vol 5 「ナショナルセンター独法化が確定した今、真の使命の議論を!」
現在、日本には6つの国立高度専門医療センターが存在します(がん、循環器病、精神・神経、国際医療、成育医療、長寿医療)。ナショナルセンターとも呼ばれ、特定専門分野の治療、調査・研究、研修を目的とし、各々が病院と研究所を併設します。■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□株式会社アインファーマシーズ(http://www.ainj.co.jp/)は、日本全国に調剤薬局(アイン薬局)とドラッグ&コスメティックストア(アインズ・アインズ&トルペ)を展開する会社です。特に、調剤薬局事業では、グループで日本のリーディングカンパニーとなっています。■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□昨年末、このナショナルセンターを独立行政法人化する法律が成立し、2010年4月1日をもって各センターがそれぞれ法人に移行することが確定しました。しかし、これまでの長期債務を新法人が個々に引継いで償還していかねばならず、その経営圧迫が大問題となっています。実際、2004年の国立大学の大学法人化によって、多くの大学病院で不採算の小児科や難病の診療・研究に影響が出ています。全86法人で合計1兆円を超える長期債務を抱え、とりわけ医療分野では国立大学病院運営費交付金も年間600億円から300億円強まで削減された結果です。この轍を踏むことは、なんとしても避けねばなりません。そこで、我が党の要求で、人件費を含む財政上の配慮規定を法案に追加し、長期債務問題や難病対策を継続検討する付帯決議が採択されました。一方、独法化で期待されるのは、柔軟かつ迅速な意思決定・組織運営の実現です。厚労省からの天下り人事や経営介入等によってこの本来のメリットが損なわれないよう、人事や予算執行の権限のあり方も新法人設立までに「現場の視点から」再検討する旨も、付帯決議に盛り込みました。独法化までおよそ1年。今こそ、ナショナルセンターの真の目的・使命について、国民的議論を深めるときです。私個人としては、ナショナルセンターや大学病院で特別の機能・能力を有するチームには、難病等の治療法の確立に向けて、未承認の薬・機器・治療法など新たな医療への先駆的挑戦を認めるべきだと考えます。もちろんそれには、患者さん・社会への十分な説明と了解、最小限の患者負担、万一の場合の万全な体制や特別補償などを、患者さん本位で整備することが前提です。他の病院ではできない先進医療に挑戦する特別な拠点としての位置づけと、それを可能にする枠組みづくり――それは政治の決断であり、国民の皆様の判断なのです。著者紹介鈴木寛(通称すずかん)現場からの医療改革推進協議会事務総長、中央大学公共政策研究科客員教授、参議院議員1964年生まれ。慶應義塾大学SFC環境情報学部助教授などを経て、現職。教育や医療など社会サービスに関する公共政策の構築がライフワーク。
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