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Vol.183 ベネズエラでのゴタついた弁護士生活

医療ガバナンス学会 (2018年9月7日 06:00)


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https://www.mricg.info/single-post/2018/07/29/A-complicated-life-as-a-lawyer-in-Venezuela

この原稿はMRIC Globa(2018年7月30日配信)からの転載です。

マリア・スアレズ
訳者 松本直子

2018年9月7日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

ベネズエラで弁護士を生業とするのは容易なことではない。私は弱冠23才であるが、21才だった2016年に弁護士を辞めた。当時はベネズエラの情勢が今よりも良く、10代の若者には大きな責務があると考えていた。法律を上手く応用して法のシステムを信じる全ての人の正義を実現し、物事に変化をもたらす責任があると考えていたのだ。そんな私にとって弁護士は素晴らしい職業のように思われた。

しかしながら、法に対しての信念があればあるほど、その理念を現実社会に応用することはとても難しいことに思えた。法は機能していない。これが、ここベネズエラの悲しい実情であり、私が学んだことだ。ベネズエラ政府は法律を操作しているのである。今、我々ベネズエラ国民はこれまでにない最悪の状況に置かれている。正義が機能していないし、若者が弁護士として良い仕事を見つけることもできない状況にある。

安い給料に高い生活費がかさみ、私たちは恐ろしい危機に瀕している。
例えば、ベネズエラの電気システムは最悪だ。1日に6時間すらも電気が通らない。そのせいで明かりとインターネットがなく、私のような弁護士は司法需要を満たすことができなくなっている。結果として、ベネズネラから他国への移民も急激に増加しており、司法省や裁判所の職員を確保することもとても困難な状況である。

数日前、私はある友人に会った。彼女は私が暮らしている街の裁判所で働いており、私は彼女にどのように司法システムが機能しているのかを尋ねた。すると、彼女は「働いてる人はいない。ほとんどの人たちはもう職場を離れていて、私たちのようにとどまっているのはごく一部の人間だけ。私たちは、法律の判例から大きな遅れを取っているわ。離婚を望むクライアントがいても、なにもできないの…。」と答えた。今、ベネズエラにおいて、私の弁護士としての生活がどのようなものであるか、あなたに想像できるだろうか。

ベネズエラで法曹として働く人々は、自分たちのキャリアを心から愛し、何かを変えたいと思っているから法の世界で働くのだ。この分野ではたらく多くの人々は、熱心に働けば、ものごとを変えられると信じ、私もそう信じている。この点において、ベネズエの現状は、私の人生のやる気を喪失させるものではない。私が信じていることは、法曹として生き、法について学ぶ必要があるということだ。

私は短期目標も長期目標も明確に持っている。近いうちに、私はマーケティング戦略と商業管理の修士号をとるためマドリードに引っ越す。弁護士という私のバックグラウンドを考えると、この選択が不可解に映る可能性もわかっている。しかし、弁護士のキャリアを離れ、これらの学問を学ぶことで弁護士としてのキャリアも見直すことができるのではと考えている。

スペインで様々に学ぶなかで、我が母国の状況を変える知識を増やして生きたいと思っている。
私は若く、この先素晴らしい人生が待っている。できる限りのことを学び、如何なる時もその先も生きていく。私は愛と情熱と正義でもって、仕事をしに、またベネズエラに戻ってきたいと思っている。

Maria Suárez from Venezuela April, 2018.

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