医療ガバナンス学会 (2019年4月17日 06:00)
フリーアナウンサー・“ゆめ旅KAIGO!2020”メンバー
町 亞聖
2019年4月17日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
そこで「車椅子1万人プロジェクト」と題し移動に支援が必要な要介護の高齢者のみなさんの2度目のオリパラ観戦を実現するために、社会人や大学生の有志のメンバーが集まり一昨年から活動を始めたのが”ゆめ旅KAIGO!2020“(https://www.oriparakaigo.tokyo/)
です。“ゆめ旅”の目標は高齢者の人を東京オリパラに招待することではなく「自分も行きたい」という希望や夢を持ってもらい、「自分にも行ける」と自信をつけてもらうことです。“高齢者だから障害者だから何も出来ない・・という偏見を無くしていきたい!”ゆめ旅の大学生メンバーもこんな熱い想いを抱き活動に参加してくれています。
一緒に活動している学生さん達は10代20代ですが、同じ年頃の高校3年の時に期せずして私は母の介護に直面することになりました。くも膜下出血で倒れた母は言語障害と右半身麻痺という重い障害を負い車椅子の生活になりました。まだ1990年代でバリアフリーという言葉を知っている人も皆無、介護保険制度もなく家族が介護をするのが当たり前の時代でした。私は介護家族の1人として障害者に対するバリアや偏見に直面することになったのです。
「障害があっても、高齢者でも、認知症でも、不治の病でも、どんな状況の人でも住み慣れた地域で当たり前の暮らしを送れる社会を作りたい」が私の18歳からの変わらない目標です。そのためにこれまでもアナウンサー、キャスター、報道記者として医療や介護の現場を取材し続け当事者の声に耳を傾けてきました。もし母が生きていたら病で倒れ車椅子の生活になって来年はちょうど30年となる節目の年。そんな中で“ゆめ旅”の活動に出逢ったのは私にとって運命としか言いようがありません。
車椅子の母と過ごした10年の歩みは”ゆめ旅”に繋がっていて、気がつけば世代や職種を超え沢山の仲間に囲まれている”今”に心から感謝しています。アナウンサーになっていなければ介護の世界で働こうと決めていましたのでもしかしたらゆめ旅の学生メンバーの先輩になっていたかもしれません。ひとつ残念なのは母が居ないことですが・・・でもきっと母の心はそばにあり私のことを見守ってくれているはず。誰かの夢を叶える応援をすることがかけがえのない出逢いを与えてくれた母への恩返しだと思っています。
そして”ゆめ旅KAIGO!2020″学生メンバーによるクラウドファンディングが4月15日にスタートしました。タイトルは「”ゆめ旅”学生企画☆ボッチャで一歩!車いす1万人プロジェクト」です。1万人と壮大な人数を掲げていますが私達ゆめ旅に出来ることはまずは目の前にいるお一人お一人の外出のきっかけを作ることです。
高齢者のみなさんが周りに気兼ねせずに外出できる環境を作るために学生達が考えたのは、パラリンピックの正式種目にもなっていて車椅子でもできるボッチャの大会を開催して高齢者のみなさんに体験してもらうというイベントです。スポーツを観るだけでなく世代を超えて一緒に楽しむことで“支援する側と支援される側”ではなく共に歩める社会を目指す学生達、そして“ゆめ旅”の活動をぜひ応援していただければと思います。
要介護の高齢者のみなさんが踏み出す一歩は全ての人達の次の一歩に繋がると考えています。誰もがいつでもどこでも自由に好きな場所に行ける仕組みができて初めて、日本は真のバリアフリー社会やユニバーサル社会になるのだと思います。2020年東京オリンピック・パラリンピックはゴールではなくスタートです!
“夢を諦めなくていい未来”へ向けての一歩をゆめ旅と一緒に踏み出してみませんか・・・
クラウドファンディング「Ready for」ホームページ
「”ゆめ旅”学生企画☆ボッチャで一歩!車いす1万人プロジェクト」
https://readyfor.jp/projects/yumetabi