
以上

ここまで書くとかなり立派な会議であるようだが、実際には厚労省の準備した資料に
沿って、白熱する議論もなく淡々と終了。後からマスコミ関係者に聞いたところいつも
こんな感じとの事。会議後、頭に来て飲んだくれた。
さて次回の11月26日の部会にあたり、どう発言するか。
自分自身もこの部会の意味を勘違いしていたが、この会議の内容をよくわかっておら
れる古参部会委員と厚労省のお役人以外で、外からこの部会を見ている方も期待または
勘違いをしておられた。医療保険部会の委員に選ばれた途端、有床診療所関連、保険医
協会関連、歯科医師関連、医師会関連、学会関連からアプローチがあり、それぞれの立
場のご意見を伺った。皆、この会で意見を成り代わって、私から言ってほしいとの期待
が込められていた。おそらく他の新委員の方も同様の立場であろうと思われる。今後も
同じような会議の進め方では、全く託された意見を言う機会がない。
そこで次回は以下の事を聞いてみたい。
1)この部会は何を議論する会なのか?改めて問う。診療報酬のための審議会か?もっ
と大きな保険体系を話すのではないのか?
相手:厚労省・部会長・出来れば委員全員
(インフルエンザでどたばたしている時期に、自分の患者さんをほったらかしにし
てまで参加する意義があるのか、教えてほしい。)
2)中医協の上流の組織であればなぜ開催が中医協より遅れたのか?
相手:厚労省
3)今後12月4日以降の日程と議題は何か?22年の診療報酬をすませたら冬眠して
しまうのか?議論することはたくさんあるだろう。
診療報酬改定委員会ではないはずだ。
相手:厚労省
4)診療報酬を上げる事は、そのまま保険料を上げることになるのか?
開業医と勤務医の年収の差を根拠に診療報酬に差をつけるのであれば保険者もまた
大きく格差のある被保険者の収入による保険料を見直す事は出来ないのか?また労使
の折半率も、企業の総収入により折半ではなくて使用者(企業)の負担を大きく出来な
いのか?検討したことはあるのか?
相手:保険者
5)医療の見える化とは具体的に何か?
保険制度がわかりにくいのか?
あるいは診療報酬の組み立て方が不透明なのか?
診療報酬体系に関しては実地の医師としても簡素なほうがよい。
患者さんに説明しやすい診療報酬を望む。
相手:?

以上

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