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Vol.246 脳梗塞後遺症をもつ私がフルマラソン4時間内完走を目指す訳

医療ガバナンス学会 (2017年11月30日 06:00)


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B-SUB4 PROJECT(ビーサブフォープロジェクト)
千葉豊

2017年11月30日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

「病気によって身体の自由を失った代わりになにかを得なくてはならない」
34歳で脳梗塞を発症して片麻痺や視覚障害が残ってから何度も反芻してきた言葉です。私は、現在、フルマラソンを4時間内に完走することを目指しています。脳梗塞患者がなにを無謀な…と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし母も祖母も同じ病気で亡くしている私にとっては、大きなチャレンジをすること、そしてその姿を発信することこそが、生き残った意味だと感じています。私の「諦めない」姿勢に賛同してくれた脳梗塞リハビリセンター創業者の早見さんが発起人となり、リハビリ医、理学療法士、ランニングコーチ、管理栄養士らと共に、リハビリ・トレーニング・栄養管理をしながら目標達成を目指す活動を「B-SUB4 PROJECT(ビーサブフォープロジェクト)」と名付けました。マラソン用語で4時間内フルマラソン完走をさす「SUB4(サブフォー)」に脳(Brain)の病気の克服をイメージして組み合わせた名称です。

脳梗塞を発症して病院に入院していた頃、一時は一生車いすと言われていました。しかし、若い私はまだ諦められなかった。ですので、病院でのリハビリの時間以外にも自主練を続けていました。結果、リハビリ病院を退院する頃までに、自力歩行がどうにかできるようになりました。また、右麻痺の私は、病院では左手で箸を使えるようにするリハビリをしてもらいました。一方で、右手でもいつかまた使えるように、と自主練を続け、どうにか感覚をつかみつつありました。そのような経験を通して、日々の積み重ねが結果につながる手応えをもって退院となりました。だから私は、退院後、一人暮らしをして日常的に自分が動かざるを得ない環境に自分を追い込みました。病院へ行く際も、時間はかかるけれど片道4㎞を歩くようにし、日常がリハビリになるように意識していったのでした。
病前、トラックのドライバーだった私は、視覚に後遺症が残ったので運転は諦めました。代わりに自分の足で遠くにいくことに気持ちが向いていたのかもしれません。病院仲間の一人がトレーニングを兼ねてランニングに誘ってくれたことが走り始めるきっかけとなりました。
最初はちょっとジョギングしただけで、半身麻痺で使わなくなってしまっていた筋肉が何日も激しく痛み、それが悔しくて、痛みをとるにはどうしたらいいのか、インターネットや本で沢山調べました。脳梗塞患者のトレーニングの事例はなかなかなかったので、健常者のトレーニングを自分流にアレンジするなど工夫もしました。徐々に距離を伸ばしてハーフマラソンを完走できるまでになりましたが、脳梗塞患者でもある私がフルマラソンにチャレンジするには慎重さも必要だと感じ、複数のハーフマラソン大会に参加して体力をつけたり50㎞ウォーキングで距離をいく感覚をつけたり、コースの下調べをしてペース配分、栄養・水分補給などの綿密な計画をたてるなどできる限りの準備をしました。
それでも、最初のフルマラソンチャレンジは、後遺症である内反と尖足が影響して爪下血種になり、タイムアウトで途中リタイアでした。そこから気持ちを立て直し、約1年かけて再チャレンジした大会でようやくフルマラソン完走できたのが昨年。病気の発症から4年を経過していました。この間、諦めずにやってきた努力が結実し喜びもひとしおでしたが、同時に次のチャレンジの目標ができました。それが成人男子の平均以上であるフルマラソン4時間内完走。このチャレンジは、独学だけで臨むにはハードルが高すぎます。そこで専門家としっかり自分の身体に向き合いリハビリ、トレーニング、栄養管理をしていくことにしたのです。また、そうするからには、同じように病気や後遺症に悩む人たちの希望やヒントになるようこの過程を情報発信していくことをミッションとしました。

私たちは2週間に1度の合同練習とリハビリ、日々のオンラインミーティングでの情報共有を行っています。練習の際には、理学療法士とランニングコーチが後遺症のある身体で走りをよくするために議論を交わし、指導してくれます。また一人暮らしをしている私がフルマラソンに耐えうる身体をつくるために必要な栄養をとれる食材の選び方、調理の仕方を管理栄養士と相談しています。このように異分野のプロフェッショナルがコラボレーションすることで、脳梗塞患者の身体的な回復だけでなくQOL(クオリティオブライフ)回復に必要な知見が積み重ねていけることにもこのプロジェクトの意味があると確信しています。

目下の目標は2018年2月に行われる東京マラソン2018で成果を出すこと。プロジェクトのホームページで情報発信していきますので見守っていただけると幸いです。
【B-SUB4 PROJECT HP】

https://sub4-project.com/

★私たちがどのようにこのチャレンジを進めているかを発表する講演交流会も予定しています。
一般参加枠もまだ多少枠がありますので、よろしければいらしてください。プロジェクトメンバーの管理栄養士が監修したヘルシーな軽食付きです!

【B-SUB4 PROJECT講演・交流会】
2017年12月7日(木) 11時~14時
場所:浜離宮朝日ホール 小ホール(東京都中央区築地5-3-2 朝日新聞東京本社 新館2階)
参加費:おひとり2000円(軽食代込み、当日受付にて)
※軽食の数の確認のため要事前申し込み。メール(info@b.sub4-project.com)または電話(03-5542-0785)にて。

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