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Vol.139 低い性感染症の認識に危機感

医療ガバナンス学会 (2018年7月10日 06:00)


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この原稿は医療タイムス6月11日号からの転載です。

山本佳奈

2018年7月10日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

「性感染症の検査、受けたことありません。」これは、外来で緊急避妊薬を処方する際に同世代の女性からよく聞かれる回答の一つだ。性感染症の検査もしてくださいね、と伝えると、「知らない、受けたことがない」という女性が多いことに今年の冬に気がついた。同世代の多くの女性の性感染症についての認識の低さに居ても立っても居られなくなった私は、自分で発信を始めることにした。今回は、性感染症の現状と私の取り組みについてご紹介したい。

2010年以降、増加傾向にある性感染症の一つである梅毒が昨年より急増している、との報告が相次いでいる。私が勤務している福島県いわき市で昨年報告された梅毒患者は26名。福島県内の報告数の約39%を占めていた。なんと、今年は4月末時点ですでに20人が梅毒に感染したと報告されている。実は、福島県の梅毒患者数は、東京、大阪に次いで第3位。2014年以降、急増しているのだ。

梅毒だけが性感染症ではない。日本で最も感染者数の多い性感染症は、クラミジア感染症の約2万5000人だ。次いで、性器ヘルペスの約9300人、淋菌感染症の約8100人と続く。だが、これは氷山の一角にすぎない。これら性感染症は症状を自覚しにくいために、病院を受診していないケースが多いと考えられるからだ。性感染症の原因であるクラミジアや淋菌は、男女ともに不妊症の原因になる。性感染症の一つであるクラミジア感染症は、不妊症の原因の2割を占めていると推定している研究者もいる。防ぐには、早期発見・早期治療しかない。

性感染症の増加の原因として考えられているのが、SNSの普及だ。ジョナサン・マーミン博士は、「現時点では、因果関係は明らかではないが、Tinderのような出会い系アプリの登場は、性感染症の原因かもしれない。」と言う。今年の5月1日、Facebook社は、「出会い」機能の年内追加を発表した。実は、株式会社モニタスの全国2830名を対象とした調査によると、福島県はFacebookの利用率が47.5%と全国1位であり、全国平均の33.6%を大きく上回っているという。今後、さらに性感染症の患者数は増加してしまうかもしれない。SNSの普及と性感染症の関連については、是非とも調査したいと考えている。

実際に、性感染症の検査をしたことがある女性の割合はどれくらいなのか。疑問に思った私は、クリニックで緊急避妊薬を処方した女性33名に「性感染症の検査をしたことがありますか?と聞いてみた。すると、たった9名しか性感染症の検査をしたことがなかった。中には、性感染症って何ですか、と言う女性や、性感染症の検査を知らない女性もいた。

同世代の女性に性感染症について伝えないといけないと思った私は、性感染症についての冊子を自費で作り、外来で配ることにした。自分のカラダを守るためには、予防と定期的な検査が大切であることを伝えたかったからだ。冊子は、性感染症だけでなく、緊急避妊薬や低用量ピル、貧血やワクチンなど同世代の女性に伝えたい問題を取り上げ、展開していきたいと考えている。

http://expres.umin.jp/mric/mric_2018_139.pdf

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