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vol 4 「医療改革の国技館」として「医療改革国民会議」の創設を提唱する

医療ガバナンス学会 (2010年1月5日 08:00)


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健康医療市民会議代表 梶原 拓

2010年1月5日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

我々「健康医療市民会議」(代表・梶原拓)は、「医療改革懇談会」(座長・大竹美喜)および「構想日本」(代表・加藤秀樹)とともに、自民党・細田幹事長、保利政調会長、民主党・直嶋政調会長、鈴木副会長、公明党・福島政審副会長、国民新党・自見政審副会長など主要政党・政府政策責任者に対し平成21年6月、「抜本的医療改革断行」の提言をしました。また全国知事会、全国市長会、全国町村会にも協力を求めました。
日本経済新聞6月24日朝刊では「蘇れ医療」シリーズとして「官僚でも医師会でもなく・・・」「市民に移る政策の手綱」の見出しの下「元全国知事会会長の梶原拓(75)が代表を務める医療改革市民会議も今月、医療改革の提言をまとめた。「既得権益に関係ない各界・各層の国民代表で「医療改革国民会議」をつくって医療政策決定の主導権を国民の手に取り戻す」。これが提言の第1項」と報じました。
7月には、患者・市民は医療サービスの消費者との立場から野田聖子・消費者担当大臣へ「縦割りでなく横割りで患者・市民の声を反映する場づくり」を要望しました。
我々の提言の柱は
1 「医療改革国民会議」の設立
2 地域主権と市民参加
3 開かれた医療行政システムと情報公開の徹底
4 安定的な医療・介護財源の確保
の4点です。
このうち「医療改革国民会議」については、7月17日に行われた東京都議選のマニフェストにおいて、自民党、民主党ともに「医療改革都民会議」の設置が明記されました。
さらに歴史的な政権交代を実現した衆議院選挙のマニフェストでは、
自民党は、<社会保障制度を真の国民の立場に立って検討する場として「社会保障制度改革国民会議(仮称)」の設置に向けた法整備を進める>
<「1万人オピニオンリーダー制度」を創設し、国民から公募したモニターの方から党運営や各種政策課題について提言をいただき、党内で最大限活用し国民本位の政治を実行する>
公明党は、<医療は、患者のためにあることを明確にし、国や地方自治体の役割、患者の医療政策決定への参加のために「医療改革国民会議」の設置、医師・医療機関の責務などを盛り込んだ「医療基本法」を策定します>
民主党は、<医療は提供する側と受ける側の協働作業です。各界・各層の代表の意見を幅広く聴取し、医療の抜本的改革に関する目標と工程を定めた基本方針を策定を策定、建議する会議体の枠組みと、民主党政権が責任を持ってその実現を図る体制を確立します>
と掲示されました。
総選挙後、政局が一段落した10月27日付けで、我々三者の名において、一日も早く「医療改革国民会議」を創設し、患者、市民、国民の声を医療政策に反映していただくよう「医療改革国民会議の創設について」要望しました。
引き続き12月10日付けで「医療改革国民会議」の組織・運営について、患者・市民の医療改革の指針案を添えて要望しました。その骨子は
医療改革の前提として、患者・市民の立場は、次の「患者・市民5則」に集約できる。
「患者・市民5則」<患者・市民本位の医療改革の指針>
<これが医療費削減の基本>
1 病気にならないこと
2 最適の治療法を選べること
3 最適の治療法を実践できること
4 患者・市民の人権が尊重されること
5 患者・市民も責任を負うこと
医療政策の基本は「患者を減らすこと」で、医療の原点に回帰し予防・未病対策を徹底すべきです。これまで日本はなぜか米国連邦議会マクバガン・レポートのごとく「医食同源」日常の食事のあり方など自然治癒力を維持・向上させる方策を軽視してきました。また発病防止の自己努力と医療費の自己負担を連動させることも一案です。
病気になったら幅広い治療の選択肢を用意し、早く治すことです。西洋医学でも東洋医学でも、保健診療でも自由診療でも、科学的エビデンスでも体験的エビデンスでも、患者にとっては「治ればすべていい」のです。「統合医療」とか「総合医療」は患者・市民にとって「当たり前」のことです。しかしながら医療サービス供給側の各種制約で治療の選択肢が狭められ病気が長引き治らず患者が減らないのが現状です。患者・市民にとって「理想の医療」とは
1 必ず治る 2 早く治る 3 痛くない 4 副作用がない 5 お金かからない
の5点に尽きるのです。
医療現場・臨床の医師不足解消は急務です。医師の増員と待遇改善は、業種間の格差の問題以前に、<尊敬され・魅力ある職業として医師を確保する>視点で取り組むべきです。コメディカルなど人的医療資源を既得権益にこだわらず各種障壁・垣根をこえて総動員すべきです。
患者の人権が尊重されるには、<目で見え、耳で聞こえ、声が届く>開かれた医療に変えるべきです。医療の最大の当事者は患者・市民です。医療改革には、公開の議論の場「国民会議」(医療改革の国技館)が必要不可欠です。当事者の協力があってこそ医療改革は成功します。「医療費の抑制」も国民は自分自身の課題として協力できるでしょう。
患者・市民も医療について責任を自覚すべきです。医療は「公共財」です。患者・市民みんなでも護るべきもので私物化は許されません。「コンビニ受診」や「モンスターペイシェント」の排除はもちろん外国の例にあるように救急車の有料化も一案です。一方では、少数派の難病対策等に注力し「自己責任」と「弱者保護」が併行しなければなりません。
