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Vol.118 ハンガリーの医学生が日本の病院研修に驚いたこと

医療ガバナンス学会 (2019年7月4日 06:00)


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吉田いづみ

2019年7月4日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

私はハンガリーにあるセンメルワイス大学医学部に通っています。私の大学ではそれぞれの学年が終わる際に(1年または2年に看護、3年に内科、4年に外科と)それぞれ1ヶ月の研修が必須となっています。また最終学年の6年では1年間丸々研修期間とされており、日本の初期研修のように1年間かけてメインの診療科を回ります。

その研修ですが、基本的にEU内ならある程度の大きい病院どこでも、EU外なら大学が提携を組んでいる大学病院や指定病院での研修が許されています。日本ではインターナショナルコースは慶應大学、弘前大学、岡山大学、順天堂大学、獨協大学、国際医療センター、筑波記念病院、ハンガリー語コースは埼玉医科大学、東京医科大学が指定病院となっています。

私はこの夏ドイツ、ドルトムントにある病院で研修予定ですが、ドイツのほとんどの病院では実習生は少ないところでも1日20ユーロのお給料を頂いて一人の医療者「働く」という形を取っています。朝は8時に病院に行き、夕方5時頃まで、指導医の指導のもとではありますが、採血や手術の縫合、ワクチン接種など、簡単なことはほとんど学生が担当するそうです。
このお給料に関してですが、ドイツのアルバイト相場(1日8時間働いた場合、50-60ユーロ)よりはかなり低い値段です。しかしそれでも、病院で働く経験が得られること、また将来の就職に向けて現場を見る、という面で学生たちは自ら希望して病院で働く、と聞きます。私もお金をいただける上に色々と自分で体を動かして学ぶことができるため、とても楽しみですし、一生懸命頑張ろうと思っています。

またハンガリーからドイツへの渡航費ですが格安航空で片道3000円、滞在費はドイツ人学生2人とシェアハウスのため、月3万円がかかる予定です。ただこちらにはEUで学ぶ学生が世界に留学した場合、ERASMUSという留学支援制度を利用でき、(ドイツに留学した場合)月に570ユーロ(約7万円)が支給されるため、自己負担はほとんどありません。それに加えて、ERASMUS制度では母国語でない人向けに言語レッスンのサポートも受けられます。

それに対し、日本で研修をすると1日患者に触れることができず、ただ立っているだけの1日だと聞きます。加えて、 必須研修であるにも関わらず、慶應大学では1日2,100円、弘前大学は13,200円/週、岡山大学は13,200円/週、国際医療センターは5,400円/日を研修費として支払わなければいけません。同級生にその話をすると「働きに行くのになんでお金を払わなければいけないの?」ととても驚かれます。私も一学生として、夏休みを費やして病院研修するならば、単なる見学ではなく、しっかりと実りあることを、そして学ぶことができる研修をしたいと考えます。

こちらにいると日本の医師不足や過労働といったニュースをよく目にしますが、ドイツをはじめとするヨーロッパの国々のように学生にも仕事をさせ、また実習に来た学生は多くを学ぶことができるウィンウィンの関係が学生にとっても理想ですし、働く医師にとっても余裕があるように見えます。

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