医療ガバナンス学会 (2017年9月7日 06:00)
秋篠宮親子はハンガリーの南部にあるブカツという街を訪れ、農場の視察をされた。その中でも、秋篠宮さまが鶏や豚などの家畜の研究をされていることもあり、マンガリッツァ豚を見学されたようだ。マンガリッツァ豚とは、200年ほど前にハンガリーで生まれ、巻き毛で覆われているのが特徴であり、「食べられる国宝」として有名だ。 ハンガリーでは高級食材であるものの、健康食として一般の人も親しまれている。食材である。
元々、ハンガリーを含む東欧では農業が盛んである。これは内陸国の多い東欧諸国は海路がないため、工業が盛んな西欧に反して農業に専念したと言われている。そして農産と畜産を組み合わせた農耕により文明の発達をもたらした。
さて、今回の秋篠宮親子の私的旅行は秋篠宮さまが家畜、眞子さまが博物館学の研究をされるためにハンガリーを選ばれたようだが、地元メディアからは“プリンセス眞子さまは何の地位もない恋人と一緒になるため、自分の称号をも手放す”と報じられていた。多くの植民地化や独立を繰り返したハンガリーでは、王位の称号を手放すことなど考えられないのだ。ましてやこの度、天皇陛下が退位されることなど、論外のようだ。陛下の「全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています」といったお言葉も報道されたが、地元の人にとっては「生きている限り王位を守らないのか」「辞めるなんて信じられない」といった声があがっていた。その一方で自分の務めを果たせないと判断し、称号を譲ることに対して「やはり日本人は思いやりに溢れている」「人情的だ」とも言われていた。
現在ハンガリーには1533名(2017年6月15日現在、在ハンガリー日本大使館より)の日本人が滞在している。私のような医学生で約400名、車メーカースズキなどの企業関係者及びその家族で約500名だ。8月28日からはスズキ主催の世界柔道がハンガリーの首都ブダペストで行われる予定だ。
9000kmも離れたハンガリーと日本だが、ハンガリー人の多くは日本のニュースに敏感だ。ハンガリー人の起源であるマジャール人と大和民族は同族だと考える人も多く、ほとんどが親日家だ。加えて、秋篠宮親子が婚前の私的旅行でハンガリーを選ばれたことや天皇陛下の退位によって日本への印象はさらにいい。
長年ロシアの支配下にあったハンガリーは「ロシアは一生かけても敵わない大国」と諦めていた最中、日露戦争でアジアの小国日本が大国ロシアに勝利し、我が物のように喜んだ。友人にこのことを尋ねると「長年のソ連に対する不服を晴らすために起こしたハンガリー動乱も日露戦争の日本の勝利によって後押しされた」と言っていた。
最近では毎年約12,000人ものハンガリー人が日本に訪れている。長年続くハンガリーの日本歓迎ムードは途絶えることを知らない。今後さらに日本からハンガリーへの進出は増えるかもしれない。