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Vol.169 コロナ感染を軽くみる根拠無き風潮は問題だ

医療ガバナンス学会 (2020年8月18日 06:00)


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伊沢二郎

2020年8月18日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

コロナ分科会から感染状況を表す4ステージとそのレベルを示す6項目の指標が発表された(8/7)。初めは一ヶ所のボヤだったが全国に類焼している今にして云うことか、「小田原評定」も甚だしい。しかも発表した時点で既に、ステージ4及び限りなく4に近い自治体が複数ある。「泥縄しき」の提言をしたと思いきや、自治体には早い対応を求めている、こんな不条理通る話でしょうか。厚労省感染症対策に係わる日本のトップリーダーにしてこの在り様、呆れるを通り越し憤りを覚える。そも々論を言わせて貰えば、政府が海外観光客を呼び込む政策を打った段階で海外由来の感染症への備えを執っておくべきだった。無理な理想論を言ってる訳では無い、新型インフルエンザ時の経験やその際の緊急提言とか韓国でのサーズや直近のコロナ、今に活かせるこれらをどの様に捉えていたのか、これら貴重な事例から何も学んでいない、と言わざる得ない。

せっかく出来た4ステージと判断項目指標、有るに越した事はないが、政府の判断はこれに縛られることはないと言い、独自の判断基準を設けている自治体もあり、三重構造を呈している様に見える。日本全体として、どの様に判断しどうするのかが見えない、支離滅裂状態だ。
判断項目と指標にも疑念がある、今朝(8/10)の新聞報道で先般、官邸の「医療は逼迫していない」との談話に反論した杏林大学病院の山口芳裕教授が再度、医療が逼迫するとはどう云うことか詳細に述べている。人員の確保とは交代要員を含めた熟練者の確保であり、病床の確保も広いスペースを要することでありその為に、普通病床患者の移動を伴う、そうなれば入院受け入れの調整も要る。これだけでも容易で無いことは素人の我々でも理解出来るがそれを日々、2週間先を見ながらやって行く。このような事、医療現場に携わる医師以外に出来る事だろうか。

表向きの数値を捉えただけの判断指標に意味が無いことは明らかだが、政府は今もって医療は逼迫していない、と言う。おまけに「出来るだけ緊急事態宣言は出さないようにする」と言うが、それを言うなら「緊急事態宣言を出すことがないようにする」だろう、思わず出したくない本音が出てしまったのか。
こと在る毎に感染者の割に死亡者が少ない、とも言うがこれ偏に医療従事者方々のご努力の賜物であることでしょう。これに言われ無くても守る従順な国民性・生活習慣が相俟ってのことで、為政者にとってはラッキーなことだ。
我々市民にとっては死亡者が少ない、と言われても全く安心が得られる話ではない。未だに変調が有っても即、PCR検査にたどり着けない事例があり、これから感染者が増えて来たら益々心配だ。

官邸もコロナ分科会の感染症学の方々も、重症者の少なさを強調し、感染のリスクを矮小化しているように見える。判断項目の陽性者率が10%とは最近の、集団免疫は全体40%の感染で獲得できると云う説に照らせば、この状態が暫く続けばその領域に達するだろう、と思われる程の高いレベルの陽性率ではないのか。但し我々自身も、感染したとしても重症化に至らなければそれで良し、と思っていた節がある。
ところが、テレビ朝日のニュースショーで紹介されたフランクフルト大学のコロナ感染者が被る後遺症の研究では、年齢・軽、重症に関わらず78%に症状が残り、その内の60%は心筋炎だ、と云う事を知り絶対に感染したくない病気に変わった。そう云えば若い感染者が回復後に訳の分からない後遺症に苦しむ事例が複数報道されていたのはこれか。

感染ステージとその指標説明の折、尾身茂分科会会長にして感染者数を軽んじる、と思われる発言があった。官邸筋の発言からも、感染のリスクを矮小化してまで、緊急事態宣言発出を避けたい思惑が透けて見える。コロナ克服の為公然と、手段としての集団免疫獲得を述べる者も居るが、それを狙ったスウェーデンは人命も経済にも大きな犠牲を出した。政府と国民が一体となり努力したことにより、医療崩壊を起こさずに結果として集団免疫も獲得した、と云うなら良いが昨今の政府や分科会の感染者数軽視や相変わらず感染回避の注意と訳の分からぬ「ウィズコロナの生活様式」を言う以外に有効打の表明がないのは、手段としてそれをやっている様にさえ見える。僅か7ヶ月程で3タイプに変異していると云われているコロナウィルス、この先どの様な変異を遂げるか分からないのに、政府及びコロナ分科会の在り様は余りに軽率で無謀ではないのか。

政府及びコロナ分科会の思惑がどう在れ、感染者数を抑え込まない限りこの先は見えない。感染を拡げる無症状者による感染の悪循環を断つ為には桁違いの検査数をこなす、これに異論の余地は無いことと思います。国民皆コロナ検査はともかく、これからやろうと計画されている世田谷モデルに於けるエピセンター潰し、新宿歌舞伎町でこれをやっていれば、今日の全国的な市中感染は防げた可能性があったのでは。これは東京都の問題ではなく、国が全面的にやるべきことだと思う、これなら経済活動も止めずに出来たはずだが、東京都と官邸の確執が大きな判断ミスを招いたのではないのか。

何時でも・何処でも・何回も・無料で、コロナ国民皆検査を推し進めようとしているアメリカを初め、先進国では桁違いの検査は当たり前になっている。何れそれは、世界標準になるのではないか、これをしない日本は感染の実態も良く分からない国として観られ、世界から信用を得ることが出来るのだろうか。その時、考えたくもないがオリンピック開催への影響はどうなのか、心配なところだ。

今後、コロナ感染被害の焦点は重症者・死亡者の抑制もさることながら早晩、後遺症が問題視されることに移って行くとになるのでは、中でも心筋炎とそれに纏わる症状はその後の人生に長く影響をあたえる、これだけは絶対に避けたい。
年齢・症状が重い軽いに関わらず、コロナ感染により後遺症が現れると云う、しかもかなりの確率で。
経済対策に前のめりになる余り、政府及び厚労省感染症関係者による感染自体を軽くみる根拠無き風潮、許せない。

 

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