医療ガバナンス学会 (2010年3月26日 11:00)
病棟や外来の運営、学会発表、論文作成、等々スタッフの面々が独自に得意な分野で力を発揮しました。歴史の浅い講座にも関わらず米国臨床腫瘍学会や欧州臨床腫瘍学会に採択され、ポスターセッションではありましたが発表の機会が得られ、帝京ちばにおいては高い評価を受けました。T医師やM医師は多くの英文論文を投稿し、impact factor(論文報告に関する評価点)もうなぎ上りに増加しました。
その結果(?)、筆者の帝京ちばにおける役職も増加、列挙すると、1)システム委員会委員長兼医療情報システム部副部長、2)化学療法委員会副委員長兼外来化学療法センター運営責任医師、3)クリニカルパス委員会副委員長兼DPC(診断群分類)対応電子パスワーキンググループリーダー、4)経営戦略会議委員、5)診療委員会委員、と会議三昧です。事務方との折衝も増え、理事長決裁や病院長決裁用の上申書の作成とそれに関わる根回しも頻繁となりました。実際に診療に当たる割合はおそらく20%程度で、「一体おれって何屋?」という感じでした。救急外来に呼ばれ患者の診療をしたあと、つい「いや〜、たまに臨床やると気分転換にいいな」と言ってしまい、T医師に「そんなこと人前で言わない方がいいですよ。気持ちはわかりますが」とたしなめられた事もあります。
移動生活もすっかり固定し、車の走行距離も年3万kmのペースで増えました。2009年7月に1回目の車検を迎えました。走行距離は9万km、平均時速40km/時とすると運転時間は2250時間、何と3年間で延べ100日分の時間を運転に費やした計算です。燃費が10km/Lなので(総燃費が表示される機能があります)使用したガソリン量は9,000 L、ハイオクガソリンの平均価格が140円/Lとすると総ガソリン代は1,260,000円。高速料金は計算していませんが、最低月数万円は払っています(ETCができてホントに楽になりました)。車の運転は気分転換に良く全く苦痛ではありませんが、これだけの時間を費やしている(おそらく今後も)以上、何か運転しながらできることを探しています。音読の論文を聞きながら、とか、腹筋ベルトを巻きながら、などの提案を受けています。読者の方で何かいいことをご存知なら教えて頂ければ幸いです。
【今後の展望】
2010年1月、筆者は帝京大学医学部第三内科教授に昇格しました。これからは自分の発展に加え、後進育成も重要な職務となります。当初の目標であった「過重労働を排し、自分自身のQOLを保ちながら楽しく働く」は、かなり実現できたと考えています。今後はこの特徴を生かして、多種多様な人材が様々な形で活躍できる場を提供したいと考えています。
スタッフの出身大学は、筑波大学、東京大学、帝京大学、鹿児島大学、と既存の学閥に囚われないので、何らかの事情で大学の医局から離れた方でも問題ありません。また家庭の事情で365日24時間勤務は無理という方でも、可能な範囲内で力を発揮していただく、というのも大歓迎です。また地域医療に興味があっても医局等に所属せず1人で行くのは不安がある、という方もいるでしょう。そのような方も当講座を本籍地として、希望の病院、または当方が仲介し、まずは「出向」という形で勤務する(実際M医師は北海道の診療所のヘルプに、1ヶ月間「出向」したこともあります)のもいいでしょう。また一般病院で思いっきり化学療法や移植をしてみたい、という方は当講座の医局員として筑波記念病院で筆者の仲間と働くのもいいでしょう。また「埋もれた人材を活用する」というのも筆者の方針です。ある意味、筆者自身も「埋もれた人材」でした。電子カルテプロジェクトでは、日頃は裏方でしかない人材にフォーカスを当て檜舞台で力を発揮してもらったこともあります。
筆者自身、3年前までは自分が「医学部教授」になるなんて夢想だにしていませんでした。未知の領域でも、チャンスを掴み、周りの人を大切にして、常に向上を心がける事で大きな果実が収穫できます。本稿を読んで「面白そう。私も無理せず何かできるかもしれない」と思われた方はご遠慮なくメールをください(teikyo1@mac.com)。新たな出会いがあることを祈念して終りといたします。拙文に最後までお付き合いいただきありがとうございました。 (終)