医療ガバナンス学会 (2018年10月29日 06:00)
先の投稿でも触れましたが、建前上は、「今後はプロパーに任せる」とのことで私と同時採用の愛名やまゆり園のY総務部長(神奈川県職員OB)も一緒に平成26年度末に解職となりましたが、Y総務部長は米山理事長に「私も辞めるつもりだし、就職先を見つけるから‥」と言われながら、その後一切理事長からの口利きはなく、逆に理事長は退くことなく3年が経過し、津久井やまゆり園での殺傷事件となりました。
事件後も米山理事長は「辞める、辞める」と言っておきながら、昨年6月の任期満了まで辞任を伸ばし続け、事件の根底にある法人(施設)の運営の不適切さを県から指摘されることなく、それ故何ら責任を問われることもなく、ペナルティーも受けずに円満任期切れで、次の県OB幹部にその地位を引き継ぎました。何ら約束を守らず、額に汗して働く一般職員を置き去りにした「逃げ徳」と言っても過言ではないと思います。
この前米山理事長時代の平成25年度に、純資産額が急増した事が発覚。検証委員会による調査の結果、平成18年に障害者自立支援法が施行された事によって、神奈川県からの指定管理料と自立支援法による給付費に重複があったことや施設整備費についても県が支払うべきでないものがあり、総額10億円近い額が過払いとなっていたことから、「共同会」は県に約10億円を返還した経緯があります。
こうしたことにもかかわらず、前理事長、常務理事は、社会福祉法人の責任者として運営費を適正に執行することなく、再度資産の溜め込みを行い、昨年度までの余剰金約40億円が指摘されていましたが、先日開催された「共同会」の運営協議会において、3,500万円の県への返戻金の説明が現幹部からあったようです。
先の投稿でも述べたとおり、「共同会」は神奈川県立秦野精華園の再整備スタート(平成2年)にあたり、再整備後の運営は県立民営方式が適切とされたことから、行政、障害者施設、地域作業所、障害者保護者(親の会)の総意によって設立された社会福祉法人で、神奈川県の福祉の核となる法人ですが、残念ながら初期の目標は何処かに置き忘れてきたようです。
その要因として、「共同会」の主要な問題点は次の3点があげられます。
1 社会福祉法人としてのミッションが不明確なこと
2 1に関連して、経営者層(理事長、常務理事、4園の園長)の「共同会」の役割・責務に対する認識が欠如していること
3 コンプライアンス(法令順守)の欠如していること
こうした状況の「共同会」の新体制に望まれることをあえて挙げれば次の2点、
1 一般職員が誠実に仕事をしている状況を再認識して行く中から、もう一度法人設立の 原点に立ち返えるとともに、大法人となった現状を踏まえた新たな法人運営(社会貢献)を展開すること。
2 神奈川の障害者福祉の“明日”を県(官)と共に「民」としての立場から一体となった推進を図ることが肝要であることを職員に伝え、共同会のミッションを示しながら一緒に汗を流すこと、と言えます。
私事ですが、娘夫婦と知的障害者と精神障害を支援対象とするグループホーム(定員6名)をNPO法人の傘下の基で設置し、この5月に開設しましたが、入所を希望する方の状況を見ると、医療保護入院中の方など、本来ならば夜間人員配置等支援体制が整っている社会福祉法人の看板を掲げる法人が当然受け入れるべき方が、障害当事者の過去の状況から、そのリスクを恐れられたためか入所を断られ、一部の誠意のある社会福祉法人や資金面などから支援基盤が弱い立場にありながらも狭間にある障害当事者を何とか支援しようとするNPO法人に委ねられている現状が垣間見られます。
特に「共同会」は社会貢献の一方策として、こうしたリスクを伴う方々を自主事業として運営しているグループホームで積極的に受け入れるべきですが、運営する指定管理施設の入所者や日中事業で通ってくる対象者など、日頃から「顔の見えている方」を受け入れる傾向にあり、これでは何ら一般的な社会福祉法人と変わりがありません。
「共同会」には、県立障害者施設の指定管理者として大法人となった立場を意識し、神奈川の障害者福祉施設(支援)の要として、医療で言えば「大学病院」的な役割を社会福祉法人の立場から果たすことを目指すことが求められていると前回の投稿で書きましたが、神奈川県としても県立の障害者指定管理施設の広域・専門性を担保するために、職員派遣費用の指定管理料への上乗せなどを行い、県直営障害者施設との職員の交流(派遣)を図り、次の段階として「共同会」はそのことにより得た支援上のノウハウを社会貢献の一環として、一般民間施設との職員交流を行うことなどにより神奈川の障害者支援の質を高めて行くと言ったことなどが出来ないか、真剣に考える最後の機会だと思われてなりません。
