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Vol.138 三度目の過ちを犯すこと無き体制作りを願う

医療ガバナンス学会 (2020年7月2日 06:00)


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伊沢二郎

2020年7月2日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

へー、そんな風に考えていたとは。
新型コロナ専門家会議から政府との役割分担についての談話があったが我々市民にとっては意外とも受け止められる話だ。「コロナへの対応を決めるのは政府で専門家会議ではなく、国民から避難される道理はない。だから今後は出すぎないようにする」、と云うようにも聞こえる。
政府の対応も時として専門家会議の見解を錦の御旗とばかりに、やることや判断の正当性の拠り所としてきた様に見える、責任の押し付け相ではないか。などと思っていたら同時刻に専門家会議を廃止するとの大臣発表があった。解体的出直しは聞くが、行きなり廃止とはどう云うことだ。
専門家会議の法的位置付けが曖昧なまま運営してきたことを理由に上げているが、そのような専門家会議が中心になって決めてきた新型コロナ対応策により医療現場が困窮し、犠牲者まで出た現実をどの様に捉えると云うのか。

使命感からコロナ感染者を受入れてきた病院の経営問題も課題を残したままだ。西村大臣にしても、専門家会議廃止の理由説明は医療崩壊寸前にまで陥った病院関係者の納得を得られるものか甚だ疑問だ、「法的根拠が曖昧」何だそれは。
専門家会議にしても科学者集団らしからぬ態度だ、出すぎが批判を集めたと考えているようだが、日本の感染症のトップリーダーなのだからコロナ対策に関しては出て来て当然でしょう。アメリカの感染症トップは大統領の会見で、誤った発言をその場で否定して見せた、言う方も問題だが地位に臆することない態度は日本と大違いだ。専門家会議に批判が集まっているとしたら斯く言う私も同類だが、出すぎが問題でなく、厚労省・専門家会議・感染研、これら組織の一蓮托生の責任の所在が不明なことと、医療現場感覚が希薄なことに対してではないだろうか。

専門家会議に代わる新しい組織は、幅広く専門家を集めると言う。それはそれで良いが例えばの中に、いの一番に入らなければならない医師がいない。それは厚労省医系技官が務めるとでも言うのか、従来の組織立てに在って其なりの立場にいても医療現場に様々な問題や課題を残している、不埒な女性医系技官の例を挙げるまでもなく力足らずは明らかだ。更に大きく、毒性も強くなることも考えられる2波3波を向かえると云うのに、医療現場に従事する医師の意見が繁栄されることなくして次の波を乗り越えることなど到底考えらない、その様になっていないことが医療現場に今日の問題・課題を残している。

1波は寸前のところで医療崩壊にまでは至らなかったが、3地域の抗体検査が示すのは100%に近い人々が感染していなかっただけのラッキーとも云える。茶化す気はないが、従順な国民性と生活習慣が相俟った「ファクターL」で在ったのではないのか。
西村大臣は7月初旬に新組織の構成を発表すると言うが、コロナ問題これ迄の良し悪しを徹底的に分析した上でのことなのだろうか大変気になる。2波を向かえる前に、市民目線から見て最低限解決を望みたいことは、病院の経営問題とコロナウィルスの検査体勢、そしてインフルエンザと重なる時期であるから発熱外来の拡充だ。国民の殆どが抗体を持たないまま次の波を向かえると云うのに、経営問題から病院を閉じざる得ないなど絶対に避けなければならないが、今のところ対応策は見あたらない。

人は同じ過ちを繰り返すと云う、11年程前の新型インフルエンザの対応ミスが一度目なら、其を糧に当時の日本感染症学会により緊急提言が策定されている。概ね新型コロナ対策としても当てはまると思われるが、医療体制に係る項目では今にしても課題の発熱外来にも触れられている。何れもこと、病原性ウィルスへの対応であり法律上の位置付けは異なるものの、この提言がその後に継承され対策が具現化されていれば、少なくともこの度のような混乱は避けられたのではないのか。新型コロナはたちが悪い、20%の軽症又は無自覚者が他へ感染させるので終息の見通しが立ちにくい、感染すれば助かったとしても後遺症を伴うこともある。
専門家会議を廃止するなら、新型インフルエンザと重なり合う秋に向けて三度目の過ちを犯すこと無きよう磐石な医療体制作りを願うが、医療現場を預かる本当の医師の意見を取り入れる体制は必須だ。

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