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Vol.050 新型コロナウイルス、”持ちこたえている”という評価の中で現実に起きていること

医療ガバナンス学会 (2020年3月12日 06:00)


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都内某クリニック
匿名

2020年3月12日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

先月末、20代の生来健康な女性が発熱と咳で来院されました。症状は通常の上気道炎と思われましたが、現在の状況を鑑み念のため胸部レントゲンを施行。肺炎像がないことを確認し、内服薬で帰宅といたしました。3月7日土曜日、症状が改善しないため来院されました。非常勤医が対応しましたが、増悪所見がないことからいったん経過観察とし、改善がなければ再度来院を指示いたしました。本日、37.8度の発熱が下がらないことを主訴に来院されました。症状は乾性咳嗽と発熱、だるさ。レントゲンを再度施行し肺炎像がないことを確認いたしました。採血では白血球数に異常なく、Hb9.0の小球性貧血を認めだるさはこちらからくるものかもしれないと考えられました。しかしながら、37度後半の熱が、およそ10日間続いていることから帰国者・接触者センターに相談の電話をし、PCRを念のために施行していただきたい旨を伝えました。
返答は
1.緊急性がないようであれば、今日は5時で業務が終わっている。
2.明日になっても症状の改善がないようであれば、医師の方から保健所に連絡をして、指示を仰いでほしい。本人が保健所に電話をしても、検査はしてもらえない。

上記のようなものでした。あまりの返答にびっくりいたしました。まず、緊急性がないというのはどういうことなのか。肺炎等の病状としての緊急性がなければ、仮にコロナの感染が疑われてもそのまま様子を見てしまってよいということなのか。それであれば、なぜ、感染者が一人でも出た場合は全員を隔離するという方法をとっているのか。
保健所に心配な患者さんが直接電話をしても検査できる医療機関を紹介してもらえないということも、メディアでの説明と大きく異なっていました。濃厚接触が疑われる場合であっても、本人からではだめなのかという問いに対しましては、濃厚接触者は国が全員を把握しているので患者さん側から申し出があることはあり得ないとの返答でした。そうであれば、なぜ濃厚接触が疑われる場合は電話相談をするように呼び掛けているのか全く理解できない返答でした。
患者さんは、結局かかりつけの医療機関を受診し、肺炎が認められるまでは検査をしてもらえず、あちこちの医療機関を何か所も回ってついに感染が発覚するという状況が蔓延しているように思われましたが実際にこの対応ではそうならざるを得ないことが明らかとなりました。
そして、かかりつけ医療機関はコロナの感染者が受診したとなれば風評被害も出れば業務に支障も出るという状況でありこれではだれも診療を行いたくなくなります。特殊な防護服もなく、マスクさえも手に入らないような状況で第一線で医療をやっている臨床医を守ろうという意識も全く欠如していると強く感じました。

もし、重症ではないが、コロナかどうかわからない人を通常の日常生活にもどしてしまってさしつかえないのであれば、コロナ感染症を大げさにとりあえず通常の風邪として扱うべきです。そして重症化しない限り心配がないことを広く伝えていくべきです。
もし、コロナ感染症を特別な危険な感染症と本当に考えているのであれば、疑わしい患者さんをしっかり検査して、自宅隔離でも何でもよいので隔離措置をとるべきです。現在行われていることは、このどちらでもなくいたずらに不安と混乱を招き、医療現場を疲弊させる行為であると強く感じました。

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