また、指定管理費の過払い問題に関連して言えば、「共同会」の自主事業としてのグループホームの運営や近隣市からの受託事業の運営において、自主事業専任の管理職や職員給与事務・支援費の請求事務等を行う総務職員は配置されていないので、こうした職員の人件費や事務スペースを含む事務経費が神奈川県の指定管理費から支出されていないかなど、納得できる積算資料の提出による県民への説明責任が求められると思います。
特に前理事長、常務理事はその職を退いたとは言え、責任の重大性をわきまえているなら、誠意を持ってきちんと議会や県民に説明を行うべきで「逃げ徳」は許されません。
「共同会」における支援の面から言えば、かつて国連総会の場において、ダウン症の女性が、次の様なアピールを行っています。
「私の前を歩かないで下さい。私はあなたについて行けないから。
私の後ろを歩かないで下さい。私はあなたをリード出来ないから。
どうぞ、私の横を歩いて下さい!」
障害当事者にどれだけ寄り添った法人(園)運営が出来るか。そのことを幹部職員が自らの行動として職員に示し、一緒に汗を流せるかにかかっていると思います。
次にセカンドオピニオンについて触れますが、障害者当事者への支援と同様にいかに患者に寄り添った対応が出来るかが問われると思います。
実は、私事ですが昨年の8月、みぞおちを押すと痛く、寝ると背中に違和感があるので近所の病院で受診したところ膵臓に関する数値が高く、そのまま救急車で専門医のいる病院に搬送されました。CTなどの結果を基に胃部からの内視鏡の結果、膵臓に腫瘍があり組織検査の結果膵頭部の初期の癌(1㎝程度)と診断され、9月初旬膵頭十二指腸摘出手術を受けました。
現在の体調は、体力はともかく一応日常生活は相変わらずですが、就寝時に横になると右横腹が痛く、2時間ごとに目が覚めることが続き痛み止めを処方してもらっています。膵臓そのものの方は回復しているようで、毎食前のインシュリン注射から朝晩の食前の服薬に変わり面倒が無くなりました。
しかし、術後9か月(6月)の定期受診で、膵臓癌腫瘍マーカーが上がっており、その後も上がり続け、CT検査(PET)の結果、癌の腹膜間リンパ節への転移が執刀医から指摘され、8月の受診時に、このままでは背中に痛みが出てだんだん強くなり危ない状態にあるとの説明を受けました。
<血液検査結果>
http://expres.umin.jp/mric/mric_2018_216.pdf
通常医療で行けば、手術後に勧められる抗がん剤の使用が普通でしょうから、手術をした病院の医師の頭の中には「今更」の感覚があるとは思いますが、「抗がん剤治療を受けない方も多くいるので抗がん剤の使用はご本人の判断です。」との話でした。
ちなみにと余命を聞いたら、「このまま抗がん剤を使用しなければ数カ月。場合によっては今年中持つかどうか?」と、さらっと言われ、同席した娘もショックを隠せませんでした。
抗がん剤は通院可能な現状なら点滴。それなりの副作用があり、抗がん剤が効けば延命もあるが駄目ならば持っても1~2年とのことでした。
翌日、その結果を持ってマイクロ波照射を行う温熱治療クリニックでも受診しましたが、癌エネルギー(塊)は無く、癌細胞もマイクロ波照射後は消えるので、腫瘍マーカーは癌ではなくカビによるものとの説明で、当面はプロポリス摂取が必要との診断でした。
温熱療法の医師の話では、抗がん剤は正常細胞も壊し体力が消耗するので避けて、今は体力の維持・増強に努めて欲しいとのことでした。
こうした状況下、兄から「二人の医師の診断の差が分からないので、セカンドオピニオンに見てもらえ!」と言われ、兄夫婦の知り合いからの情報により某大学附属病院に勤務する膵臓癌の権威と言われている非常勤医師のセカンドオピニオン(自費診療:30分消費税込みで32,400円)を受けました。
セカンドオピニオンを有効に活用するには準備と心構えが必要と言われていることから、通常医療では、抗がん剤使用を勧められると思ってはいましたが、一応次のようなメモを作成し説明を聞きに出かけました。
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<症 状> ※ 手術時、予定より膵臓を1㎝多く切除
・お腹の張りあり(術後から)→ 癒着との関係は?(どんな症状が出るのか?)
・下腹が「ごにょごにょ」言う(3か月前から) → 原因は?
・右横腹の痛み(1カ月前から)→ 睡眠不足(痛み止め服用)→ 原因は?