これまでのような単なる「医療費の削減」「自己負担の増額」では国民の不安は高まり生活防衛に走ります。国民が安心して生活できる医療制度を確立するため「福祉税」として消費税の増税に踏み切るべきです。大衆迎合の姿勢では結局、真の国民の信頼を得ることはできません。また適正な医療を確保するため、「納税者番号制」と連動して国民全員「健康医療番号制」を導入すべきです。
我々がこうして<患者・市民本位の医療改革>を提唱する所以は、単なるアイディア・思いつきからではなく、日本の政治の大きな流れを背景としています。それは400年サイクルの政治パラダイムの変遷です。我が国の政治権力の中心は、
日本統一・大和朝廷の政権の確立・奈良時代までの天皇親政から
平安時代の公家政治
鎌倉時代の武家政治、そして
徳川時代の官僚政治へ
ほぼ400年サイクルで権威、血筋、武力、そして管理能力重視へと政治権力が移行してきています。徳川幕府の上級武士による官僚支配体制が閉塞し、「黒船襲来」の外圧が加わり、西郷隆盛、大久保利通、坂本竜馬、桂小五郎、伊藤俊輔などの下級武士の決起により明治維新が成り、以後官学出身者の「官員様」・新官僚が今日まで日本の政治を支配してきました。その功績は少なくありませんが、官僚政治も400年を経過して制度疲労が極まり、自民党長期政権下での政官業の三角構造・密室・談合政治に国民が「チェンジ」と反旗を翻し、先の総選挙で歴史的な政権交代を実現しました。選挙で大勝利を博した民主党のスローガンは「脱官僚政治」でした。
「官僚政治」の次は「市民政治」です。真の国民主権、「人民の、人民による、人民のための政府」(リンカーン大統領)の実現です。民意を的確に反映できる政党・政治家による責任政治・間接民主主義、そして具体的な課題に国民・市民が参加できる直接民主主義の両立が「市民政治」の姿です。このため常に政権交代可能な「二大政党」の育成が必要です。また個別テーマでは間接民主主義の間隙を埋める国民・市民の直接的な参加システムの構築が不可欠です。既に司法の世界では「裁判員制度」が発足し「検察審査会制度」も改革されました。国の財政では「事業仕分け」が試行され、結果・内容の是非はともかく、「開かれた国民参加の場」を国民は好意を持って受け止めています。「市民政治」への大きな歴史の流れは誰も阻むことはできません。一方、国民・市民も従来の「お上」依存の「お任せ症候群」から「自己責任」の「当事者意識」に目覚めなければなりません。国民の主権と国民の義務は表裏一体です。医療については、先進国の例にみるように権利・義務を併記した「患者権利宣言」の制定が急がれます。
こうした考えに基づき、総選挙に先立ち平成21年7月27日付けで「政治パラダイムの変遷~400年サイクル~<「医療改革国民会議」の設立を求める歴史的意義>と題する文書を各政党・政府幹部に配布し、供覧し、ご理解をいただいたと思います。
国民・市民に最も身近な課題を論じる「医療改革国民会議」は「市民政治」実現の試金石です。「患者・市民不在」の医療改革から「患者・市民本位」の医療改革への一大転換でなければなりません。このため「国民会議」は従来型の「お役所審議会」であってはならず
<「官僚起点」から「市民起点」へ>
<トップダウンからボトムアップへ><市民から政策提案>
<官僚でなく政治家が評価・決定>
<専門家は脇役・アドバイザー>
<官僚は執行責任>
<医療情報の密室からの開放>
の仕組みを創り
メンバーは、患者・市民代表中心、肩書き抜き、現場主義、地域差反映、階層別ニーズ反映、政治的中立などの視点で構成。
事務局には、シンクタンクに委託。
というように大きな発想の転換がされなければなりません。
いうなれば、衆人環視・テレビ放映のもと公正に取り組みが展開される「医療改革の国技館」を設ける必要があります。これによってこそ患者・市民・国民の支持を得て「抜本的な医療改革」「医療財政の破綻防止」が成功するものと信じます。
今後、我々は「抜本的医療改革を進める市民の会」など広く患者・市民その他有志の組織・団体と連携し「患者・市民本位の医療改革」の実現に向かって持続的に努力して参ります。心ある人たちが同志「平成維新の志士」として、医療は「他人事」でなく「自分事」として当事者意識で賛同し協働・共闘していただくよう願っています。

<健康医療市民会議>
代表 梶原 拓
HP  http://www.kisk.jp

各党政策責任者殿
内閣関係大臣殿

平成21年12月10日

健康医療市民会議代表 梶原 拓
同医療改革懇談会座長 大竹美喜
構想日本代表     加藤秀樹

「医療改革国民会議」(仮称)の組織・運営について(要望)案

去る10月27日、過般の総選挙における各党マニフェストに基づき「医療改革国民会議」(仮称)の創設を要望したところであり、その後、各党において検討されていると存じますが、このたび患者・市民の視点から同会議のあり方について別紙「患者・市民本位の医療改革の指針」(案)をまとめましたので、善処していただきたく、要望いたします。
これまで公的に医療改革を論じるに当たっては、一方的な医療費の削減や供給サイド関係業界の利害調整に終始してきた感が強く、最大の当事者・消費者である患者・市民が直接意見を主張する機会が与えられてきませんでした。このたび創設される会議においては、従来のように「政・官・業」に特定の「学」を加えたのみの閉鎖的な場ではなく、患者・市民を当事者として位置づけ、特に医療現場の実情を反映できる委員を選び、国民の期待に応えることができるような開かれた場として組織・構成・運営を考慮していただくよう要望いたします。
以上

 

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