<痛み止め:ロキソニン、セレベックス使用、トラムセットは処方されたが、運転が出来なくなるなどの副作用があるとの薬局の説明で、今のところ不使用>
・血糖値は安定 →インシュリン注射(毎食前)から服薬(朝・夕食前)に変更。
※服薬により、おなら、下腹の違和感の副作用あり。
・血尿(9月25日糖尿科検査で+3)→ 様子見
・閃輝暗点(9月中旬から3回、頭痛は無し)→ 脳MRIは異状なし
・食欲→ 少し減退(気力)、逆流性食道炎との関連か胃の不快感あり。
・体力減退(手術前の1/2程度)→ ふらつき(気力が必要!)
<診 断>
〇腫瘍マーカー、PET検査からの診断 → 余命の期間は、抗がん剤使用しなければ、数カ月。今年中も考えられるとのこと。(抗がん剤も上手く効かなければ、もっても1~2年。)
・膵臓癌 → 転移(腹膜間リンパ節) <腹膜ハッシュ>
・抗がん剤治療 → 方法、副作用は?
・放射線治療(サーバーナイフは使用不可) <重粒子線治療は可能か?>
〇癌活性化消滅療法(マイクロ波)の診断 → 癌エネルギー無し(カビ)
〇免疫細胞療法の利用は効果が期待できるものか?
<その他>
・末期の症状は?(突然、ガクッと行くことはあるのか?)
・生活方法は?(やってはいけない事、やった方が良い事)
・冷え性だが、その対策は?
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予約時間の30分前に来院の事とのことでしたが、手術をした病院からの紹介状に添付されたCD映像のダウンロードに時間がかかるとのことで予約時間後も30分ほど待たされたので、映像を見ながらの説明があると思いきや、開口一番「なぜ手術後に抗がん剤を使用しなかったの。もったいない。」
映像説明も無く、腫瘍マーカーの数値からの状況を聞いても、「上がってるよ!すぐ抗がん剤治療を受けなさい。膵臓癌に放射線は勧めないし、膵臓癌の手術後は抗がん剤しかないよ。」と何を聞いても「抗がん剤治療」の一点張り。同席した娘も唖然。
それではと、抗がん剤治療の方法や副作用を聞いたら、「執刀医の先生の方が、あなたの状況を一番よく知っている。手紙を送って置くのでよく相談しなさい。」とのこと。
30分では時間が足りないと思ってメモを準備し遠方まで出かけて行ったのに、10分足らずで終了し32,400円。これでは何のためのセカンドオピニオンなのか。
へそ曲がりの私は、これまで通り抗がん剤に頼らず自分の体を信じて過ごそうと言う意を強くしました。
セカンドオピニオンの医師はご高齢にもかかわらず、今もメスを握っていると豪語していましたので、それなりに患者さんの命を救って来たのでしょうが、それと同時に何人の患者さんの心を傷つけて来たことか。
「共同会」の前幹部の障害者支援・施設運営は神奈川県下の障害当事者全体に関わる問題であり、セカンドオピニオンの問題は一個人に関わる問題で、一見すると接点がまるで無いようですが、その根底には人と対峙する時の姿勢に共通の問題があると思います。
障害者支援施設の幹部の障害当事者に対する真の支援が眼中にない施設運営、患者と心のふれあいの無いセカンドオピニオンの存在とでも言えましょう。
多くの支援対象者がいるにもかかわらず、単に県から与えられた特定の仕事と付随した自主事業を都合よく展開するだけで、障害者福祉制度の狭間に置かれている支援対象者に手を差し伸べることもせず、社会福祉法人としての使命を顧みない「共同会」幹部(特に旧幹部とその影響)の存在。
「医は仁術」と言われていますが、その言葉の意味を調べてみると、「仁」は思いやりと言う意味(孔子が提唱)があり、医療行為は元々「人を思いやる心で行う」ということを算術(金儲け)と対比させたものであるという説明や、「医は、人命を救う博愛の道である」(広辞苑)ことを意味する格言。特に江戸時代に盛んに用いられたが、その思想的基盤は平安時代まで遡ることができ、また西洋近代医学を取り入れた後も、長く日本の医療倫理の中心的標語として用いられてきたと言う説明もあります。
また、「医の国際倫理綱領」ではジュネーブ宣言に言及しながら,医師の義務につき述べており、その中に、医師は、個人および社会に対して専門的行為について常に最高水準を維持するべきであり、医師は“利益を得るという動機に影響されないで職務を遂行しなければならないとも有りますが、医師は“患者や同僚医師に誠実に接し”“その権利を尊重する”ことも強調しています。
人を相手にする職業に就く者は、「障害当事者」や「患者」と言った環境だけでその人の在り方を規定するのではなく、「その人がその人自身を生きている」ことを見失わないように心掛けて欲しいと思います。
社会的にも責任がありながら、相手(障害当事者・患者や家族)の立場に立たない(立てない)人の怖さとともに、「権力」や「権威」にしがみついた人の哀れさを感じるのは私だけでしょうか。